オールドデジカメの凱旋
コニカミノルタ「DiMAGE A2」(2004年)
大口径7倍ズーム、チルト式EVF……当時の気合いを伝える高級モデル
2018年3月27日 07:06
しばらく前に、新宿の中古カメラ店で「コニカミノルタ DiMAGE(ディマージュ) A2」の“元箱・備品完備”という物件を発見し、思わず買ってしまった。あ~、また買っちゃったよ。以前には、後継モデルの「コニカミノルタ DiMAGE A200」を購入して、数年後に売却したというのに……。
「いや、DiMAGE A2にはA200とは違う魅力があるンだからネっ!」……と、鼻白んで力説しなくてもイイか。長年“カメラ道”を歩んでいると、よくある事だから。ちなみに、DiMAGE A200の方は、2013年に当コーナーでレポート済み。
かくして、元箱・備品完備で4,000円で売られていた「コニカミノルタ DiMAGE A2」は、自分の手元にやってきた。
このDiMAGE A2が発売されたのは、2004年2月。35mm判換算28-200mm相当の光学7倍ズーム、シャッター速度約3段分の補正効果が得られるCCDシフト方式手ブレ補正機能「Anti-Shake」、どちらもチルト機能付きの電子ビューファインダーと液晶ディスプレイ……といった機能を備えていた。これらは、ミノルタ時代の「DiMAGE A1」から継承されたもの。また外観も、前面(内蔵フラッシュの前)のメーカーロゴ以外はDiMAGE A1に酷似している。
DiMAGE A1から変わった点は、2/3型のCCDセンサーの有効画素数が、約500万画素(2,568×1,928)から約800万画素(3,272×2,456)へと増えたこと。そして、前述のチルト機能付きの電子ビューファインダーが23.5万画素から92.2万画素の「Super Fine EVF」へと大幅に高解像度化されたことなどである。もちろん、現在のカメラの電子ビューファインダーほどの精細感やメリハリは望めないけど(経年劣化もある?)、14年も前のカメラとしては上出来だと思う。
このDiMAGE A2の魅力をあらためて考えると、今述べた“チルト機能付きの高解像な電子ビューファインダー”と“大口径光学7倍ズーム”。この2つの要素が大きいと思う。28-200mm相当(実際の焦点距離は7.2-50.8mm)の光学7倍ズームは、ミノルタ DiMAGE 7から受け継がれてきたレンズなので新鮮味はない。だけど、当時としては広角側も望遠側も満足できる画角だし、開放F値が「F2.8-3.5」と望遠側があまり暗くならないのが素晴らしい。
2004年の発売……か。この年は、デジタル一眼レフだと、キヤノンEOS 20DやニコンD70などが発売された年になるな。これらのデジタル一眼レフが注目されて人気を博す一方、コニカミノルタDiMAGE A2やキヤノンPowerShot Pro1のような結構高価な高級コンパクトデジカメは、存在意義が少々薄らいできた時期でもある。まあ、それでも自分は“高級コンデジ”が好きだったけどね。
作例:マクロ切り換え
通常撮影時の最短撮影距離は50cm。だが、マクロ切り替えをおこなうと、広角端は30~60cmまで、望遠端は25~60cmまで。この範囲でピントが合うようになる(いずれもセンサー面からの距離)。
現在、高性能な高倍率ズームレンズを搭載するデジタルカメラには、キヤノンPowerShot G3 X、ソニーサイバーショットRX10 III、同RX10 IV、パナソニックLUMIX FZH1、同TX2などがある。そのうちPowerShot G3 X以外のモデルは電子ビューファインダーを搭載していて、ボディ形状も一眼レフカメラ風。でもなあ、超望遠域までカバーするRX10 IVやLUMIX FZH1は重さが1kg前後になるし、200mm相当までのサイバーショットRX10 IIも800g以上になる。正直、結構かさばるし、重くを感じるカメラなんだよねぇ。
その点、DiMAGE A2はレンズ鏡筒が細めで全体的にコンパクトな印象で、本体の重さも約565g(バッテリーとCF込みだと655gくらいか?)で、さほど重くは感じない。それでいて、ミドルクラス一眼レフ並の大きなグリップや、全体的に剛性感のあるボディは安心感が高い。また、各操作パーツ(ダイヤル、ボタン、レバー、シンクロターミナル)を集中配置したボディ左手側の側面部も、強烈にソソられる。
……で、トドメはやっぱ、チルト機構付きの高解像な電子ビューファインダーだよねぇ、やっぱり。このポイントだけでも“ハイグレードな機種”という印象を受けるから不思議だわ。もちろん、単なる印象だけではない。ローポジションやローアングルの時にファインダーを上から覗いて撮影できれば、画面を見る際の集中力や、カメラの安定感が違ってくる。その撮影スタイルで得られる集中力や安定感は、可動式(チルト式やバリアングル式)液晶モニターを使った撮影とは違う「様式美」があると思う。少し大げさかもしれないが、中判カメラの名機、ハッセルブラッド(500シリーズとか)にも通じる感覚が得られるのでは?
比較:最新ソフトのRAW現像とカメラ内JPEGの絵作り
カメラの“撮って出し”のJPEGだと、色再現とか階調とか、いろいろ不満を感じることも多い。そこで、RAWデータをAdobeの「Lightroom Classic CC」を使って現像。「階調」を自動補正、「明鐐度」を少し上げ、青空の基準に「ブルー」の色相・彩度・輝度を調整。あとは、「シャープ」、「ノイズ低減」の輝度とカラー、「色収差の除去」。…まあ、こんな感じに調整してみた(以降のカットも含めて)。
14年前に発売された「DiMAGE A2」を持って、撮影に出かけてみた。サイズ的には、大き過ぎず小さ過ぎず。重さも、キヤノンEOS Kiss X90やニコンD3400などのライト級一眼レフに標準ズームを装着した程度。だから、ストラップで首に掛けても、ほとんどストレスは感じないんだよね。
AFによるピント合わせも快適である。通常は、中央とその周辺で自動的にピント位置が決まる「ワイドフォーカスフレーム」が便利。でもって、画面内の任意の位置にピントを合わせたい時には「フレックスフォーカスポイント」に切り替える。その切り替え操作も、十字キー中央の実行ボタンを少しだけ長押しする、という非常に簡単な方法。そして、表示される「+」マークを、十字キーの上下左右で移動させる。で、実行ボタンを再度長押しすれば、ワイドフォーカスフレームに戻るのである。めっちゃ明快!
問題なのは、レリーズ後のデータ書き込み待ちだろう。画質モードをRAW+JPEGに設定すると、レリーズして10秒くらい待たないと次の撮影ができないからねぇ。まあ、このあたりが14年前のカメラらしい部分とも言える。でも、前述のとおり、より上質な仕上がりを得ようと思ったら、待ち時間があってもRAW+JPEGに設定したいところ。結論。街中でスナップ的に使うのはツライけど、風景や花などを“じっくり撮る”なら、そんなに問題はなさそう(←そのうち少し慣れる)。
レリーズ後のデータ書き込み待ちや、高精細だけどメリハリのない電子ビューファインダーの表示品質など、いくつかの重要な部分で古さを実感する「コニカミノルタ DiMAGE A2」。だけど、前モデルのDiMAGE A1よりも高画素化されていて、後発モデルのDiMAGE A200よりも“風格”を感じさせるフォルムや造り。その仕様や機能、そして完成度の高いデザインに“高級コンパクト作りの気合い”を垣間見た気がする。