特別企画

タムロン「16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO」リレーレビューその1(子ども・ペット編)

シャッターチャンスを逃さない!広角から望遠までまるまるカバー

レンズ交換をすることなく、1本であらゆるシーンに対応できる高倍率ズームレンズ。その便利さは、すでにおなじみですよね。

その高倍率ズームレンズに、世界最大倍率18.8倍のタムロン「16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO」が登場。APS-Cセンサーで利用できる製品で、画角は焦点距離25.6-480mm相当(35mm判換算。今回使用したEOS 70Dの場合)をカバーします。

今回は子ども&ペットの撮影で、その実力を試してみました。

広角にも強い高倍率ズーム

まず、18.8倍ズームの力をご覧ください。同じ場所から撮った写真です。いかがでしょう。

広角端。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO100・F6.3・1/320・+1.3EV・WB:昼光・16mm
望遠端。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO100・F6.3・1/320・+1.3EV・WB:昼光・300mm

ズーム倍率もさることながら、広角側の画角の広さも印象的です。

これまでのいわゆる高倍率ズームレンズの広角端は、35mm判換算で焦点距離28mm相当付近のものばかりでした。そのため、せっかく高倍率ズームレンズが手元にあるというのに、もっと広い画角の写真が撮れず残念な思いをしたことも多いのではないでしょうか。

その点、このレンズの広角端は、24mm相当(ニコン用、ソニー用)、もしくは25.5mm相当(キヤノン用)と、一般の高倍率ズームレンズより画角が広くなっています。それでいて超望遠域も確保しているので、これまで以上に幅広いシーンでの撮影が可能になりました。高倍率ズームレンズの「1本で何でも撮れる」という特徴が、さらに強化されたわけです。

広角端。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO100・F6.3・1/320・+2EV・WB:昼光・16mm
望遠端。上の写真と被写体の大きさが同じになるよう撮影。背景の表現が違うのがわかると思います。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO100・F6.3・1/500・0EV・WB:昼光・300mm

特に広角端での撮影は、背景を大きく取り入た屋外での撮影や、引きのとれない屋内での撮影で活躍するでしょう。

猫だけでなく背景も。広角に強いとその場の雰囲気を取り入れた作品になります。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO4000・F/3.5・1/40・+1EV・WB:オート・16mm
猫が壁に3匹も!広角に強いこのレンズの特徴を生かし、ひとつの画面に収めてみました。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO4000・F/3.5・1/40・+0.3EV・WB:オート・16mm
遊具でまわりながら撮影。スローシャッターにすることで、背景が流れています。手ブレ補正も役に立っているようです。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO100・F5.6・1/15・+1.6EV・WB:曇天・16mm

一方、望遠側の画角は、35mm判換算で焦点距離450mm相当(ニコン用、ソニー用)、または480mm相当(キヤノン用)となり、いわゆる超望遠域になります。そのため、背景をぼかした印象的な作品も撮れます。

窓から差し込む光を浴びた猫を遠くから。望遠に強いとこんな作品も可能です。高感度での撮影ですが、美しい毛並みを再現できました。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO6400・F5.6・1/125・+0.3EV・WB:オート・92mm

動き回る子どもやペットの撮影では、レンズを交換している間すら惜しいもの。レンズ交換なしで様々な画角に対応できる便利さは、一度使ってみるとわかると思います。

強力な手ブレ補正「VC(Vibration Compensation)」

ここまでの超望遠域になると手ぶれが心配かもしれません。でもご安心を。このレンズにはタムロン独自開発の手ブレ補正機構「VC」が搭載されていて、その効き目はかなりのものです。ファインダーをのぞいていると、それがよくわかります。被写体がファインダーに張り付いたように、ぴたっと止まっているのです。

屋内での超望遠撮影ですが、強力な手ブレ補正のおかげでぶれずに撮れました。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO6400・F6.3・1/40・+0.3EV・WB:オート・300mm

望遠端の開放F値がF6.3と暗めなのが残念ですが、これは他の高倍率ズームにも良くあるスペックです。なので、いってみれば、より高倍率になった上で、開放F値は保ったまま。しかもズームが伸びたからといって、描写は損なわれていません。至れり尽くせりといって良いでしょう。

軽く逆光になる条件での撮影。目立ったフレアやゴーストもなく、クリアで抜けの良い描写です。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO5000・F6.3・1/500・+0.3EV・WB:オート・300mm

被写体にぐっと近寄れる!

最短撮影距離は、ズーム全域で39cm(撮像面から)。広角側だけでなく、望遠側でも同じように寄れるので、被写体をかなり大きく写せます。製品名の「MACRO」にも、それが現れています。

子どもの小さな手をアップで。望遠側ではボケを生かした作品に挑戦できます。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO400・F6.3・1/25・+1EV・WB:昼光・300mm

39cmというと、被写体にそれほど近づけないような感じがします。しかしこれはレンズからではなく、撮像素子から被写体までの距離。実は、かなりレンズの先端の近くまで被写体に近づけます。被写体が動くときは、レンズにぶつからないよう気をつけてください。

静かで素早いAF

AF駆動には超音波モーター「PZD(Piezo Drive)」が用いられています。静かですっとピントが合うので、寝ている子どもやペットの撮影にも安心です。

滑り台で遊ぶ子どもを撮影。コンパクトデジカメには20倍以上の高倍率ズームレンズを搭載した機種がありますが、ストレスの少ない一眼レフカメラでの撮影とは比べ物になりません。EOS 70D・16-300mm F/3.5-6.3 Di II VC PZD MACRO・絞り優先・ISO500・F/3.5・1/400・+2.7EV・WB:昼光・16mm

かつての高倍率ズームレンズのイメージからすると、AFはかなり素早く合う印象です。ボディの性能にもよりますが、腕を磨けば、動き回る子どもやペットを追いかけることも可能でしょう。広角から望遠までの広いカバー範囲に加え、静かで素早いAF。実際、屋外でも屋内でも、ストレスのない撮影が楽しめました。

まとめ:家族との思い出づくりに!

皆さんご存知だと思いますが、カメラマンのいうことを聞かず、あちこち動き回る子どもやペットの撮影は大変です。そんな子どもやペットだからこそ、かわいい写真をたくさん残してあげたいですよね。レンズ交換をすることなく、広角から望遠まで撮れるこのレンズなら、シャッターチャンスを逃すことなく、様々なポーズや表情を撮ることができます。

また、子どもを連れて出かけるときは、どうしても荷物が多くなりがちです。交換レンズを別に持ち歩く必要がなく、1本で様々なシーンをカバーできるこのレンズの良さは、小さな子どもをお持ちのパパやママならおわかりになると思います。家族とのお出かけの際には、おすすめのレンズです。

制作協力:株式会社タムロン
猫カフェ撮影協力:てまりのおうち

吉住志穂

(よしずみ しほ)1979年東京生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、竹内敏信事務所に入社。 2005年4月に独立。自然の「こころ」をテーマに、花や風景の作品を撮り続けている。日本自然科学写真協会(SSP)会員。