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あの日のライカ Vol.4 イナガキヤスト × ライカSL2
2023年3月8日 07:00
家族とのかけがえない時間、そして「富山の本気」と題した地元・富山県の美しく勇壮な風景を、圧縮効果が効いたダイナミックな作風で撮影しているイナガキヤストさん。SNSをはじめ、テレビ番組出演や写真集発売など多方面で活躍中だ。イナガキさんは日々ライカM11を愛用しているが、今回は「富山の本気」を初めてミラーレスフルサイズ機のライカSL2で撮影。実用重視とライカらしさの両立という、新たなライカ像に巡り会うこととなった。
イナガキヤスト
1981年生まれ。フォトグラファー。富山県の風景や家族の写真をTwitterやInstagramなどで発表し、話題に。NHK富山「イナガキヤストの本気旅」KNB北日本放送「眺めのいい時間」などメディアへの出演も多数。T&D×東京カメラ部2019 優秀賞、JT×東京カメラ部 優秀賞など受賞歴多数
——初めてライカの存在を意識したときのことを覚えていますか?
おそらく二十歳の頃だったと思います。実際に使ったとか手にしたとかではなく、歴代のライカが掲載されている本を見て、フィルムカメラを買うのであればライカにしたい、と感じたのを覚えています。当時は購入するまでには至らなかったのですが、歴史のある素晴らしいカメラということは理解しました。
——本格的に写真をお撮りになる前のことでしょうか。
写真そのものは中学高校時代から撮っていましたが、本格的にカメラをはじめたのは子供が生まれたとき。子供の成長を撮りたくてカメラを購入したので、ちょうど10年ほど前のことですね。ですから、ライカに初めて興味を持ったときは、感覚的にというか、良いものに憧れるという気持ちが強く、ロレックスやオメガなどと同じく「一生もの」というような捉え方に近かったと思います。
——普段はレンジファインダーカメラのライカM11をお使いとのことですが、写真を本格的に撮りはじめてからライカM11を購入するまでの経緯を教えてください。
写真を撮る生活を送っていると、ライカに関する情報は耳に入ってきますよね。普段はフルサイズミラーレスカメラを使っていますが、ライカは別物というイメージはあり、気にはなるけれども高価だし難しそうだなと躊躇していました。しかし、写真をはじめて10年、自分自身も40歳になるというタイミングでライカM11が発売されると知り、このタイミングで少し頑張ってでも購入しようと決意し、ちょうど1年前、発売日に購入しました。
——ご自身の撮影スタイルの中にライカM11が入ることをどう考えましたか?
ショッピングモールに行くときでさえ、大きなズームレンズを付けたミラーレスカメラを持っていっていました。とても目立ちますし、日常的に持ち歩くのはどうなんだろうと。そんな中、クラシカルデザインのレンズ一体型デジタルカメラを買い、普段使いのカメラがあることの便利さを知り、ライカM11もその延長線上で使えるのなら、購入しても損はしないと感じたのは大きいですね。
スペックうんぬんではなく、タイミングがピタッとはまり運命を感じたのと、新モデルをすぐに買い、できるだけ長く使うのが得策だと。現在も、作品を撮るというよりはスナップで使うことが多いですね。スマホで撮っていたようなシーンがライカM11に置き換わったという感じで、瞬間的に撮ったものが良い写真として残っていくという感覚です。
——ライカM11の画質や色はいかがでしょう。
レンズは「アポ・ズミクロンM f2.0/50mm ASPH.」を使っているので、バキバキと解像しているイメージがあります。とてもシャープな写真が撮れますね。でも、作品を撮るときとは違い、JPEG撮って出しで使うようにしています。独特の画で撮れますし、瞬間を大切にするという気持ちが強いのです。ライカM11を使う前は、もっとナチュラルな写りをするだろうと想像していました。いまでは、作品用に使うカメラよりも撮影枚数自体はライカM11の方が多いと思います。
——そして日常使いのライカM11と異なり、作品を撮る用途として、今回ライカSL2をお使いになったわけですが、まず手にしたときの感想を教えてください。
カメラを持ったときのインスピレーションみたいなものに驚きました。手から伝わってくる質の良さはM型ライカに通じますし、グリップを通して感じるカメラ本体の剛性が素晴らしく「すごいカメラを手にしている」という感覚になったのです。撮影する以前に、カメラの素性の良さを感じましたね。
——使用したレンズは?
標準ズームの「ライカ バリオ・エルマリートSL f2.8-4/24-90mm ASPH.」と、LUMIXの望遠ズームを使いました。24-90mmは大きく重いですが、ライカSL2の剛性感のあるボディと自然に繋がっていくような質感の高さがあり、手にしたときに高級感を感じました。重いというのは良い意味で、作りがしっかりしているとそれだけで「よく写りそう」という印象を持ちますよね。
実際に撮ってみると、ライカM11とは違い、あっさりしている「大人な画」が出てくるという印象でした。ライカSL2ならではの表現を見つけていくか、いつもの作風に現像で合わせていくのか、ちょっと迷いどころで。ライカM11はコントラストが高く、それまでの素材性重視だったライカの画作りからは変化しているそうですね。きっとこのライカSL2の画作りが、これまで広く知られてきたライカ画質に近いのかなと想像します。
——ライカSL2で風景写真をお撮りになっている方は少ないかもしれません。
作品を撮る場合、僕は望遠レンズを愛用することがとても多く、そのためライカM11用にも135mmを持っているのです。でも、レンジファインダーカメラで望遠撮影というのは使いこなしが難しく、ライカで望遠レンズを使うというイメージがありませんでした。
でも、ライカSL2はミラーレス機なので望遠撮影ももちろん快適に楽しめます。ライカでの新たな楽しみがそこにあるように感じましたね。SLの望遠「ライカ バリオ・エルマリートSL 90-280mm f/2.8-4」は大きく存在感のあるレンズのようですが、ライカSL2のボディにはそのくらいの方がしっくりとくる気もしますよね。ぜひ今度使ってみたいです。
——ライカの物としての魅力と、最新性のミラーレス機であるという点の融合ですね。
ふだん使っている作品用カメラの場合、使い慣れているため、特になにも考えずとも撮ることができ、イメージ通りに編集して仕上げることができます。ライカSL2も、同様に操作性や描写力は最先端のミラーレス機で、仕事用のカメラに求められる「間違いなく撮れること」を得られますが、もっと純粋に写真を楽しんでいる感覚も同時に味わうことができるのです。
触感やシャッターフィーリングなどが心地良く、間違いなく撮れることに加えて、M型ライカのようにもっと撮っていたいという純粋な欲求が湧き上がってきます。写真をはじめた当初に感じていた楽しさを、望遠レンズを使っていても味わえるのであれば、それは素晴らしいことだと思います。撮影中、多くの方から「ライカですか?」と声をかけていただいたことも、普段の機材にはないことで新鮮でした。
——撮影が楽しくなり、撮影枚数が増えていけば、もっと多くの「富山の本気」が残っていくかもしれないですね。
作品だけを撮りに行くのではなく、楽しんで風景写真を撮る、ということがライカSL2ではできると感じました。もっとライカSL2で風景を撮っていきたいですね。
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https://leica-camera.com/ja-JP/photography/sl/giftcard-campaign-2023
制作協力:ライカカメラジャパン株式会社