拝見 写真家の機材

[防湿庫管理編]収納機材を識別できる庫内配色が防湿庫選択のポイント…中原一雄さん

写真家の方々は、機材をどのように管理しているのでしょうか? 特別企画「【2020梅雨版】機材管理、保管時のポイントとは?」と連動し、当誌で執筆協力いただいている写真家の方々に防湿庫の中身や管理のコツを教えてもらいました。(編集部)

連動記事「【2020梅雨版】機材管理、保管時のポイントとは?」はこちら
Part1:防湿庫編
Part2:ドライボックス編

――機材の管理はどうしていますか?

普段常用しているボディやレンズ数本は、すぐに使えるようにカメラに付けっぱなしで防湿など意識せずに保管しています。

逆に、使用頻度が低いレンズは防湿庫に入れて保管しています。カビなどを防ぐ目的もありますが、私は片付けが下手なのでレンズの帰るべき場所を作ってあげないと次に使うときに「レンズどこいった?」と慌てるので、場所を決めて管理するようにしているんです(それでもしょっちゅうレンズどこ行った? と慌てていますが……)。

ボディも長期間使わないものは防湿庫に入れるようにしていますが、最近は防湿庫が手狭になってきており溢れているものも。

――気温や湿度が高くなるこれからの時期、特別なことはしていますか?

基本は防湿庫に保管しているため、あまり特別なことはしていません。手元にあるレンズで最もサイズが大きいFE 200-600mm F5.6-6.3 G OSS(最大径×全長:111.5×318mm)だけは防湿庫に入らないので困っています。

防湿庫外で保管している機材については、今のところカビを防ぐために定期的に使ってレンズ内部の空気を入れ換えすること、押し入れなど湿気がこもりやすい場所に置かないこと、エアコンを連続稼働させて室内が高温多湿にならないこと、を心掛けています。室内環境もカビが発生しにくいと言われている湿度60%以下を保つようにしています。

――防湿庫(またはドライボックス)はいくつ使われていますか?

小型と中型の防湿庫を各1つずつ使用しています。他に吸湿剤を入れたドライボックスを1つ使っています。機材が増えるたびに増えてきましたが、これ以上増やすスペースがなく困っているところです。

――ズバリ、防湿庫の中をみせてください

左が一番最初に買った40Lの白い防湿庫、右は買い足した60Lの防湿庫です。設定湿度はどちらも40%にしています。部屋がすぐ散らかって大変なことになってしまうのですが、ここにさえ入れておけば、ホコリやカビとは無縁の管理ができるので安心。機材の聖域です。

――2台の防湿庫で運用しているんですね。使い分けはされているのでしょうか?

実は、特に使い分けはしていません。結構適当に入れてしまいます。強いて言うなら2段の防湿庫はスペースに高さがあるのでボディやストロボなど、高さが出やすいものを入れています。

大きい方は3段になっていて収納力が高いのでレンズをメインに入れています。入れ方はかなり適当です。

小さい方は2段で高さのある空間なため大きめのレンズやボディ、ストロボなどをメインで収納しています。

――理想の防湿庫とは? 防湿庫に求めることをざっくばらんに教えてください。

自分の機材がすべて余裕をもって納めることができ、ノーメンテナンスでも安定稼働することに加え、内部に入れた機材の識別、出し入れがしやすいことですね。

市販されている防湿庫の大半は黒い防湿庫ですが、レンズも黒いので中に納めている機材の識別がしにくい所が不満です。その点で、今使っている白い防湿庫は内部も明るく入れたものを識別しやすいので重宝しています。

カメラバッグの内部も黒いレンズやボディを識別しやすいようにグレーやオレンジなど、明るい色が多いと聞いています。防湿庫もそれに倣って内部が明るい色で塗装された大容量のタイプが選択肢に増えてくれると嬉しいですね。

外観も無機質な黒だけではなく木質感やモルタル調の柄になっているようなものがあると、インテリアにも馴染みやすくオシャレになりそうです。

乾燥方式は乾燥剤式とペルチェ式の2つの防湿庫をつかっていますが、どちらも安定稼働しており除湿方式に対する不満はありません。

――これからの時期、管理面でおすすめのアイテムなどがあれば教えてください。

汗などでボディやレンズが汚れやすい時期なので、目に見えて汚れているものは防湿庫に入れる前に除菌ウェットティッシュでべたつきなどの汚れをザッと落とすようにしています。毎回しっかりメンテナンスするのは面倒ですが、ウェットティッシュで拭くくらいなら面倒くさがり屋の私でもできます。

――今回の内容に関しまして、「これは伝えたい」という内容がございましたらお願いします。

モニターの色調整を行うモニターキャリブレーターも防湿庫に入れておくのがおすすめです。一部のプロ向け高級品を除き、キャリブレーターは内部にカラーフィルターを持ち、それで色を測定しています。そのため高温多湿な環境だと、そのカラーフィルターが劣化する恐れがあり、そうなると正しい色を測定できなくなってしまうためです。キャリブレーターを持っている人は、レンズと一緒に防湿庫に収納しておくと良いでしょう。

中原一雄

1982年北海道生まれ。化学メーカー勤務を経て写真の道へ。バンタンデザイン研究所フォトグラフィ専攻卒業。広告写真撮影の傍ら写真ワーク ショップやセミナー講師として活動。写真情報サイトstudio9を主催 。