特別企画

瞳トラッキング×40コマ/秒の超高速連写! キヤノン EOS R6 Mark IIの実力をポートレートで試してみた

強い日差しの木陰の中は明暗差の強い場所だったが、そんな状況でも全く問題なくモデルの瞳にピントを合わせることができた
RF50mm F1.2 L USM/絞り優先AE(F1.8、1/4,000秒、±0EV)/ISO 200/WB: 太陽光

数々の先進機能を搭載して新たに登場した「EOS R6 Mark II」。中でも瞳トラッキングを中心としたAF関連や、最大約40コマ/秒を誇る連写性能が大きな注目を集めています。

このページではポートレートにおけるそれら2つの可能性を探るべく、フォトグラファーの髙木慎平さんにEOS R6 Mark IIによる作品と解説をお願いしました。(編集部)

EOS R6 Mark II
発売予定日:2022年12月中旬 予想実勢価格:39万6,000円前後

SPECIFICATION
有効画素数: 約2,420万画素
EVF: 0.5型/約369万ドット/約0.76倍(50mmレンズ・∞、-1m-1)
測距範囲: EV-6.5〜21
ISO感度: ISO 100〜102400
手ブレ補正機構: ボディ内5軸 最高約8.0段
シャッター速度: 1/8,000〜30秒(メカ、電子先幕)、1/16,000秒※、1/8,000〜30秒(電子)、バルブ
連続撮影速度: 高速連続撮影+ 約40コマ/秒(電子)、約12コマ/秒(メカ/電子先幕)
背面モニター: 3.0型/約162万ドット
使用電池: LP-E6NH/LP-E6N/LP-E6
外形寸法: 約138.4×98.4×88.4mm
質量: 約670g(バッテリー、カードを含む)
※Tv/Mモード時のみ選択可能

画面の中で人物が小さくても瞳をキャッチする

画面のどこにモデルがいても、瞳を見つけたら正確にピントを合わせてくれる。撮影時の安心感につながるため、新しい構図を試したりと作品の幅も広がる
RF50mm F1.8 STM /絞り優先AE(F2.0、1/1,600秒、+1.3EV)/ISO 250/WB: 太陽光
少し離れてモデルの瞳が小さくなった状態でもしっかりと瞳トラッキングが機能した。瞳にピントが合った上で背景のボケも生きてくる
RF35mm F1.8 MACRO IS STM /絞り優先AE(F2.2、1/1,250秒、+0.3EV)/ISO 200/WB: 太陽光

瞳を検出して追いかける瞳トラッキング。使って驚いたのは、モデルが離れていっても瞳を検出したことだ。

モデルが画面内で小さいと1点AFでは瞳にピントを合わせるのは難しいため、顔に合わせるというアバウトな感じになってしまう。きちんと合っているのか? という不安がないのがありがたい。

モデルの距離がさらに離れると瞳ではなく顔を検出する。カメラのモニター上でも瞳を認識しづらい距離で顔へと切り替わる感覚で、かなりのところまで瞳を検出してくれる。

画面内に入る人物の大きさを変えて、瞳の検出性能を比べた。一番左の顔がギリギリ分かるような大きさでも瞳を検出した。顔と瞳で迷うことがあったが、瞳に行く方が多かった。中央の大きさでは瞳を完全に検出する。一番右の大きさでは瞳は難しく、上半身にAFフレームが広がり人物として捉えていた。

瞳を検出
瞳を検出
胴体を検出

検出する瞳を選ぶことができる

EOS R6 Mark IIから瞳トラッキングで検出できる目を「瞳検出」メニューで「右目優先」「左目優先」「自動」を選べるようになった。

さらに検出する瞳を右目か左目のどちらかだけにする「瞳検出の限定」メニューも追加された。撮りたいシーンが決まっている場合は限定すると迷いがなくなるのでスピーディに撮影できるようになる。

「瞳検出」はボタンカスタ マイズで割り当ても可能。「右目優先」「左目優先」「しない」「自動」と切り替わる

大口径レンズの開放F値でも楽々追従

開放絞りにして撮影することで奥行きを出すことができる。季節を感じる木の実と被写体を浮き立たせた1枚となった
RF50mm F1.2 L USM/絞り優先AE(F1.2、1/5,000 秒、+1.0EV)/ISO 200/WB: 太陽光
RF50mm F1.2 L USM

強力な瞳トラッキングはF値の明るい大口径レンズを使うときにも効果を発揮する。

被写界深度が浅くなるほどわずかなピントのズレが気になり、モデルが少しだけ動いてもずれてしまう。

EOS R6 Mark IIの瞳トラッキングは捉える速度が速く、さらに正確なので大口径のボケ感を大いに楽しむことができる。

Point|検出した瞳にAFフレームを移動する

ボタンを押すと瞳へAFフレームが移動する

EOS R6 Mark IIはトラッキング機能をオフにしても検出した被写体のフレームが表示される。

ワンショットAF時の1点AFであってもボタンカスタマイズで「検出した被写体でAF」を割り当ててボタンを押すと、検出した場所へAFフレームが移動する。

スナップを撮りつつ、ポートレートというようなシーンなどで便利な機能だ。

暗い場所でも瞳を追い続ける

光の少ない室内の階段で、帽子を被っている状態でもサーボAFで瞳を追い続けて撮影できた。暗い場所でAFの設定を変更する必要はない
RF35mm F1.8 MACRO IS STM /絞り優先AE (F1.8、1/250秒、-0.7EV)/ISO 400/WB: 太陽光
自然光の少ない場所でもピントが正確で、ノイズも少なくきれいに描写されている。EOS R6 Mark IIの描写力は暗い場所でも発揮される
RF50mm F1.8 STM/絞り優先AE(F1.8、1/200秒、 +0.7EV)/ISO 400/WB: 太陽光

室内や照明の少ない場所で撮影する場合でも瞳トラッキングが非常に役立った。

EOS R6 Mark IIはEV-6.5(ワンショットAF時)まで測距できる能力を持っているが、実際に夕暮れで撮影してみたところ、明るい場所での撮影と変わらない精度で瞳を追尾し続けてくれた。

明るさに関わらずどこでも瞳トラッキングが使えるのはかなり便利だ。

Point|大口径レンズを使った方が精度が上がる

暗い場所では開放F値の明るいレンズの方が被写体検出の精度が上がる。

キヤノンには筆者も愛用するRF35mm F1.8 MACRO IS STMのようなコンパクトな単焦点レンズもそろっているので、暗い場所で撮ることが多いのなら1本は持っておくと良いだろう。

動画を撮るようにポートレートを撮影できる

バリアングルモニターを使用して被写体と共に歩きながら撮影。約40コマ/秒はあとからわずかな光の加減、髪の毛のゆれ具合がベストな写真を選べる
RF50mm F1.2 L USM/絞り優先AE(F1.2、 1/8,000秒、+0.7EV)/ISO 200/WB: オート

歩きながら撮影するときや、風の強い場所で人物を撮影するシーンを約40コマ/秒で撮影すると表情や髪の動きなど写りの良い1枚をあとから選ぶことができる。撮り直しのできない場所の撮影では40コマ/秒の連写はとても便利な機能だと感じた。動画からお気に入りの一瞬を切り出すような感覚で使用すると良い。

電子シャッターではEOS最高速を誇る
メカ/電子先幕電子
EOS R6 Mark II 約12コマ/秒 約40コマ/秒
EOS R3約12コマ/秒約30コマ/秒
EOS R7約15コマ/秒約30コマ/秒

Point|ローリングシャッターゆがみは気にならない

電子シャッター撮影時に気になるのが、被写体の形が変わって写るローリングシャッターゆがみ。

EOS R6 Mark IIではEOS R6と同等以下までにゆがみが抑えられているので、人物撮影では積極的に電子シャッター+高速連写を使っても問題ないと感じた。

電子シャッターにすると、室内の撮影で役立つサイレントシャッターも使えるのも心強い。

一度瞳をつかめば画面の端まで追いかける

EOS R6 Mark IIは被写体を検出したらつかんで離さないという追尾能力が向上している。

以前は人物の顔や瞳を検出したあとでも、しゃがんだり、体の一部が隠れると検出から外れてしまうことがあった。

EOS R6 Mark IIでは姿勢変化の追尾性能が上がり、画面の端まで行っても離さない。ピントはカメラ任せにして構図だけに気を付けた撮影ができるようになる。

画面中央で人物を検出
被写体検出時は被写体が端まで来てもAFフレームが 追尾する

日常のわずかな変化を逃さない

段差からジャンプしたモデルを約40コマ/秒で撮影した。動きの大きなモデルの一瞬を連写で捉え、足と手がきれいに伸びている1枚を選んだ
RF50mm F1.8 STM /絞り優先AE(F2.0、1/500秒、+1.0EV)/ISO 250/WB: オート

新しいスタンダード機として登場したEOS R6 Mark IIは本体が約670gと軽く、RFレンズは軽量化されているものも多いため、小旅行や日常で人物を撮影するのに最適なカメラだと感じた。

肌のきめの細やかさ、ピントが合った部分のシャープ感、そして色合いは「さすがキヤノン」と感動するほど美しく、ポートレート撮影の楽しさを引き出してくれる。

メニュー画面も見やすく、分かりやすく設計されているため、EOS R6 Mark IIを始めて使う人でも直感的に自分好みの設定も簡単に行える。

今回、多用した瞳トラッキングはピントを合わせる目を右目か左目かを選ぶこともできる。撮影したい顔の向きが決まっている場合は、とても快適かつ正確に撮影をすることができるおすすめの機能だ。

瞳にピントがきれいに合っている写真は見る人の目を引き付ける力があるので、瞳トラッキングでこれからのポートレート写真のクオリティーがどんどん上がってくるのではないかと感じている。

オートホワイトバランスの精度が高く、芝生のような緑の多いシーンも緑と肌の色を美しく仕上げてくれた
RF50mm F1.2 L USM/絞り優先AE(F2.0、1/5,000秒、±0EV)/ISO 200/WB: オート
暗部までしっかり表現されているため、夕暮れでもコントラストが強くなり過ぎず、柔らかい写真に仕上げることができる
RF35mm F1.8 MACRO IS STM /絞り優先AE(F1.8、1/800秒、+1.0EV)/ISO 200/WB: オート
ガラス戸の隙間からひょっこりとのぞいた瞬間も素早い検出で逃さなかった。AFが速く正確なので撮影がとてもスムーズに進む
RF50mm F1.8 STM/絞り優先AE(F1.8、1/250秒、-0.3EV)/ISO 200/WB: オート
夕暮れの優しい光の時間を狙って遊園地で撮影した。モデルの服装と遊園地の階 段の配色が見事に合った。0.03秒とい う優れたAFスピードで、モデルが見せるふとした瞬間を逃すことなく撮影できた
RF50mm F1.2 L USM/絞り優先AE(F2.0、1/1,000秒、+1.7EV)/ISO 250/WB:オート
軽いボディと高精度の被写体検出で撮影が楽しくなる。直感的に撮影を進めることができるのは、フォトグラファーにとっては重要なこと。軽快な撮影で自然とモデルの表情も良くなる
RF50mm F1.8 STM/絞り優先AE(F1.8、1/1,600秒、+1.0EV)/ISO 250/WB:太陽光

モデル:YUI
制作協力:キヤノンマーケティングジャパン株式会社