特別企画

持ち運べるスタジオ「GIGABYTE AERO 17 HDR」を試す

4K HDR・Adobe RGB 100%・17インチ…写真/動画編集が自慢のハイエンドノートPC

今回試用したAERO 17 HDR。強力なスペックを薄型の17.3インチ筐体に収めたハイパフォーマンスモデルだ。

クリエイターとノートPCについて

PCはクリエイターにとって非常に重要な機材だ。カメラで撮影した画像はそのままでは納品できず、通常何らかの形でPCでの作業が加わる。そのためカメラはもちろん、PCにも不満はかかえたくない。カメラとPC、欲を言えばどちらにも妥協はできないのだ。

例えば筆者が使用している主なソフトウェアは、静止画編集用が「Lightroom Classic CC」、動画編集用が「Premiere Pro」だ。以前ほど高度なスペックが必要とされることはなくなったが、それでも限られた納期の中で数多くの編集や長時間の書き出しを行うなど、パフォーマンスを求められる作業も少なくない。一般的なPCでの作業はもどかしく、静止画・動画専用のマシンを用意している理由もそこにある。

ちなみに筆者は長年Macを使用していたが、2年前から静止画用にWindowsマシンを選んでいる。理由は価格とスペックのバランスが良い点と、選択の幅が広い点だ。フリーランスのため写真とは直接関係ない事務的な作業も多く、対応ソフトやサービスが多様なWindowsの方が使い勝手がよいと感じている。

先に挙げた「Lightroom Classic CC」「Premiere Pro」は、どちらもWindowsとmacOSの両方に対応しており、データはクラウドで管理されているので切換や移行も難しくない。そういった面もあり、写真系でもWindowsに着目しているクリエイターは以前から増えている印象だ。

また、仕事柄とにかく移動することが多いため、ノートPCを常に持ち歩いている。移動先でも編集作業は休めないからだ。筆者にとってノートPCは動くオフィス、動くスタジオと言ってもいい存在なのだ。

そのため、多少重く大きくてもハイスペックなノートPCを選ぶようにしている(Mac時代も15.6〜17インチモデルを愛用していた)。スペックが低いと時間を浪費してしまうので勿体ない。特に動画などは書き出しに時間が掛かってしまうのでできるだけ所要時間を短くしたいのだ。

筆者がノートPCに求める条件は、その時点でハイパフォーマンスなCPU、パワフルなビデオグラフィック、メモリもできるだけ搭載できること……それらにディスプレイの品質が加わる。画面解像度はワークスペースに関わり、作業効率を左右する。さらにクリエイターにとって、画面の色再現性能はそれ以上に重要だ。

AERO 17 HDRとは?

GIGABYTEの「AERO 17 HDR」については、今回のレビューで初めて触らせてもらった。ゲーミングPCのイメージがあるGIGABYTEだが、「AERO」シリーズはクリエーター向けという位置付けだ。

スクリーンサイズは17.3インチモデル(AERO 17 HDR)と15.6インチモデル(AERO 15)を用意。15.6インチモデルにはOLEDを選択することが可能だ。

今回試用したのは17.3インチモデル。一昔前まで17インチのMacを使っていたので個人的に嬉しいサイズだ。

AERO 17 HDR(画像提供:GIGABYTE)

そしてこの17.3インチの液晶ディスプレイに、かなりの拘りが感じられるのだ。色域・色再現についてはAdobe RGB 100%、およびX-Rite Pantoneに対応。写真家の作業にとって色再現は非常に重要なので安心して使えそうだ。4K解像度というワークスペースの広さについても期待がかかる。

この「AERO 17 HDR」をしばらく試用してみたので、その印象をまとめてみたい。

主な仕様(AERO 17 HDR XB-8JP4130SP)

CPU第10世代 インテル Core i7 10875H(Comet Lake)2.3GHz/8コア
OSWindows10 Pro 64bit
グラフィックスNVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER Max-Q Design
メモリ16GB
ストレージ512GB(NVMe SSD)
ディスプレイ17.3インチ 3,840×2,160 広視野角ディスプレイ
外形寸法396×270×21.4mm
重量2.5kg
実勢価格329,800円

薄く高級感のある外観

外観から見ていこう。デザインはゲーミングPCの面影を残しつつクリエーター向けにシンプルにしている印象だ。カラーはブラックの落ち着きが感じられる。

アルミなど金属のパーツも多く使われており高級感が感じられ好印象だ。液晶モニター周りのベゼル幅は3mm。側面とあわせ、17.3インチモデルとしては非常に薄く感じる。

昨今必須のWEBカメラももちろん搭載されている。プライバシーカバーを搭載するなど安心感もある。

底面はメッシュ状になっておりPCの発熱を効率よく逃がすことができそうだ。動画のレンダリング中などはそこそこ音は大きくなるが、熱はしっかり逃がしている印象を受けた。

ちなみにキーボードはテンキー装備のフルキーボードとなっている。数値入力を素早く行うなどテンキーを重視するユーザーにとっては重要な要素だろう。

最強スペックのディスプレイ

「AERO 17 HDR」の魅力の1つは高品質なディスプレイだろう。解像度3,840×2,160の4K UHDをカバーしつつ、Adobe RGB 100%・HDR動画にも対応し、X-Rite Pantone認証も得ている。特に色再現性能はクリエイター向けモデルのキモとも言える要素。これは嬉しい。

実際に筆者が愛用しているdatacolor「Spyder X」を使ってキャリブレーションをとってみたが、sRGB、Adobe RGBともに100%と高価なカラーマネジメントディスプレイ同等のスペックだった。

「Spyder X」でキャリブレーションご、プロファイルを表示してみた。うたい文句通りAdobe RGBの色域をカバーできている。

このディスプレイであれば、RAW現像やレタッチ、動画のカラーグレーディングなどの作業を信用してこなせる印象だ。

RAW現像やカラーグレーディングで失敗する方の多くは、あまり良くないディスプレイを使っていたり、カラーマネジメントができていないことが多い。日頃からディスプレイにはとにかくこだわった方が良いと感じており、色再現性の弱さがノートPCの弱点のひとつだと考えていた筆者にとって、「AERO 17 HDR」のディスプレイは高く評価したい品質だ。

4K UHD解像度のため、画像編集や映像編集の時においてワークスペースを広くとれるのも優秀。特に動画編集では解像度の低いモニターだとタイムラインが狭くなり、作業効率が落ちてしまう。その点本機は持ち運べる動画編集マシンとして高く評価したい。

ディスプレイ表面は艶のないノングレア仕様。これも個人的には非常に助かる。艶のあるグレア仕様は反射が強い場合もあり、外ロケはもちろん、ご存知の通り屋内でも照明が反射して使いづらいためだ。

優秀なパフォーマンス

パフォーマンスは非常に高い印象。今回テストに使用したのは「AERO 17 HDR」のうち、「XB-8JP4130SP」という構成のマシンだ。

CPUは第10世代 インテル Core i7 10875H(Comet Lake)2.3GHz/8コア、メモリ16GB、GPUはNVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER Max-Q Designというハイスペックぶりだ。SSDは512GBを搭載している。

メモリに関しては最大で64GBまで搭載が可能。16GBでもRAW現像など気にしていたがストレスになることはなかった。

スペックはとても高く、RAW現像やレタッチ、動画編集もサクサク行える。せっかくなので筆者が良く使用するソフトウエアをつかってパフォーマンスを検証してみた。

検証1:静止画(RAW→JPEG)

2,450万画素および4,575万画素をメインとしたRAWデータ100点を現像してみた。

Light Room Classic CCを使ってRAWデータ100点をバッチ現像してみた。RAWデータの多くはNikon Z 7(有効4,575万画素)とNikon Z 6(有効約2,450万画素)で撮影している。

パラメーターを少し触って現像してみた結果、100点のJPEGフルサイズを書き出すのに掛かった時間はなんと2分15秒。あっという間に書き出しされた印象だ。100点程度のRAWデータを現像したことのある方なら、この速度のすごさをわかっていただけるだろう。

現像中、CPUとメモリーはほぼフルで動いており、GPUはサムネイルの生成や画像の拡大などの時に使用されていると思われる。

ちなみに同じデータを現行Mac Book Pro16インチのほぼフルスペック機で書き出したところ2分17秒かかった。

検証2:動画(4K素材→FHDに書き出し)

Premire Proでエンコーディングテスト。YouTubeへのアップロードを想定し、4KからFHDに書き出してみた。

LUMIX GH5Sで撮影した素材をPremire Proに読み込んでみた。4:2:2 10bitで収録した動画はなかなかヘビーではあるが、コマ落ちすることなくしっかりと動いてくれる。素材は4Kだがまったく問題ない。

この4K素材をクロップなど編集したのち、FHDで書き出すことにした。15分の素材を作って書き出ししてみたところ、掛かった時間は5分25秒だった。かなり優秀だ。

ほぼフルスペック構成の現行Mac Book Pro 16インチでは8分45秒掛かった。間違いなくMacの方が高速に書き出せると思っていただけに驚きだ。

ゆとりあるインターフェイス

左からUSB 3.2 Type-A、Thunderbolt 3、HDMI 2.0、ACアダプタ用の各コネクタ。
左からLANポート、SDカードスロット(UHS-II対応)、USB 3.2 Type A、マイク、ヘッドフォン、USB 3.2 Type A。

インターフェースはかなり充実している。なかでもデジタルカメラユーザーとしては、UHS-II対応のSDカードリーダー×1に注目したい。現状で大多数のシェアを誇るSDカード、それもUHS-IIに対応しているのは、デジカメ Watch読者の多くにとって有益ではないだろうか。

その他のインターフェイスを列挙すると、USB 3.2 Type A(Gen1)×3、Thunderbolt 3×1、HDMI 2.0×1、ミニディスプレイポート×1、LANポート×1、ヘッドホンジャックのイン×1、アウト×1を搭載している。

USB Type Cコネクタを採用する機器も増えてきているが、まだまだUSB Type Aコネクタの機器も多い。本機はThunderbolt 3に対応したUSB Type C形状のコネクタを備えた上で、3口のUSB Type Aコネクタを搭載している。ゆとりのあるインターフェースのお陰で不要なアダプター類を購入することなく、様々な機器と繋げられるのは魅力だ。

まとめ

試用した感じたことは、動画や写真をしっかりと作り上げる上で十分すぎるスペックだということ。

17.3インチの大きなディスプレイはノングレアで非常に見やすく、4K UHDの解像度があるためワークエリアも広く使える。画像編集や映像編集では重要になる色に関してもAdobe RGB 100%と非常に信用度が高いのもポイントだろう。

またセキュリティ関連もしっかりしており、顔認証に加え指紋認証機能も搭載しているので安心だ。

17.3インチと少し大きめであるが、スタジオや部屋間の移動なら十分持ち運ぶことのできるサイズなので、どこにいてもストレス無くハイスペックな動画や画像編集を行えるはずだ。動画編集やRAW現像をしっかり行っていきたいユーザーに、是非使っていただきたい。

協力:GIGABYTE Technology

上田晃司

1982年広島県呉市生まれ。米国サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強しながらテレビ番組、CM、ショートフィルムなどを制作。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントを経て、フリーランスのフォトグラファーとして活動開始。人物を中心に撮影し、ライフワークとして世界中の街や風景を撮影している。現在は、カメラ誌やWebに寄稿している。