「旅カメラ」としてのOLYMPUS TG-1を検証してみる

Reported by 本誌:折本幸治


 夏休みを前に旅行用のコンパクトデジカメの購入を考えていたところ、OLYMPUS Tough TG-1を試用する機会に恵まれた。もともとTG-1はこの記事を読んで、画質を含めた性能が気になっていたところ。タイミング良くオーストラリアのケアンズに持参することができたので、そのときのインプレッションを掲載したい。

 ここでの旅行用コンパクトとは、あくまでも道中の記録がメインのカメラを差し、作品撮り用のカメラとは別のカメラだと考えていただきたい。気になる光景や思い出を次々と記録することがメインの用途であり、「旅行記を作るためのカメラ」と言い換えても良いだろう。


まずは基本仕様について

 本題に入る前に、TG-1の基本仕様をおさらいしたい。

 オリンパスの防水デジカメのラインナップ中、最新モデルにしてフラッグシップ。12m防水・2m耐落下・-10度耐低温・100kgf耐荷重のタフネス性能についてはライバルより目立った点はないものの、搭載レンズの開放F値がF2-4.9と明るいのが特徴だ。焦点距離は25-100mm相当(35mm判換算)の光学4倍ズーム。



 また、コンバーターアダプターCLA-T01(2,520円)を介して、フィッシュアイコンバーターレンズFCON-T01(1万5,120円)や、テレコンバーターレンズTCON-T01(1万2,810円)を装着可能。アクセサリー類は他にも豊富に取り揃えてられており、防水デジカメらしかぬ充実度となっている。オリンパスではTG-1を「タフ・システムカメラ」と紹介しているくらいだ。

 防水デジカメでは当たり前になりつつあるGPS機能も装備。ロガー機能やA-GPSにも対応している。詳細は後述。

 撮像素子は有効1,200万画素の1/2.3型CMOSセンサー。センサーシフト式の手ブレ補正機構を備える。背面モニターは3型約61万ドットの有機EL。

 画質や操作性に関するレビューは、礒村浩一氏によるこちらの記事を参照して欲しい。


魚眼から170mm相当まで多彩な画角

 TG-1を使ってまず便利だったのが、広角端の画角が25mm相当だということ。旅行での記録写真は広角での撮影が多い。展望台や高層タワーから見る雄大な風景はもちろんのこと、背景にランドマークを入れつつ人物を撮るときなど、広い画角が求められるシーンは多い。またありがちだが、ホテルの室内を記録するときや、旅客機のシートでの撮影も広角の出番だ。


ケアンズ観光の定番、キュランダ鉄道でのひとこま。広角らしい遠近感を伴いながら、カーブを進む車両を収めることができた。TG-1 / 約3.6MB / 3,264×2,448 / 1/250秒 / F2 / 0.0EV / ISO250 / WB:オート / 4.5mm

リーフホテルのエントランス。屋上の動物園、Cains Wildlfe Domeを探ねた。TG-1 / 約2.0MB / 2,560×1,920 / 1/400秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm

ジェットスター航空JQ26、座席27Dから。座席の様子も広角なら記録しやすい。TG-1 / 約3.3MB / 3,264×2,448 / 1/50秒 / F2 / 0.0EV / ISO1600 / WB:オート / 4.5mm

宿泊したKoala Beach Resort Cairnsのベッドルーム。TG-1 / 約1.7MB / 2,560×1,920 / 1/30秒 / F2 / 0.0EV / ISO250 / WB:オート / 4.5mm

別のデジカメを使っての撮影。画角は広角端の28mm相当。アスペクト比比が違うせいもあるが、同じような高さで構えるとシーリングファンが入らない

 加えてTG-1では、フィッシュアイコンバーターを取り付けられる。これを装着すると、TG-1の広角での撮影が、いわゆる魚眼レンズと同じような表現になる。


コンバーターレンズをつける場合は、まず最初からついているレンズリングを外し、次にコンバーターアダプターCLA-T01を取り付ける。外したレンズリングを失くしそうだと思っていたら、やはり失くしてしまった(涙)

手前がフィッシュアイコンバーターレンズのFCON-T01。TG-1はレンズリングを外した状態

FCON-T01を装着。35mm判換算で焦点距離18.5mm相当、水中では24.6mm相当になる

 今回の旅行では、このフィッシュアイコンバーターが予想以上に役立った。引きのとれない狭い室内や、皿が並んだ料理の撮影などで大活躍。しかも使っていて面白い。私のように普段フィッシュアイレンズを使っていない人こそ、旅行先で楽しめるのではないだろうか。


広角端25mm相当(アスペクト比を16:9に設定)。グリーン島ツアーで乗船したBIG CAT号が入りきらない。TG-1 / 約3.1MB / 3,968×2,232 / 1/80秒 / F2 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm / マジックフィルター:ドラマチック

フィッシュアイコンバーターを装着すると、周囲の状況まで画面に入れることができた。TG-1 / 約3.4MB / 3,968×2,232 / 1/100秒 / F2 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm / フィッシュアイコンバーター装着 / マジックフィルター:ドラマチック

これはマジックフィルターのひとつ「フィッシュアイ」。画角は広がらずに歪曲だけが強調される。TG-1 / 約2.4MB / 3,968×2,232 / 1/100秒 / F2 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm / マジックフィルター:フィッシュアイ

宿泊したKoala Beach Resort Cairnsのリビング。これはフィッシュアイコンバーターなし。TG-1 / 約1.7MB / 2,560×1,920 / 1/30秒 / F2 / 0.0EV / ISO400 / WB:オート / 4.5mm

フィッシュアイコンバーターをつけると、部屋の様子がより記録できる。TG-1 / 約1.7MB / 2,560×1,920 / 1/30秒 / F2 / 0.0EV / ISO320 / WB:オート / 4.5mm / フィッシュアイコンバーター装着

フィッシュアイコンバーターをつけてキュランダ鉄道の車内を撮影。このときはまだガラガラだった。TG-1 / 約4.2MB / 3,968×2,976 / 1/40秒 / F2 / 0.0EV / ISO1600 / WB:オート / 3.3mm / フィッシュアイコンバーター装着

キュランダのレストランで。料理を撮るときもフィッシュアイコンバーターが役立ちそう。TG-1 / 約3.8MB / 3,968×2,976 / 1/250秒 / F2 / 0.0EV / ISO200 / WB:オート / 3.3mm / フィッシュアイコンバーター装着

 一方テレコンバーターレンズのTCON-T01だが、こちらは望遠側の焦点距離100mm相当を約170mmを伸ばしてくれる。TG-1は望遠に強いとはいえず、「旅カメラ」を標榜する高倍率ズーム系のコンパクトデジカメに比べると物足りなく感じることもある。そこをある程度カバーできるのがこのテレコンバータレンズだ。


右下がテレコンバーターレンズTCON-T01

TG-1に装着したところ

 使いどころとしては、遠くにあるランドマークをアップで写したり、動物園などでの撮影だろう。フィッシュアイコンバーターと同じく、旅行中「持ってて良かった」と思うシーンに何度も出くわした。


キュランダのButterfly Suncturalyで。テレコンバーターなしの望遠端100mm相当で撮影。TG-1 / 約3.3MB / 3,264×2,448 / 1/250秒 / F4.9 / 0.0EV / ISO320 / WB:オート / 18mm
テレコンバーターを装着。満足いく大きさまで引き寄せることができた。TG-1 / 約3.3MB / 3,264×2,448 / 1/250秒 / F4.9 / +1.0EV / ISO320 / WB:オート / 18mm / テレコンバーターレンズ装着

Cairs Wildlife DOMEのクロコダイル。名前はゴリアテ。テレコンバータなしでの撮影。TG-1 / 約4.3MB / 3,968×2,976 / 1/250秒 / F4.9 / 0.0EV / ISO1000 / WB:オート / 30.6mm

テレコンバータを装着。5.0MB / 3,968×2,976 / 1/250秒 / F4.9 / 0.0EV / ISO1250 / WB:オート / 30.6mm / テレコンバーターレンズ装着

 コンバーターアダプターCLA-T01には40.5mmのレンズフィルターを装着できる。適合するレンズフィルターは、PLフィルター、NDフィルター、プロテクトフィルターなどが店頭で入手できる。旅行で使うとなると、風景撮影と相性の良いPLフィルターだろうか。


コンバーターアダプターには40.5mmのレンズフィルターを装着できる。写真はND2フィルターを装着したところ

 今回は海に行ったのでPLフィルターを装着。定番の水の反射を抑えるテクニックを試してみた。


PLフィルターなし。TG-1 / 約4.1MB / 3,968×2,976 / 1/320秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 4.5mm

PLフィルター最大効果。海面の反射が低減され、海の透明度の高さがより表現できた。空の色も変化した。TG-1 / 約4.3MB / 3,968×2,976 / 1/640秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO100 / WB:晴天 / 4.5mm

 PLフィルターは青空のコントラストを高めたり、木々の葉の反射を抑えて緑色を濃くするなどの効果が知られている。自然と出会える旅行なら、ひとつ持参すると活用度は高いはずだ(ただし晴天時に限る)。

 40.5mm径のレンズフィルターは、一眼レフカメラレンズ用で一般的な55〜77mm径より比較的購入しやすい価格だし、サイズもそれほどかさ張らない。フィッシュアイもそうだが、TG-1との旅行を機に、こうしたレンズフィルターに入門してみるのも手だろう。

 TG-1のレンズに関して、もうひとつ付け加えたいことがある。それは強力な望遠マクロだ。

 広角端で被写体に寄れるコンパクトデジカメはいくらでもあるが、たいていはズームさせると急に最短撮影距離が長くなり、被写体に近寄れなくなる。しかし方TG-1なら、望遠端で被写体に約10cmまで近づけるのだ。

 その能力が発揮されるのが料理の撮影。望遠で撮れるのが便利というより、画角の自由度の高さがポイントだ。

 広角で料理を撮ると、遠近感が強くつき過ぎたり、余計なものが画面端に映り込むため使いづらい場面がよくある。その点TG-1なら最短撮影距離をあまり意識せず、比較的自由な撮影距離と自由な画角で撮影できる。料理の記録は素早く終えたいものなので、ストレスなく画角が選べるTG-1の使いやすさに感心した。


the banana leafというタイ料理屋で出てきたMagic Potというメニュー。パンの中にアジア風野菜炒めが入っている。これがとてもおいしかった。TG-1 / 約4.4MB / 2,976×3,968 / 1/30秒 / F2.3 / 0.0EV / ISO400 / WB:オート / 5.5mm

晩ご飯を食べに行ったCafe Thailandというお店で。暗めの室内だったが、40mm相当でF2.8とレンズが明るいため、ISO800で撮影できた。TG-1 / 約4.9MB / 2,976×3,968 / 1/30秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO800 / WB:オート / 7.3mm


実用度の高いGPS機能

 いまや防水デジカメにとって、GPS機能は外せない機能の一つだ。いまさら強調するまでもなく、旅行とGPS機能の相性はすこぶる良い。後から地図で場所を確認できるというだけで、旅行後に写真を見返すのが断然楽しくなる。個人的にはGPS機能のないカメラは旅行に持って行きたくないほどだ。

 TG-1のGPS機能は充実しており、ロガー機能、ランドマーク表示、A-GPSに対応する。

 ロガー機能とは、撮影していなくても位置情報などを記録し続ける機能。常時電池を使用するデメリットはあるものの、どういうルートで移動したがが記録されるのは旅行の記念として大変魅力的だ。

 ログデータをもとに、別のデジカメで撮影した画像に位置情報を付加することも可能。例えば、TG-1をサブカメラとして持ち歩いていれば、メインカメラで撮った作品にも位置情報を付加できる。色々と楽しいので、撮影画像に位置情報を付加するだけのデジカメより、旅行では断然GPSロガー機能がついたデジカメをおすすめしたい。


MENUボタン長押しで現れる位置情報画面。設定しておけば、近くのランドマーク名もここに表示される

GPS設定から「GPS」→「情報」を選ぶとGPS衛星の捕捉状況を確認できる。画面は帰国してからのもの

 TG-1のログデータは自動保存で追記され、日付が変わると新しいファイルが作られる。また、GPSロガー機能のメニューには「保存」という項目もあるが、新たなファイルが作られるだけなので、基本的には使わなくて良いようだ。GPSロガー機能使用時の電池の持ち時間も気になるほど短くなるわけではなく、旅行中は常用して良いと思う。


アウターリーフへのシュノーケリングツアーに参加したときのログデータをApertureに読み込ませた。この情報があれば、別のデジカメで撮った写真にも位置情報を後付けできる

 A-GPSとは、PCからUSBでTG-1に測位情報をダウンロードするもの。
これをしておくと、電源ONからのGPS衛星の捕捉が大幅に速くなる。実測では10秒ぐらいで位置情報の取得が完了。電源を切って間があいてなければ、数秒で位置情報を取得する。

 アシストデータをダウンロードするには、Window用とMac OS X用の2種類の専用ソフトが必要。旅行の前の準備のひとつとして、忘れずに更新しておきたい。


Mac OS X用のOLYMPUS A-GPS Utility。旅行に出る前にアシストデータを更新しておきたい

水中での画質はトップクラス

 今回の旅行はシュノーケリングがメインの目的だったので、もちろん防水性能が活躍した。TG-1の耐水深性能は12m。シュノーケリング程度なら全く問題ない。

 ちなみに最近のオリンパスの防水デジカメは、「水中」というホワイトバランスが秀逸だ。全体的に緑っぽさを抑えて、ストロボ光を回したかのような自然な青さになる。水中にいるときは肉眼での見え方と少し違うと感じるかもしれないが、後で鑑賞したときの記憶色として不満はない。

 今回は2回シュノーケリングツアーに参加したが、どちらも雨が振っていたこともあり、水中のコントラストは高くない。それでも画質はこれまでになく満足いくものだった。レンズの明るいことで感度も抑えられているのだろう。水中では画角が狭くなるので、25mm相当からの広角レンズも有効に感じた。


TG-1 / 約4.9MB / 3,968×2,976 / 1/640秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO100 / WB:水中 / 4.5mm

TG-1 / 約4.7MB / 3,968×2,976 / 1/500秒 / F3.2 / 0.0EV / ISO100 / WB:水中 / 5.1mm

TG-1 / 約4.6MB / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F4 / 0.0EV / ISO100 / WB:水中 / 7.3mm

TG-1 / 約5.3MB / 3,968×2,976 / 1/400秒 / F3.5 / 0.0EV / ISO100 / WB:水中 / 6.9mm

TG-1 / 約3.5MB / 3,968×2,976 / 1/640秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO100 / WB:水中 / 4.5mm

 水中では動画記録も面白い。むしろ最近は個人的に静止画より多用している。魚など動く被写体を静止画で収めるのは難しいが、動画なら適当に回しているだけで良い記念になるからだ。

 TG-1の動画は、最大1,920×1,080/30fpsのH.264。静止画のシーンモード「水中スナップ」、「水中ワイド」、「水中マクロ」のいずれも、動画ボタンを押すだけで、そのモードのまま動画記録に切り替わる。



 防水性能が役立つのは、何もシュノーケリングだけではない。観光や街歩きの途中、突然雨に振られることも考えられし、旅の途中ではモーターボートでのリバークルーズなど、水をかぶるのがデフォルトのアクティビティに出くわすかもしれない。そんなときでもカメラに水がかかるのを気にすることなく撮影が可能だ。少し運動するだけで、汗だくになるような南国でも大丈夫。その代わり、本体が重くなるのは仕方がないか……


エスプラネードスイミングラグーンにあるオブジェ。水が流っれぱなしで、近づくと濡れてしまう。そんなときでも防水デジカメならためらうことなく撮影できる。TG-1 / 約2.9MB / 3,968×2,232 / 1/320秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm

 ちなみにフィッシュアイとテレの2つのコンバーターレンズだが、どちらも水中で着脱できる。水着のポケットに忍ばせておき、必要に応じて装着できるのは面白かった。もちろん両方とも、水中での使用はメーカーが保証。水中写真とフィッシュアイレンズの相性の良さは良く知られている通りだ。これを防水デジカメで手軽に体験できる。

 ちなみに、水中でGPS機能が働かない防水デジカメがいくつかあるが、TG-1は水中でもしっかり位置情報を取得していた。


防水デジカメしかぬ多彩なアクセサリー群

 上記したコンバーターレンズもそうだが、TG-1はやたらとアクセサリーが充実している。

 例えばボディジャケットのCSCH-109(6,825円)。レンズ好感式のノンレフ機や高級コンパクトデジカメでは珍しくないアイテムだが、防水デジカメでこの手のアイテムは見たことがない。正直、最初は必要性を感じなかったが、触り心地が良く、汗をかいた手でも扱いやすい。ホールディング性能も良くなる。


革製のボディジャケットCSCH-109。防水デジカメにはミスマッチかと思いきや、見慣れると結構かっこ良い。レンズリングは紛失したのでつけていない(以下同)

ネックストラップCNS-13を組み合わせたところ


 ボディジャケットとあわせてデザインされているのが、本革ネックストラップのCNS-13(5,040円)。ネックストラップを使うのは久しぶりだったが、カメラを首から提げたとき両手が使えるので、スーツケースを引っ張りつつスマートフォンを見ながら移動するときなど、改めて便利に感じた。買い物袋を両手に持ったり、旅行での移動時は荷物が多い。改めて、ネックストラップという選択は悪くないと思う。

 防水デジカメのボディジャケットいえば、こちらのシリコンジャケットCSCH-108の方が一般的だろう。4方向ボタンやズームレバーなども覆われてしまうが、操作性はそこそこ確保されている。都市では革製ボディジャケット、海や山ではシリコンジャケットと、場面に応じて着替えるのも面白いかもしれない。


シリコンジャケットCSCH-108


 フロートストラップもTG-1のリリースあわせて、新型のCHS-09(2,940円)が用意されている。フロートストラップとは、カメラに浮力を持たせるためのもの。万が一手からカメラが離れても海底に沈まないため、シュノーケリングでは必須ともいえるアイテムだ。これにもTG-1の統一デザインである赤と黒が採用されている。


フロートストラップCHS-90を装着

高級コンデジのようなカスタマイズもできる

 TG-1の面白いところはまだある。例えば、モードダイヤルにある「C1」「C2」はいわゆるカスタムモードで、自分好みの設定を割り当てておける。これまた防水デジカメらしかぬ機能で、まるで高級コンパクトデジカメのようだ。


モードダイヤルにカスタムモードのC1とC2を装備。

 旅行中、私はC1にメモ的なマクロ用(ストロボOFF、マクロモードON、ホワイトバランスオート、ISO HIGH、500万画素)、C2に水中用(ストロボOFF、ホワイトバランス水中、500万画素)を割り当てていた。通常はPモードで撮影、メモ的な撮影はC1、シュノーケリングではC2という役割分担だ。本当は陸上ではシーン認識のiAUTOだけを使う予定だったが、ストロボ発光をOFFにしても電源を切ると戻ってしまうので、すばやくストロボ発光をOFFにするためにもC1を作ってみた。

 モードダイヤルを切り替えるだけで複数の設定を一気に替えることができるので、マクロ、水中だけでなく活用範囲は色々考えられる。旅行での移動中は次々と光景が変わるため、こうした機能は使いこなすととても便利だと思う。


旅カメラとして信頼できる性能

 以上、TG-1を実際の旅行の中で使ってみたインプレッションを綴ってみた。画質も防水デジカメとしては群を抜く良さだし、ボタン類の固さも一般的なデジカメに近い。アウトドアテイスト全開なライバル機に比べて、カメラらしい落ち着いたデザインなのも気に入った。

 また、シーンモードのHDRやマジックフィルターもたまに使うと気分転換になり面白い。特にマジックフィルターの「ドラマチック」は、曇天がほとんどだった今回の旅行で面白い効果を発揮し、気分を盛り上げてくれた。


TG-1 / 約5.2MB / 3,968×2,976 / 1/800秒 / F2.8 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm / マジックフィルター:ドラマチック

TG-1 / 約4.8MB / 3,968×2,976 / 1/200秒 / F8 / 0.0EV / ISO100 / WB:オート / 4.5mm / マジックフィルター:ドラマチック

 USB充電に対応していることも強調しておきたい。ノートPCやスマートフォン用外付けバッテリーから充電できるので、充電器を忘れても充電できるのはありがたい。少しでも荷物を減らす意味でも有効な機能だ。

 ただし充電には専用のUSBケーブルが必要。ここはminiBタイプやMicroタイプのコネクタを採用する汎用ケーブルでも使えるようにして欲しかった。

 旅行用のカメラとして残念なのは、起動してから撮影できるまで3秒くらい待たされること。さらにいうなら、望遠側の画角があと一息欲しいところだ。

 また、ロガー機能をONにすると、FlashAirが使えなくなるのも辛い(そもそもTG-1はFlashAirへの正式対応を謳っていない)。どうやら動作電圧が足りないようだ。

 それらの点を除けば、防水、拡張性、GPS機能など、自分が求める旅カメラとしての機能は網羅されている。加えて、レンズが設計が不利な防水デジカメにしては、画質がすこぶる良いことも付け加えたい。

 次の旅行にもTG-1を連れていくことは決めた。旅の相棒として、長くつきあっていければと思う。

(協力:オリンパスイメージング株式会社)






本誌:折本幸治

2012/7/31 00:00