特別企画

LEDライトとフレキシブルアームを使っておうち写真をレベルアップ

1灯・3灯使用のコツをセッティング例とともに紹介

外出や移動の自粛要請が出ている中、撮影に出ることもできず、しばらくカメラを手に持つ機会さえないという方は多いのではないでしょうか。しかし、撮りたい気持ちを抑えこむ必要はありません。室内に少しのスペースさえあれば楽しめる、テーブルフォトを撮ってみませんか。自然光を利用するなら窓辺が理想的ですが、窓がないところや夜間でも小型のLEDライトを使ってライティングすることもできます。身近な被写体を選んで、おうちでの撮影に挑戦してみましょう。

機材の紹介

今回は、板状の三脚platypod(プラティポッド:銀一株式会社取り扱い)と、小型のLEDライトLitraシリーズ(イメージビジョン株式会社取り扱い)を使って室内撮影のコツをライティングの実践を通じてお伝えしていきます。カメラは普段使っているカメラとレンズがあればOKです。クローズアップするならマクロレンズ、背景をぼかしたいなら明るめの単焦点レンズがあると、なおいいですね。

では、まず今回使用した機材をご紹介しましょう。プラティポッドの製品からは、カメラやLEDライトを設置するためのプレート状の三脚「プラティポッド ウルトラ」とワンサイズ大きな「プラティポッド マックス」です。

大きい方がプラティポッド マックス、小さい方はプラティポッド ウルトラ、フレキシブルアームはグースネックです。円形のパーツは雲台の取り付けで使用します

いずれも厚さ5mmのプレートですが、航空機に使われているというアルミニウムとチタンが使われていて、とてもガッチリとした造り。小型のほうのウルトラは約900g、大型のほうのマックスは、135kgまでの機材重量に対応できるとのこと。

どちらのプレートも中央のねじ穴に雲台を取り付けてカメラを乗せることができます。今回は、3/8-16インチネジを1/4-20インチネジに変換するアダプターを使って、手持ちの雲台を取り付けて使いました。

さらに、5箇所のねじ穴には脚代わりのヘビーデューティースパイクを取り付けることもでき、若干の高さ調整も可能です。フィールドであれば尖った側を下にして使いますが、テーブルが傷つかないよう、今回はゴムのついた側を下にしました。平らなテーブルの上であれば、スパイクなしでも問題ありません。

そしてこのねじ穴、1/4-20インチネジ規格ですので、2020年3月に発売されたばかりのフレキシブルアーム「グースネック」を取り付けることもできます。

ということで、今回はLEDライトのスタンドとして使ってみました。長さ27cmのアームは自由に曲げることができます。先端には小型のLEDライト「LitraPro」と「Litra torch 2.0」を取り付けてライティングをします。

グースネック
プラティポッド マックスに雲台とグースネック2本を取り付けた状態。LEDライトはLitra torch 2.0です

ちなみに、グースネックは互いにつなげることも可能で、2本を接続して、より長い1本のアームとして使うこともできます。通常のライティングをするときはライトをスタンドなどに固定してしまうので、その高さからしか光を当てなくなりがちですが、今回のセットでは自由にアームを動かせるので、ライトを動かしながら、光の当たり具合を確認できるのが便利でした。この点が初心者の方にもおすすめです。

グースネックを2本つなげたところ

1灯+レフ板でケーキを撮影

黄色いマカロンにイチゴが添えられたケーキを撮ってみます。ここではLEDライトとレフ板を使用。簡単なセッティングで見違える撮り方をご紹介します。

基本のライティングは逆光がおすすめ。窓から差し込む光を再現するため、ケーキの斜め後ろにLEDライトを配置しました。この配置だと手前側が影になるので、ライトと向かい合わせになるような位置にレフ板を置きました。

被写体をただセッティングしただけだと、あまり色が冴えませんが、LEDライトを当てることで色が鮮やかに感じられ、背景にも光が当たって、明るくなりました。

さらに最後にレフ板で反射光を当てると、手前の面が明るく、イチゴにも光が当たって、艶やかなイメージに仕上げました。1灯だけの簡単なセッティング例ですが、効果は絶大です。

完成カットとは別に、ライトありでレフなしの場合とライトとレフを使わなかった場合も掲出します。光のまわりかたと影の出方を見比べてみてください。

完成カット(ライトあり+レフあり)
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・1/25秒・+1.3EV) / ISO 200
ライトあり、レフなしのカット
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / マニュアル露出(F2.8・1/25秒) / ISO 200
ライトなし、レフなしのカット
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / マニュアル露出(F2.8・1/25秒) / ISO 200

3灯使用:メイン1+サブライト2で紅茶の木箱を撮影

立体的な被写体には多灯ライティングで撮影してみましょう。完成カットはこのようになります。

完成写真(メイン1灯+サブライト2灯)
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(50mm相当) / 絞り優先AE(F1.8・1/200秒・+1.0EV) / ISO 200

それでは、どのようにセッティングしていったのかをご紹介します。まずメインライトは左上から箱の上を照らす角度で設置しています。箱の天面に光があたるように、プレートの高さを調整しています。次に箱の正面を照らすサブライト1、左の側面を照らすサブライト2を配置します。

配置が完了したところ

ここで、メインライトのみ、サブライト1のみを当てた状態をご覧いただきましょう。カットを見ると、それぞれに光が当たる場所が違っていることがわかると思います。

メインライトのみ
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(50mm相当) / 絞り優先AE(F1.8・1/80秒・+1.0EV) / ISO 200
サブライトのみ
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(50mm相当) / 絞り優先AE(F1.8・1/80秒・+1.0EV) / ISO 200

3灯すべてのライトを当てると、光が全体に回ります。今回使用したLEDライトは光の強さを変えられるので、サブに比べて、メインライトは強めにしています(※LitraProは0〜100%で5%単位の調光が可能。Litra torch 2.0は3段階で光の強さを調整できます)。

周囲に散りばめたキャンディーの包みにも光が反射し、キラキラとしたボケになっていますね。

近距離でライトを照射してハーバリウムを撮影

ハーバリウムという花をオイルに浸した、最近人気のフラワーインテリアをクローズアップしてみました。

今回は窓辺に置いて撮影することで、ライトがなくても明るい雰囲気に仕上がるようにしています。

LEDライトなしのカット
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・1/25秒・+1.3EV) / ISO 200

花びらの繊細な雰囲気がよく引き出せていますが、ここでもうひと工夫。近距離から強めにライトを当てることで、花びらの透けた様子をよりきれいに引き出してみます。

完成写真
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・1/200秒・+1.3EV) / ISO 200

ライティングのコツは、1灯を背面側の低い位置から当てること。ここでは縦方向でLitraProを設置しています。そして単に背面に置くのではなく、低い位置から少し上向きに光があたるように角度もつけています。こうした微調整でもアームをぐにゃりと曲げることができますので、しっかりとライトを固定できます。

後ろのライトが強いと手前が暗くなるので、手前からも弱めにライトを当てています。Litra torch 2.0を左右側面やや上側から当てて微調整しました。

3灯によるセッティングが完了したところ

水を利用した表現に挑戦

今回使用したLEDライトのLitraProとLitra torch 2.0はそれぞれ耐水仕様(LitraProは耐水27m、Litra torch 2.0は20m)となっているため、水中から光を射すといった使い方もできます。

さっそくアクリルの容器に水を張り、白いガーベラを浮かべてみました。下からライトを当てているので、外側の花びらだけが明るくて、不思議な感じです。

完成カット
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・1/50秒・+1.0EV) / ISO 200

また、上からはライトに青色のフィルターをかけて当てているので、光の色が下からは白、上からは青とミックスされています。さらに水を満たしたアクリル容器の下にはピンクの布を敷いて、水の色が複雑に染まるようにしています。

では、下からのライトがないとどうなるのか。下の写真が、上側から照明を当てただけの状態です。下から射す光がないと平面的で面白くないですね。

下からのライトなし
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・1/40秒・±0EV) / ISO 200

撮っているうちに気がついたのですが、アクリル容器の外側についた水滴にLEDライトの光が当たって容器表面にキラキラした反射が生まれていました。マクロレンズでぐっとガーベラに迫り、絞りを開けて、背景にキラキラしたボケとして取り入れました。

アクリル容器についた水滴を玉ボケに
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro(120mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・1/60秒・+1.0EV) / ISO 200

子ども撮影でも活躍

家の中で撮りたいものといえば、小物やスイーツ以外に思いついたのが子ども。学校も休みなので、娘とずっと一緒にいますが、寝ているところを手だけ写してみました。

まず、正面からLEDライトを当ててみたところ、後ろにきつい影ができて、ベタっとした感じになってしまいました。

正面から1灯
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(50mm相当) / 絞り優先AE(F1.8・1/80秒・+1.0EV) / ISO 200
手だけに光を当てたカット
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(50mm相当) / 絞り優先AE(F1.8・1/60秒・+1.0EV) / ISO 200

やはりここでも逆光が基本。メインのライトを斜め右後ろ側から当たるように置きました。これで影の出方がやわらかくなります。さらに、もう1灯はシーツに弱く当てています。正面から光を当てた状態と、手だけに光を当てたカットと比較すると分かる通り、背景が明るく、窓から光が差し込んでくるような写りになりました。

手と背景のシーツにLEDライトを当てたカット
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II+M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8(50mm相当) / 絞り優先AE(F1.8・1/80秒・+1.0EV) / ISO 200
1枚のプレートに2灯のLEDライトを取り付けたところ。被写体に当てるだけではなく、背景にも当てて明るく

まとめ

ライティングと聞くと、大掛かりで、扱いにくいイメージを抱いてしまうかもしれませんが、コンパクトな撮影アイテムとLEDライトがあれば、工夫次第でいろいろと楽しむことができます。

私自身も今回撮影してみて、被写体を選ぶ、ライティングをする、そして、ピントを合わせる、構図を考えるなどと進めていくうちに、いつの間にか夢中になっていました。家の中のちょっとしたスペースでも撮影は楽しめます。室内での撮影はしたことがないという方も、ぜひこの機会に挑戦してみてはいかがでしょうか。

吉住志穂

1979年東京生まれ。高校入学後から本格的に撮影を始める。2001年日本写真芸術専門学校を卒業後、写真家の竹内敏信氏に師事。自然の「こころ」をテーマに、主に花のクローズアップを撮影している。2016年には和紙にプリントし、掛軸に仕立てた展示「花時間」を開催し、好評を博す。また各地での講演会や写真誌での執筆を行う。公益社団法人 日本写真家協会(JPS)会員。