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オールドデジカメの凱旋:キヤノンPowerShot G6(2004年)

Reported by 吉森信哉

 今回のカメラは、キヤノン「PowerShot G6」であります。ナニゲに多いよね、PowerShot系。連載7回中で3回目(苦笑)。まあ、それだけPowerShotシリーズに注目度の高いモデルが多かった、ということだろうけど……。



 このPowerShot G6、発売されたのは2004年9月で(以前に取り上げたPowerShot S70と同時に発売)、発売時の店頭価格は8万4,000円前後だった、らしい。2003年に発売されたPowerShot G5の後継モデルであり、Gシリーズの5代目にあたる。

 この手の高級コンパクトデジカメって、2000年あたりだと15万円くらいはした(タイプにもよるけど)。さすがに2004年あたりになると、全体的にもう少し安くなってきてたけど、それでもオリンパスやニコンなどの高級コンパクトだと11万〜12万円くらいはした。それらと比べると、PowerShot G6の「発売時に8万4,000円前後」という価格はそう強気ではないかも?

 今回見つけたブツは、元箱とリモコン(ワイヤレスコントローラーWL-DC100)が欠品していて、カメラ本体の状態は「並品」レベル。32MBの純正CFは付属しているよ。これで9,450円也。



 撮像素子には、1/1.8型・有効710万画素CCDを採用(PowerShot G5は有効500万画素CCD)。搭載レンズは、35mm判換算で35-140mm相当の光学4倍ズームで、開放F値はF2-3。そう、この「明るい開放F値」が以前のGシリーズの大きな特徴だった。

 電源オンで押し出される(外れる)被せ式のレンズキャップも、PowerShot Gシリーズらしい部分ですナァ〜。ちなみに、この方式のレンズキャップはG6まで。後継モデルのG7からは、内蔵式レンズバリアに変更された(以後、G12まで)。レンズキャップが被さるレンズ周囲のリングを取り外すと、別売のレンズフードやコンバージョンレンズなどが装着できた。



 露出制御方式は、プログラムAE、シャッター優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出。露出補正は±2(1/3ステップ)。シャッター速度は、15秒〜1/2,000秒(1.3秒より長秒時はノイズリダクション処理あり)。連写能力は、高速連写:約2.0画像/秒、通常連写:約1.2画像/秒(ともにラージ/ファイン、液晶モニターOFF時)。

 液晶モニターは、2型・約11.8万画素のバリアングルタイプのモニター(視野率約100%)で、このあたりの仕様も初代のG1から続いていたGシリーズの特徴である。


バリアングルタイプの液晶モニターを搭載していれば、こ〜んなキビシめのローポジション撮影も楽に行なえる。

 記録媒体はCFでTypeUにも対応。記録フォーマットは、静止画がJPEGとRAW、動画がAVI形式MotionJPEG(最大640×480ピクセル/10fpsで、最長30秒)。ああ、この動画の仕様には古さを感じますナァ。

 電池は、充電式リチウムイオン電池「BP-511A」……あ、よく見たらコレ別ブランドの同等品だよ。ケンコーから販売されている同等品の「C-#1015」。やられた!!(苦笑)。ただし、容量は純正のBP-511Aよりも高容量な1,500mAh(BP-511Aは1,390mAh)。



 ボディの大きさと重さは、104.9×72.8×73.1mm・約380g。基本的に、PowerShot G3とG5のボディは一緒だった(カラーリング以外は)。が、このPowerShot G6のボディはガラッと一新。幅が16.1mm短縮されたボディは、G3やG5よりも高さを感じる(実際には1.1mm低いのだが)。また、G3やG5のグリップは何となく後付け感があるが、G6のボディは格段に大きくて、完全にボディの一部という印象がある。

 キヤノンの「PowerShot G」と言えば、高級コンパクトに興味のある人なら誰でも知ってる(たぶん)シリーズだけど、ボク自身が購入したのはPowerShot G6の2代後の「PowerShot G9」からだった。35mm判換算で35-210mm相当の光学6倍ズームを搭載する、望遠域が充実した高倍率ズームが特徴のモデルだった(前モデルG7と同仕様のズームレンズ)。

 しかしPowerShot G9はズームの高倍率化と引き替えに、開放F値がF2.8-4.5と平凡な値に。まあ、平凡といっても、210mm相当でF4.5は頑張ってる値だし、レンズキャップ不要のレンズバリア方式になった点とかは「コンパクトデジカメの資質」として評価できるけどね。

 ……とはいえ、初代のPowerShot G1(2000年10月発売)からPowerShot G6まで続いていた「大口径ズーム」の特徴が途切れたのは、ちょっと残念ですわ。

 ちなみに、PowerShot G6が発売された2004年だと、すでにEOS Kiss Digitalが発売されている。そう、デジタル一眼レフカメラの台頭が著しい頃で、高級コンパクトの存在価値が揺らぎ始めていた頃になる。

 また、それまで約1年サイクルで後継モデルが登場していたPowerShot Gシリーズも、PowerShot G6以降はしばらく後継モデルが登場しなかった(結果的に約2年間)。そういう経緯もあり、次モデルのPowerShot G7が登場するまでは「PowerShot G6が最後のGシリーズになるかも」って思ったこともあった。


電源を入れるには、ストッパーを押しながらモードレバーを回す。ただし、このストッパーはあまり意味がない気がする。普通にモードレバーに指を掛けると、意識しなくてもストッパーを押す格好になっちゃうから。
ボディ左肩(左手側)に並べられた各種の設定ボタンや、グリップ部の電子ダイヤルとかは、地味だけど使いやすくて気に入ってる部分。
グリップの反対側の側面。その下部にある端子カバーを開くと、3つの端子(A/V OUT端子、DC IN端子、DIGITAL端子)が並ぶ ボディ上面の表示パネルには、カメラの設定状態や撮影可能枚数やバッテリー残量などが表示される。パネルの右横にあるバックライトボタンを押すと、オレンジ色のバックライトが6秒間点灯する(点灯中に押すと消灯する)。

NDフィルターを内蔵する
最高感度はISO400。時間の経過を感じさせてくれますのぅ……。 CCDRAW撮影ではJPEG形式のサムネイル画像が同時記録される(現在のRAW+JPEG同時記録とは違う)
AEB、フォーカスブラケット、ストロボ調光補正(マニュアル露出時とかはストロボ発光量)。応用的な撮影機能の搭載もウレシイところ。まあ、PowerShot Gシリーズなら当然だけどね。

 PowerShot G6を実写するのはこれが始めて。G2、G3、G5。それに、G7、G9(自前)、G10、G11、G12。こういった歴代のGシリーズは、仕事などで使ったことがあるが、どういうワケかG6だけはご縁ナシ。これまで使う機会がなかった。

 ……で、その印象は「G3やG5に似てるナァ」というもの。搭載する光学4倍ズームレンズの仕様も同じだし、起動や終了に要する時間、AFやレリーズなどのもっさりした動きとかも、G3やG5を彷彿とさせる。実際には、G3やG5よりは多少は高速化されてるだろうけど、この頃の高級コンパクトって、大体どれも動作が“もっさり”してるんだよね(笑)。

 もちろん、G3やG5とは違う点もある。横幅が15mm以上短縮されて、大型のグリップを備えるボディは、これまで以上に手にフィットするし(ボク個人としては)、上面から光学ファインダー横に移動したモードダイヤルの操作性も良好。また、上面に新設された表示パネルなども、撮影情報の確認に役立つのと同時に、高級コンパクトらしい佇まいが感じられる。

 機能面では、AF枠の選択(オート選択と中央1点)の切り替えや、中央1点のときにAF枠が移動できる「アクティブフレームコントロール」の操作性の良さなどが印象的。そう、以前に紹介したPowerShot S70も、この点に感心したんだよなぁ(ただし、画面の端の方には移動できない)。ちなみに、最短撮影距離は、通常撮影で50cm・マクロ撮影で5cm(広角端)〜50cm(望遠端)。


SETボタンを押して電子ダイヤルを回転させると「中央1点」と「オート選択」が交互に切り替わる。中央1点の時には、十字ボタンの操作で自由に移動させられる。

 この他にも、3段分の減光効果のあるNDフィルターの内蔵、アクセサリーシューの搭載、グリップ部の電子ダイヤルの搭載、など、高級コンパクトらしい仕様もウレシイ。

 あと、使用する充電式バッテリーが多くのデジタル一眼レフカメラ(初代のEOS Kiss Digital、EOS 50Dまでのミドルモデル、フルサイズのEOS 5Dなど)と共用できる点とかもありがたい。これらの機能や仕様は、前モデルPowerShot G5から受け継がれた部分だけど、レンズ性能や液晶モニターの仕様などと同様、カメラの格を引き上げる要因になっている。

 皆さんご存知のとおり、デジタル一眼レフカメラはすっかり身近な存在になっているし、最近ではノンレフレックス(ミラーレス)タイプのレンズ交換式カメラが台頭著しい。そんな中、意外と高級タイプのレンズ一体型デジタルカメラも根強い人気があるようだ。

 そんな「高級コンデジ愛」を持ち続けている人は多いと思うけど、そこに何の要素を求める(重視する)かは人それぞれ。ボクの場合は、携帯性、操作性、描写性能、この3つを重視したい。どれか1項目だけが突出していてもダメなのよ。

 そのうち携帯性に関しては、一般的なコンパクトデジカメに負けないくらい小型軽量なノンレフレックスタイプのカメラもあるけど、それはボディのみ、もしくはパンケーキタイプのレンズを装着した場合の話。実用的な画角をカバーするズームレンズを搭載していて、操作性や機能や描写性能に優れ、しかも適度にコンパクトで軽量なカメラ……といったら、やっぱり高級コンパクトを選ぶことになるだろう。

 そして、撮影時の静粛性に関していえば、電子シャッターを搭載したNikon 1を除く一部のノンレフレックス機を除けば、高級コンパクトの独壇場! 撮影禁止の場所じゃないけど、バシャバシャ何カットも撮るのは気が引ける……。そういうデリケートな状況でも、シャッター音を気にせずに撮影できるコンパクトのメリットは大きい。

 今回、キヤノン PowerShot G6を使ってみたワケだけど、8年近く前のモデルということで「さすがに古いわ」と閉口した部分も少なくない。35mm相当の広角端は物足りないとか、ISO感度域(高感度側)が狭くてノイズも多いとか、液晶モニターが小さめで精細感もイマイチとか、全体的に動作レスポンスが良くないとか……。まあ、現在の基準で見ちゃうとどうしても、ねぇ。

 それでも、このPowerShot G6が最後になってしまった大口径ズームや、現在の大型センサー搭載モデルPowerShot G1Xで失われてしまったマクロ能力の高さなどを考えると、現在のPowerShot Gシリーズには改めて不満を覚える。PowerShot G6のようなほどほどの大きさの撮像素子と大口径ズームを、ほどほどの大きさのボディに搭載した高級コンパクト……そういうモデルもアリじゃないかと思うね、個人的には。

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
  • 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。

・広角端/望遠端それぞれの描写

 広角端と望遠端で、それぞれ絞り開放で撮影したもの(撮影距離は変えている)。どちらも中央部付近は安定した描写だが、周辺部になると少々アマさや乱れが見られる。ただし、絞り込んでいくと、次第に改善されるようだ。

PowerShot G6 / 約4.1MB / 3,072×2,304 / 1/250秒 / F2 / 0.0EV / ISO50 / WB:くもり / 7.2mm PowerShot G6 / 約4.4MB / 3,072×2,304 / 1/125秒 / F3 / 0.0EV / ISO50 / WB:くもり / 28.8mm

・感度

PowerShot G6 / 約4.1MB / 3,072×2,304 / 1/13秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO50 / WB:太陽光 / 9mm PowerShot G6 / 約4.1MB / 3,072×2,304 / 1/25秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO100 / WB:太陽光 / 9mm
PowerShot G6 / 約4.2MB / 3,072×2,304 / 1/50秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO200 / WB:太陽光 / 9mm PowerShot G6 / 約4.6MB / 3,072×2,304 / 1/100秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO400 / WB:太陽光 / 9mm

・作例

PowerShot G6 / 約5.0MB / 2304x3072 / 1/50秒 / F2.2 / -0.7EV / ISO50 / WB:太陽光 / 7.2mm PowerShot G6 / 約3.0MB / 3,072×2,304 / 1.0秒 / F8 / -0.7EV / ISO50 / WB:太陽光 / 28.8mm
PowerShot G6 / 約4.4MB / 3,072×2,304 / 1/200秒 / F4 / 0.0EV / ISO50 / WB:オート / 7.2mm PowerShot G6 / 約2.4MB / 3,072×2,304 / 1/40秒 / F3 / -0.7EV / ISO50 / WB:太陽光 / 28.8mm
PowerShot G6 / 約2.1MB / 3,072×2,304 / 1/500秒 / F2 / 0.0EV / ISO50 / WB:太陽光 / 7.2mm PowerShot G6 / 約3.2MB / 3,072×2,304 / 1/200秒 / F4 / 0.0EV / ISO50 / WB:オート / 7.2mm
PowerShot G6 / 約2.3MB / 2304x3072 / 1/200秒 / F3 / 0.0EV / ISO50 / WB:オート / 28.8mm PowerShot G6 / 約2.1MB / 2304x3072 / 1/80秒 / F2 / 0.0EV / ISO50 / WB:オート / 7.2mm





吉森信哉
(よしもりしんや)1962年広島県庄原市出身。東京写真専門学校を卒業後、フリー。1990年からカメラ誌を中心に撮影&執筆を開始。得意ジャンルは花や旅。1970年代はカラーネガ、1980年代はモノクロ、1990年代はリバーサル、そして2000年代はデジタル。…と、ほぼ10年周期で記録媒体が変化。でも、これから先はデジタル一直線!? 自他とも認める“無類のコンデジ好き”

2012/7/5 00:00