特別企画

旅×カメラ:OLYMPUS STYLUS TG-2 Tough

南国リゾートで使い勝手を検証

 昨年7月、防水耐衝撃デジタルカメラ「OLYMPUS Tough TG-1」についての試用レポートを掲載した。最近、その後継機種「OLYMPUS STYLUS TG-2 Tough」を試す機会があったので、前回同様、所感を報告させていただきたい。

 テーマは同じく、「旅行を記録するカメラとしての使い勝手」。多少、前回と重複する内容もあることをご容赦いただきたい。

 旅行先は北マリアナ諸島のサイパン。島北部の静かな環境にある滞在型リゾート「マリアナリゾート&スパ」に宿泊しつつ、TG-2の活躍ぶりを検証してみた。

TG-1から操作レスポンスが向上

 まずはTG-2のタフネス性能をざっと確認してみよう。

 水深15mまでの防水性能、高さ2.1mからの落下に耐える耐衝撃性能、-10度の耐低温性能などを誇り、100kgfの耐荷重性能も有している。この手の製品では現在最高レベルのスペックであり、事実、3機種あるオリンパスの防水耐衝撃デジカメのうち、TG-2はそのハイエンドに位置している。TG-1からの進化としては、防水深度が10mから15mになった。

 次に撮影にまつわる性能について。基本スペックだけ見ると、実はTG-1からの進化点は少ない。

 撮像素子は有効1,200万画素の1/2.3型CMOSセンサー。レンズは35mm判での焦点距離25-100mm相当F2-4.9の光学4倍ズーム。背面には、3型約61万ドットの有機ELモニターを搭載している。

 追加機能としては、スーパーマクロモードで光学ズームとデジタルズームが使えるようになった。これにより顕微鏡並みの拡大撮影が可能になったのは評価できるが、旅カメラとしてはあまり関係ないので割愛する。

 では、TG-1に比べて最も変わったのは何か。実は、操作レスポンスが良くなっているのだ。これが使い勝手をかなり改善してくれている。

 特に、電源ONから撮影できるようになるまでの時間が短縮されたのはうれしい限り。TG-1では撮影情報が表示され、シャッターが切れるまで若干待たされることがあった。TG-2ではそれが一気に短縮。予期しないシャッターチャンスが訪れる旅行での撮影において、これはありがたい進化だ。

 同時にメニュー操作の反応も良くなっている。TG-1にしても耐えられないほど遅かったわけではないが、TG-2の方が明らかにスピーディな設定が行なえる。普段、旅行のたびにTG-1を使っている私が、最も感心した点だ。

あるとうれしいGPS機能

 では、「旅カメラ」としての具体的な使い勝手を見ていこう。ここからの記述は、基本的にTG-1にも当てはまるものだ。

 まず、TG-2はGPS機能を内蔵している。GPS衛星を捕捉すると、その後撮影される画像に緯度・経度・高度の情報が加えられる。画像ソフトによっては、画像に記録された位置情報を地図上に示してくれるものがあり、どこで撮影したが一目瞭然となる。旅カメラとしてはうってつけの機能だろう。

アプリによっては、位置情報がついた写真を地図上にマッピングできる(画面はAperture)
GPS衛星を捕捉していると、DISPボタンによる表示切替で緯度・経度情報が表示できる。TG-1ではMENUボタン長押しだった
地名やランドマークの表示も。コンパス機能も日の出・日の入りを確認するのに便利だった

 さらにTG-2には、GPSロガー機能が搭載されている。GPSロガー機能とは、一定間隔で位置情報を記録し続ける機能のこと。これをONにすると、どこをどう移動したかという記録(GPSトラックデータなどと呼ばれる)がメモリーカード内に残る。

GPSトラックデータをApertureに読み込ませたところ。移動の軌跡が表示される

 この情報を基に、GPS機能のないデジカメで撮影した画像に位置情報を加える手も広く知られている。旅行ではメインカメラが何であれ、GPSロガー機能が付いたカメラを1台持っていくことをお勧めしたい。

 写真を見ながら思い出に浸る……旅行から戻ったあとの楽しみのひとつだが、地図上に撮影した場所を表示させることで、そのときの記憶も鮮明によみがえる。さらに移動の軌跡を見て、移動行程を振り返る。こうした楽しみ方が、TG-2のGPS機能で可能だ。

 GPSアンテナの位置はTG-1と同じで、A-GPSに対応している点も同様。A-GPSとは、測位情報(アシストデータ)をPC経由でダウンロードしておくことで、電源ONからのGPS衛星の捕捉を高速化する仕組み。定期的に更新する必要があるのがやっかいだが、旅行先ではネット環境を確保できない可能性もあるので、事前にダウンロードしておこう。

コンバージョンレンズシステムを楽しむ

 前述した通り、TG-2は焦点距離25-100mm相当(35mm判換算)の光学4倍ズームレンズを搭載している。開放F値はF2-4.9であり、広角端に限られるものの、防水耐衝撃デジカメとしては明るいレンズを誇る。さらにCMOSシフト式の手ブレ補正機構も併用でき、暗い屋内などでの使い勝手がすこぶる良い。レストランやホテル内での記念撮影に活躍してくれることだろう。

ホテルの送迎で深夜のロビーに到着。ISOオートで撮影したところ、広角端F2の明るさのおかげで、感度はISO640に抑えられている
日没直後の水平線。SCN(シーン)モード「夕日」で撮影。レンズの明るさと手ブレ補正の相乗効果もあり、ISO100で撮影できた

 また、望遠側の最短撮影距離が10cmと短いのも特徴だ。一般的なコンパクトデジカメだと、広角端は寄れるものの少しでもズームするとピントが合わなくなりがち。望遠端での最短撮影距離が1mなどと長いためだ。しかし、ズームしたまま10cmまで被写体に寄れるTG-2なら、画角の自由が高い。料理や小物を記録するときにものすごく便利なのだ。

ススペ地区にあるGentle Brook Restaurant and Cafeで。サーモンのグリル。椅子方立ち上がることなく、焦点距離65mm相当での撮影が行なえた。ズーム時の最短撮影距離が10cmと短めのためだ
スーパーマクロモード、焦点距離30mm相当。まだ近づけるしズームもできる。マクロ撮影はかなり強い

 最近のコンパクトデジカメとしては珍しく、コンバージョンレンズを装着できるののもTG-2の強みのひとつ。コンバーターアダプターCLA-T01を介し、フィッシュアイコンバーターレンズFCON-T01、またはテレコンバーターレンズTCON-01を取り付けられる。

左がテレコンバーターレンズTCON-01、右がフィッシュアイコンバーターレンズFCON-T01。FCON-T01にはコンバーターアダプターCLA-T01をつけっぱなしにしていた。こうするとワンタッチで着脱が可能になる

 中でも面白いのが、フィッシュアイコンバーターレンズだ。前回TG-1のときにも紹介したが、意外に旅先で使い道が多い。ホテルの客室内の様子をはじめ、周囲を広く含めた写真を残せるからだ。旅客機や観光施設の中での記念撮影など、工夫次第で用途は広がる。コンバーターアダプターCLA-T01ごと取り外せば着脱も簡単だ。

マリアナリゾート&スパのリーフスイート。左がコンバータレンズなしでの広角端(25mm相当)、右がフィッシュアイコンバーターレンズ装着時(18.5mm相当)での撮影。
4階ベランダからの眺め。夕日がきれいだった。左がコンバータレンズなしでの広角端(25mm相当)、右がフィッシュアイコンバーターレンズ装着時(18.5mm相当)での撮影。
ホテル内にあるマンディアジアンスパはサイパンで最大規模。写真はその入口。左がコンバータレンズなしでの広角端(25mm相当)、右がフィッシュアイコンバーターレンズ装着時(18.5mm相当)での撮影。

 いずれにしても、コンバーターレンズは他の防水耐衝撃デジカメには用意されていないオプション。別売となってしまうが、旅の前にぜひ揃えたいアイテムといえる。

ホテル内にあるチャペルの鐘。左から広角端(25mm相当)、望遠端(100mm相当)、テレコンバーターレンズTCON-01装着時の望遠端(170mm相当)。TCON-01は、遠くのランドマークなどを大きく写したいときに使える

 ちなみにテレコンバーターレンズのTCON-01は、単体で簡易的な単眼鏡として使える。実際に旅先の美術館で、作品の細部やキャプションを確認するのに重宝した。画質もクリアで見やすい。

水中での画質は文句なし

 TG-2が本領を発揮するのは、プールや砂浜といった水辺だ。その中でもシュノーケリングは、ビーチリゾートのメインイベントだろう。普段の生活では体験できないだけに、水中の世界を記録に残したいという人は多いと思う。

 TG-2が搭載する水中関連の機能は多彩だ。シーンモードを見ると、「水中スナップ」、「水中ワイド1」、「水中ワイド2」、「水中マクロ」の4つが用意されている。また、ホワイトバランスのひとつとして「水中」を指定可能。これがシュノーケリングのような浅い水深での色調を上手く補正してくれる。

水中スナップモード。基本的にはこのモードが使いやすい。マリアナリゾートではプライベートビーチでシュノーケリングが楽しめる。機材のレンタルも行なっている
水中マクロモード。ストロボが強制発光になるようだ

 水中では動画記録も楽しい。TG-2ではH.264による1080P(1,920×1,080ピクセル/30P)での記録が可能。動画ボタンを押すだけで記録が始まる。水中関連のシーンモードも適用されるようで、静止画と同様、動画でも美しい水中世界を記録することが可能だ。

 水中でフィッシュアイコンバーターレンズを使うのも面白い。水中で着脱できるため、水中ハウジングなど、本格的な機材では得られない気軽さだ。画角が狭くなる水中だけに、フィッシュアイ表現による視界の広がりが役に立つことだろう。

フィッシュアイコンバーターをつけると、より広い画角(24.6mm相当)になる。この例では、水面と海底の両方を収めることができた

 防水性能はシュノーケリング以外にも、突然の雨や、水をかぶりがちなリバークルーズなどでも心強い。また、砂にも強くラフに扱えるので、南国リゾートのお供にぴったりだ。

FlashAirでSNSに写真を公開

 いま流行のスマホ連携についても触れておこう。旅先で撮影した風景や珍しいものを普段使っているSNSに公開し、旅の記録とするのは楽しいものだ。SNSでつながっている人たちからの反応が撮影のモチベーションを上げてくれるし、何よりも写真にテキストを交えることで、そのときの自分の感情を記録できる。あとで見返すとこれまた面白い。

無線LAN機能を内蔵したFlashAir。濡れた状態で画像を転送できることから、防水デジカメとの相性も良い
成田空港第1ターミナル北ウイングに、グローバルデータの専用カウンターが1月よりオープンしていた。写真は出発ロビー。到着ロビーにもある

 スマホ連携といってもTG-2はWi-Fi機能を内蔵していない。そこで今回は無線LAN機能を搭載したSDHCメモリーカード、東芝FlashAirを使用した。FlashAirについて詳しくははこちらの記事を参考にして欲しいが、今回はオリンパスによるFlashAir転送アプリ「O.I.Share」を活用している。O.I.Shareについては、以前掲載したこちらの記事に詳しい。

 転送したスマホをつなぐデバイスとしては、「イモトのWiFi」でおなじみ、グローバルデータのモバイルWi-Fiルーターを使ってみた。サイパンではプリペイドSIMカードの購入と手続きが面倒で、過去何度か苦労した経験がある。空港で気軽に買えるアジアと異なり、街から離れた携帯電話業者のショップにタクシーで赴く必要があったり、その後の設定がなぜか個人ではうまくいかない。「だったらモバイルWi-Fiルーターのレンタルでいいか」と選択したのがグローバルデータ。結果、滞在中の貴重な時間を消費することなく、どこでも常時、ネット接続が可能になった。

 FlashAir、モバイルWi-Fiルーター、そしてスマートフォン。これらをTG-2に組み合わせることで、旅先での写真をSNSに上げることができた。スマホ単体でもできないことはないが、画質や自由度はTG-2に敵わない。特に、水中で撮影した写真のアップロードは、スマートフォンのカメラ機能では難しいはずだ。

まとめ

 その他、旅行で役立つ機能といえば、USB充電がある。これもTG-1から引き継いだものだが、充電器を使うことなく、ノートPCやモバイルバッテリーからの充電が可能。充電器を持っていかなくて良いので、荷物を少しでも減らせるというわけだ。ただし、充電に使うケーブルは本体同梱の専用のものになる。他の機器と使い回せる汎用のUSBケーブルが使えれば、さらにありがたいのだが……。

 背面の有機ELモニターは、明るい日差しの中でも比較的見やすい。それでもサイパンの眩しい日差しの下では物足りなく感じたのも確かだ。そんなときはOKボタンを長押しすると、背面モニターの輝度が一時的にアップする。この機能、水中でも便利だった。

 オリンパスのカメラでおなじみとなった、iAUTOやマジックフィルターも多用した。晴れた日のサイパンだと、iAUTOはプログラムオートよりも空や海の色が濃くなり、記憶色に近くなる。場合によってはやりすぎに感じられることがあるものの、乾季のサイパンの気持ち良さが記録できたと思う。

リーフスイート4階ベランダからの眺め。左がプログラムオート、右がiAUTO
ガーデン内。左からプログラムオート、iAUTO、マジックフィルター「ポップ」
マジックフィルター「ミニチュア」。ホテルには18ホールの本格的なゴルフコースと、8ホールのショートコースが併設されている
マジックフィルター「クリスタル」
マジックフィルター「ドラマチック」

 というわけで、TG-2と旅の親和性についてレポートしてみた。TG-2は防水耐衝撃デジカメとして基本性能が高く、さらに他のモデルよりも拡張性にも富む。レンズ交換式デジカメがメインのカメラだったとしても、サブカメラやメモカメラとして利用可能だ。GPSロガー機能やフィッシュアイコンバーターレンズといった特殊な機能も面白い。そして水中での画質。ダイビングやシュノーケリングの予定がある旅行でなら、活躍すること間違いなしだろう。

成田空港のラウンジ、デルタスカイクラブでの食事。こういう撮影はTG-2の得意とするところだ
客室のあるリーフサイドからセンターハウスを望む。広角端25mmは、その場の状況を収めるのに使いやすい
ガラパンのマイクロビーチに係留されていたボート。とにかく海がきれい。露出補正なしでも明るく撮れた
ススペ地区にあるランドマーク、マリアナスビジネスセンターの駐車場にて。時期が遅かったのか、フレームツリーを見れたのはここだけだった。28mm相当で撮影

(協力:オリンパスイメージング株式会社、マリアナリゾート&スパ、エクスコムグローバル株式会社)

本誌:折本幸治