特別企画
ニコンが公式に推奨するメモリーカード、プログレードデジタル「COBALT」の魅力とは? Z 9のヘビーユーザーが解説
ファームウェアアップデートでさらに利用価値が高まる
2022年7月9日 07:00
筆者はNikon Z 9の発売日に思い切って3台のZ 9を購入した。通常仕事用のカメラは2台を購入することが多いが、あまりにもZ 9の完成度が高いため3台導入することにしたのだ。
理由のひとつは「動画性能」が高い点だ。近年は静止画撮影の仕事に加え、動画撮影の需要が高まり、動画撮影をする機会が飛躍的に多くなった。
さらに、自身で運営しているYouTubeチャンネルも撮影しているので、動画に強いカメラが必要不可欠だ。3台のうち2台を動画用、1台を静止画用に使っている。
アップデートでZ 9が最強の動画カメラに
4月20日にNiko Z 9のファームウェアアップデート Ver.2.00が公開になり、Z 9は最強の動画カメラになったと言って過言でないだろう。
Ver.2.00では様々な機能がアップデートされたが、動画においてはRAW動画を内部収録できるようになった。N-RAWとProRes RAW HQに対応しており幅広い動画を撮影できる。
今まで、Nikon Zシリーズは有償のRAW動画出力機能により外部レコーダーへのRAW出力は可能ではあったが、Z 9は内部収録できるため安心感プラス機動力を活かした撮影が可能になったのもポイントだ。
筆者自身、記録撮影の場合は将来のことを見据えて、8Kで撮影することが多く、逆にYouTubeコンテンツだとFHDや4Kで撮影することが多い。また、企業イメージ動画やショートクリップ動画、シネマティックな作品はN-RAWやProRes HQ 4:2:2 10bit、ProRes RAW HQなどかなりデータ量の多い記録形式を活用する。60Pや120Pでの撮影もあり、いずれにしてもデータ量は膨大になりがちだ。
動画こそメモリーカードが重要に
最新アップデートで特に注目の「N-RAW 8.3K 60P」や「4.1K 120P」を収録するには、メモリーカードがさらに重要になるだろう。
筆者が現在Z 9で使用しているメモリーカードはProGrade Digitalの「COBALT 1700R 325GB」と「同650GB」。理由はシンプルでニコンの推奨メディアであるということと性能の高さだ。
仕事がら様々なメディアを使用して、自分なりの信用できるメディアをいくつか決めている。その中でもCOBALTシリーズは安心感があり現在のメインメディアだ。とにかく高速で止まらない、エラーが起きない安心感がCOBALTシリーズにはある。
メモリーカードは多くの方が一番「妥協」しやすい部分だろう。レンズやカメラほど、メモリーカードにこだわりがない方もいらっしゃるのではないだろうか。確かに、メモリーカードを変えても写りそのものは変わらないので、妥協につながるのかもしれない。
しかし、動画撮影中は急に悲劇がやってくる。CFexpressの多くは性能もよく高速な物も多いが、少し長回しなどすると急に止まるメディアもあるのは事実だ。スペック上の書き込みや読み込み速度は同じような物でも、やはり個体差は大きい。最初の数秒や数分は撮影できていても急に止まることも珍しくない。
Z 9で撮影する際、急に録画が止まってしまう場合などはほとんどメモリーカードが関係しているように思う。書き込み速度が低下して止まったり、メモリーカード自体の温度が上昇したりして止まるということが圧倒的に多い印象だ。
ほぼ毎日動画撮影を行っているが、COBALTシリーズを使用して止まったことは今の所ない。それだけでも使用する意味があると思う。
N-RAW8.3K 60Pでも止まらない
ファームウェアアップデートVer. 2.00で可能になったN-RAW 8.3K 60Pでの記録。データ量も多く20秒の素材で約14GBにもなる。
実際に8.3K 60Pで1分46秒の撮影をした時も、まったく止まることなく撮影できたことを報告しておきたい。
N-RAWやProRes RAW HQを撮影すると、Z 9ではFHDのプロキシファイルも同時記録してくれるので便利だ。N-RAWはDaVinci Resolveで編集やグレーディングを行えるので使い勝手抜群だ。
N-RAW 4.1K 120Pも余裕で収録できる!
N-RAWの魅力でもある4.1K 120Pはスローモーション撮影にも使える。30Pで再生すれば1秒を4秒にできるので、ダイナミックな表現ができる。
Z 9はAF速度もコントロールできるのでスローモーションの時は少しAF速度を速くして撮影することが多い。また、人物撮影などではAF時の被写体検出設定にある[被写体未検出時のAF駆動をOFF]にすると、ピントが背景に抜けなくなるので便利だ。
120Pの場合はスローモーション用途が多いため筆者の場合は長回しはしないが、野生動物や乗り物など決定的瞬間を狙うのに少し長回しする方にはCOBALTシリーズは安心感があるだろう。
カードリーダーにも気を配ろう
また、動画撮影は大量のデータを扱うため、撮影が終わってからも動画をSSDやHDDに移す作業が待っている。
筆者はCFexpressからSSDにデータを移しているが、その際もCFexpressのシリーズの高速転送により時間の節約に繋がっている。
カードリーダーももちろん純正を使用。様々なメーカーからカードリーダーが出ているが、純正を使うのが最も安全だと筆者は考える。極力エラーを起こさないためにもCOBALTシリーズを使う際は純正リーダーがオススメだ。
「RefreshPro」でコンディションを最善に
もうひとつ筆者がCOBALTシリーズを使う理由がある。「RefreshPro」を使える点だ。
プログレードデジタル日本法人代表の大木によると、フラッシュメモリは何度も書いたり消したりを繰り返すとの内部が汚れてしまい、ガベージコレクションという掃除をフラッシュメモリのコントローラーによって自動で行うため速度が低下してしまうとのこと。結果、動画撮影が止まってしまうことがあるのだ。
メモリーカードの内部を綺麗にするには、物理フォーマットをする必要があるが、大容量メディアなので時間が掛かってしまうのが難点……しかし、RefreshProのサニタイジング機能を利用すると、3分ほどでメモリーカードをリフレッシュできてしまうのだ。メモリーカードの状態も確認できるのでとても安心だ。