特別企画
タムロン「16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO」
リレーレビューその2(旅行・スナップ編)
旅のお供に!世界最大約18.8倍ズーム1本で香港・マカオを切り取る
Reported by上田晃司(2014/9/8 08:00)
夏も終わりに近づき、写真を撮るため日中屋外にいても、ずいぶん過ごしやすくなってきた。これからのシーズン、国内旅行や海外旅行などで、写真を撮る機会も多いだろう。
ただ、そこで問題になるのが機材の選択。というのも旅では何かと荷物が制限されがちだからだ。着替えなどただでさえ荷物が多いだけに、カメラ機材は最小限にしたい。
もちろん、沢山のカメラやレンズを持って行く楽しみや安心感も否定しない。しかし、荷物の重さで疲れてしまい、撮影する気が起きないようだと元も子もない。機材は最小限にした方が賢明だ。特に海外旅行は、移動中も大きなカメラバックなど持っていると機材が狙われる危険性もある。
さらに最近では、機内持ち込みの荷物制限も厳しくなっている。航空会社にもよるが、7〜10kg以内制限の所が多い。筆者も一度あったが、7kg越えの荷物はレンズでもカメラでも貨物預けになると言われて泣く泣く衣類の間にレンズを入れて預けたという経験もある。そう言ったトラブルを避けるためにも機材はコンパクトにまとめた方がよいと言えるだろう。
そこで役立つのが、1本で幅広い画角をカバーする高倍率ズームレンズ。今回は、タムロンの超高倍率ズームレンズ「16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO(Model B016)」を試す機会を得たので、旅目線でご紹介していこう。
レンズ1本で動く快適さ
本レンズは、広角から超望遠まで1本で幅広くカバーする、ズーム倍率約18.8倍の万能レンズ。高倍率ズームといえば、大きく、重く、広角に弱いというイメージが思いうかぶが、このレンズは超高倍率ズームレンズの常識を覆してくれる。
全長は10cmを切る99.5mmとコンパクトで、重量は540gと超高倍率ズームレンズとしては軽めの印象。一緒に使用したD7100とのバランスもよく、ハンドリング性に優れている。
このレンズをニコンD7100に装着して旅してきたのは、真夏の香港とマカオだ。レンズとカメラボディ合わせての総重量は約1.3kg。この重さであれば1日中持ち歩いても苦にならない上、レンズ交換を気にせず、気軽に撮影を続けられる。望遠端にするとある程度全長は長くなるものの、ボディとのバランスが大きく変化することはない。
それでいて世界最大のズーム倍率18.8倍を実現。広角端24mm相当から望遠端450mm相当(ニコン用の場合)までをカバーするのだ。
そう、本レンズ魅力のひとつは、広角端が35mm判換算で24mm相当(ニコンDX機に装着した場合)であることだ。
高倍率ズームレンズの多くの広角端が27〜28mm相当から始まることを考えると、圧倒的なワイド画角が得られる。同じ位置からより広い範囲を写せたり、屋内など制限された空間を広く写したり、遠近感を強調したりと広角に強いメリットは大きい。
また、望遠側も450mm相当の超望遠までカバーしている。乗り物や近づけない動物、遠くの風景を撮影したり、背景や前景のボケを活かした撮影、望遠の圧縮効果を活かした撮影などさまざまな撮影に対応可能だ。
最短撮影距離はズーム全域で39cm。最大撮影倍率は1:2.9(300mm時)となっており、花や雑貨、旅先で食べた料理なども気軽に撮影することができる。
最短撮影距離付近では、AF撮影が難しくたまにピントに迷うことがあったが、フルタイムマニュアルに対応しているので、瞬時にMFでピント位置の微調整ができた。撮影環境に応じて、フォーカスリングをダイレクトに回すだけでピント合わせができる。
さらに、本レンズは手ブレ補正機構「VC」を搭載(ソニー用を除く)。VCをONにした時のファインダー像の安定感は圧倒的で、被写体がファインダーに張り付いているかのよう。今回の旅では基本的に夜景撮影以外は三脚を持ち歩かず手持ちで撮影している。そのため、マクロ撮影や望遠撮影、低照度の撮影ではVCは本当に役立った。
マクロ撮影や望遠撮影でもファインダー像が安定するためフレーミングの時から効果抜群。安心してさまざまな条件下で撮影することができた。
また、本レンズはAFも静かで高速だ。その秘密は超音波モーター「PZD」(Piezo Drive)を採用している点だろう。
今回は動いているフェリーやトラムなどを撮影したが、ピントは外すことなく確実に被写体を捉えることができた。AF-C時も動作音が小さいためストレスなく撮影に集中できた。旅先で子供や乗り物など動く物を撮る場合にも、このレンズであれば応えてくれそうだ。
高倍率ズームレンズといえば、画質面である程度の我慢を強いられるイメージがある。しかし、本レンズはレンズを活かす絞り値で撮影すれば、十分な画質が得られる。大げさにいうと、ここまで画質が良ければ、多くの撮影はこのレンズ1本でこなせてしまう。
開放F値はF3.5-6.3と高倍率ズームとしては標準的。シーンによってはISO感度を頻繁に変更する必要があるので、感度自動制御(ISOオート)などと組み合わせれば、さらに楽に撮影できるのでオススメだ。
ちなみに造りも良く、鏡筒はしっかりしている印象。ガタつきなどは感じられず、持ち運んでいる際に勝手にズームして全長が伸びたりすることもなかった。ズームリングやフォーカスリングのトルク感は適度で、操作しやすい。
まとめ:これ1本で旅のシーンをまるごとカバー
今回は旅先でさまざまな被写体を撮影した。超高倍率ズームレンズだということを忘れさせてくれるコンパクトさは旅先で機動力になる。少し歩いただけでも汗が噴き出るほどの気温と湿度ではあったが、装備がコンパクトだったため撮影に集中し続けられたのは、うれしい限りだ。
他にはない広角24mm相当から望遠450mm相当までをカバーし、AFも速く、マクロ撮影にも強い。旅での機材を厳選したいというユーザーで、レンズ選びに悩んでいる方には、ぜひこのレンズの魅力を知って欲しいと思う。荷物が減ることで旅は圧倒的に楽になることを覚えておいていただきたい。
制作協力:株式会社タムロン