オールドデジカメの凱旋
コニカミノルタDiMAGE A200(2004年)
Reported by 吉森信哉(2013/10/23 08:00)
この「オールドデジカメの凱旋」では、初回のソニーサイバーショットDSC-R1を皮切りに、いくつかの高性能タイプのコンパクトデジタルカメラを購入してレポートしてきた。そのサイバーショットDSC-R1は、APS-Cサイズに迫る大型センサーの採用が大きな話題になったが、多くの高性能コンデジには2/3型や1/1.7型もしくは1/1.8型の“少し大きめサイズ”のセンサーが採用されていた。
搭載レンズ(ズームレンズ)の画角に関しては、製造時期の新旧や、そのモデルの志向(広角側重視か、望遠側重視か、など)によって違ってくる。たとえば、第3回のオリンパスCAMEDIA C-5050 ZOOMの「35-105mm相当」や、第7回のキヤノンPowerShot G6の「35-140mm相当」などは、“広角端が35mm相当”というスペックに時代を感じる。いやぁ~、いくら高画質設計で開放F値が明るいズームレンズでも、広角端が35mm相当だと絵作り的にキビシイよね、今の感覚だとさ。
しかし、キヤノン PowerShot G6の約半年前に発売された同社のPowerShot Pro1には、広角と望遠の両方に強い「28-200mm相当」の光学7倍ズームレンズが搭載されていた。もちろん、高画質設計だし(コンパクトデジカメ唯一の「Lタイプ」レンズ)、開放F値も「F2.4-3.5」とかなり大口径である。このズームレンジと開放F値……今見ても、けっこう魅力的だと思う。
今回、見つけて購入した「コニカミノルタDiMAGE A200」も、PowerShot Pro1と同様に“高性能な高倍率ズーム”が特徴のモデルである。また、レンズ鏡筒部が長めで電子ビューファインダーを搭載する一眼レフ風のスタイルも、PowerShot Pro1と共通するポイント。
今回見つけたのは「カメラ本体(レンズキャップ、アクセサリーシューキャップ付き)、レンズフード、ACコード+充電器、充電式リチウムイオン電池(なんと、2個付き!)」という簡素な内容物。そのぶん、販売価格は「7,000円」と安かった。発売時の価格は「10万円前後」だったからねー。
2004年11月に発売されたDiMAGE A200は、前述のとおり広角28mm相当から望遠200mm相当までの光学7倍ズームを搭載する高性能コンパクトデジタルカメラである。この7倍ズームレズ、開放F値も「F2.8-3.5」と明るいが、広角側はPowerShot Pro1よりも少し暗い。だが、このDiMAGE A200には、シャッター速度約3段分の補正効果が得られるCCDシフト方式の手ブレ補正機能「Anti-Shake」が搭載されている。このあたりは、ブレ補正機能を搭載しないPowerShot Pro1よりも魅力的なポイントである。
露出モードは、プログラムAE、絞り優先AE、シャッター優先AE、マニュアル露出。この基本4モードに加え、撮影モードダイヤル上には、4種類のシーンセレクター(ポートレート、スポーツ、夕景、夜景ポートレート・夜景)と、自動設定でカメラまかせの「AUTO」と、登録呼び出しの「MR」が配置されている。
シャッターは電子シャッターとメカニカルシャッターの併用で、速度は30秒~1/3,200秒(モードによる)。ISO感度はISO50~800の1EVステップ。電子ビューファインダーは、0.44型・23.5万画素。液晶モニターは1.8型・13.4万画素のバリアングル方式。記録媒体はCFもしくはマイクロドライブ。RAWとJPEGの同時記録も可能だ。動画はMotionJPEG(MOV、モノラル音声)。ボディサイズと重さは、114×80×115mm、約505g(本体のみ)。
一眼レフ風スタイルで28-200mm相当のズームを搭載する高性能コンデジは、コニカミノルタ以前(経営統合前)のミノルタDiMAGE7シリーズ(7、7i、7Hi)などが発売されていた。そこで採用されていたレンズの「GT LENS 7.2-50.8mm F2.8-3.5 APO」は、以降のモデルにも継承された。そして、製品名の後半部分を変更したミノルタ「DiMAGE A1」では、CCDシフト方式の手ブレ補正機能「Anti-Shake」の搭載が注目ポイント。さらに、メーカー名称が変わったコニカミノルタ「DiMAGE A2」では、CCDの画素数を従来の500万から800万に引き上げている。でもなぁ、ここから前面ロゴの文字数が増えて、何だか煩雑な印象になってくるんだよなぁ~(笑)。
そして、A2の次に発売されたA200では、基本的なスタイルや機能を踏襲しつつ、約15%の小型軽量化を実現し、画像処理エンジンや画像処理技術が進化している。ただし、電子ビューファインダーと液晶モニターの自動切り換え機能が省略され、ファインダー接眼部のチルト機能(上方向)も省略されている。上面の表示パネルもなくなった。
こういった機能の省略や割り切り、またボディ材質の違いなどを見ると、DiMAGE A200は“A2の廉価版”という位置付けのモデルになる。だが、液晶モニターの可動方式が上下チルトからバリアングルに変更されたことで、ポジションやアングルの変化に対応する機動性はより高まっている。
……実は今回のA200、以前に所有していた。全体的に小振りなボディながら、28-200mm相当という実用的な画角をカバー。ワイドマクロよりもテレマクロに秀でたマクロモードなど、こういった仕様は日常的に花のクローズアップ撮影をおこなうボクにとっては、まさに打ってつけのカメラだったのである。……とか言いながら、実際には“自宅でのブツ撮り専用カメラ”のポジションに収まっていた(笑)。
ボクが所有していたDiMAGE A200はそういう不遇(?)にあったので、せめて今回のDiMAGE A200にはアウトドアでの撮影を体験させたやりたい(一種の罪滅ぼしかも)。そうだ、高倍率ズームを搭載するカメラには“旅の撮影”が似合うかも! ……ということで、このコニカミノルタ DiMAGE A200を手にして「小江戸」と称される川越に出かけてみた。西武新宿駅から特急「小江戸号」に乗ってゴー!!
か~なり微妙な車窓風景(笑)を堪能しつつ、45分で終点の本川越駅に到着。都心のターミナル駅とは違う人口密度の低さに心地良さを覚えながら、蔵造りの町並みを目指して歩くことにした。川越を訪れるのは2年半ぶりくらいである。
基本的なスタイル(ボディフォルム)は、DiMAGE7シリーズやA1やA2を踏襲しているが、前述のとおり小型軽量化されたボディは、小さめのボクの手には“収まりの良さ”が感じられる。DiMAGE A1やA2も使った事があるけど、それらよりもグリップ部が小さいし(それでも十分なホールド感が得られる)、チルト機構を排したことでファインダー接眼部の出っ張りも抑えられている。
電子ビューファインダーと液晶モニターの自動切り換え機能がないのは正直不便だが、ファインダーとモニターのどちらを優先的に撮影するかを決めて臨めば、そのうち慣れてくる。まあ、現在でもそういう(自動切り換え機能ナシ)のモデルは多いからねぇ。そのファインダーとモニターの見え具合に関しては、ファインダーは「倍率は良好、精細感はイマイチ」、モニターは「倍率はイマイチ、精細感は良好←サイズが小さいから」……といった印象。
ミノルタDiMAGE7が登場した2001年と、コニカミノルタDiMAGE A200が登場した2004年とは約3年の差しかない。だが、この短期間の間に、低価格をウリにするデジタル一眼レフのキヤノン「EOS Kiss DIGITAL」やニコン「D70」が発売され、コニカミノルタからも「α-7 DIGITAL」が発売された(DiMAGE A200と同日発売)。そういう背景もあり、この3年間で高性能(そして高価)なコンデジの価値や役割は大きく変わってしまった。
それでも、ボクはDiMAGE A200のような高倍率ズームを搭載した高性能コンデジが好きだ。センサーへのゴミ付着を心配しなくてイイし、一眼レフのように“ファインダーを覗いてレンズ鏡筒に手を添える”というスタイルも、撮影に対する意識を高めてくれる。でもまあ、実際には理屈抜きに好きですわ(笑)。