新製品レビュー

Canon EF400mm F2.8L IS III USM

短期間で着実に基本性能を向上させたスポーツ系定番レンズ

キヤノンEF400mm F2.8L IS III USM(以降IS III型)は、スポーツ撮影に象徴される動きものの撮影に実力を発揮する大口径(明るい)の超望遠レンズである。今秋のラグビーワールドカップ、来年の東京オリンピックと立て続けに行われる世紀の大イベントに合わせるように、レビュー記事でもお伝えしたEF600mm F4 IS III USMと同時に昨年12月に発売された。キヤノンはそれら大会の協賛企業でもあり、そのキヤノンが誇る超望遠「白レンズ」をリニューアルして撮影現場でも存在感を示そうとしている。

軽量化の歴史

このIS III型は1986年から始まるキヤノンEFマウントの400mm F2.8で5代目、IS(手ブレ補正)つきでは3代目となる。マニュアルフォーカスのNewFDマウントを含めれば6代目だ。EFマウントI型が1991年発売で6,450g、II型が1996年発売で5,910g。ISつきのタイプでは、I型が1999年発売で5,370g、IS II型が2011年発売で3,850g、そしてこのIS III型が2018年発売で2,840gと、リニューアルの度に軽量化を果たしてきたが、ついにここで3kgの大台を割った。

構成レンズの配置を刷新しての軽量化以外にも、600mm F4 IS IIIと同様、フレア・ゴーストのさらなる抑制を目指したASCコーティングの一部実施、手ブレ補正効果を最大5段分へ、そして熱吸収を抑えた新塗装の採用と、基本性能のブラッシュアップも当然のように行われている。

今回のレビュー撮影はEF600mm F4L IS III USMと同時期に行ったため、被写体が同じシーンのものとなるが、画角の違いや撮影地点の位置の違いなどをお伝えしていきたい。

デザイン・バランス

前モデルIS II型と一見してその差がわかりづらいものの、各部では細かな変更がある。

前モデルは前玉が占めていた箇所の径が絞られ、先端部から4cmほどの部分が細くなった。以降、マウントにかけての違いは僅かなもの。持ち上げて感じる「とにかく軽くなった」という第一印象は前出のEF600mm F4L IS III USMと同じだ。このIS III型の撮影もEOS-1D X Mark IIと縦位置グリップを取りつけたEOS 5Ds Rとの組み合わせての試用であったが、EF600mm F4L IS III USMと違い、重心位置がカメラ側に寄るため、600mm装着時よりカメラ側の重量を感じた。三脚座をハンドルとして持ち運ぶ際も、座面を台として置いた時のバランスもカメラ側がリアヘビーに感じるほどの軽量化である。

EF600mm F4L IS III USMと同時に携行した状態。双方ともに軽量化されているため、同時携行しても負担が軽減している。

では、各部を順に見て行こう。

操作部のレイアウトはEF600mm F4L IS III USMとほとんど一緒でスイッチ類の大きさは変わらず、600mm F4の全長44.8cmに配置されていたものが、34.3cmの中に凝縮されている。

スライドスイッチは2か所。ピントヘリコイドに近い場所に、ISのモードスイッチ(静止物へのモード1、流撮りへのモード2、激しい動きへのモード3)、ISのON/OFFスイッチ、フォーカスプリセットのセットボタン、フォーカスプリセットのOFF/ON/ON時電子音スイッチ、マニュアルフォーカス時の反応速度切り替えスイッチがある。

マウント側に、AF/MFそしてパワーフォーカス(PF)の切り替えスイッチ。下にフォーカス調整レンズの動きを全域/無限遠側/近接側で切り替えるファーカスリミッター。この上側に52mm径のフィルターを差し込むためのフォルダーが組まれている。

付属フードの長さはおよそ16cm(ET-155)。フードを付けない状態の本体全長は34.3cm、最大径が16.3cmで、前モデルのEF400mm F2.8L IS II USMとサイズは全く変わっていない。

同梱はされないが、オプションで長さ約8cmのショートフード(ET-155B)も用意されている。また、今回より付属ケースがトランクケースからソフトタイプ(LS400)に替わった。EF600mm F4L IS III USMも同様のソフトケース(LS600)になっている。

先端の黒部分はフードを奥に入り込ませないための土手形状で、Lレンズの象徴である赤の帯が巻かれている。AFの駆動/停止、ISのON/OFF等に変更できる「フォーカスストップボタン」が、続く黒ゴムの帯にある。ゴムの巻かれていない白帯リングは、予めセットしたフォーカス位置を呼び出したり、モーターによる一定速度でフォーカシングを実行させる「パワーフォーカス」で使う「再生リング」と呼ばれ、IS II型に比べて山の凹凸が若干低くなった。そしてマニュアルフォーカス時に使用するピント(フォーカス)ヘリコイドは従来通り、幅広の黒ゴムが巻かれている。

両スライドスイッチの間、三脚座環固定ネジの下にストラップを付ける金属環がビス留めで配置されている。カメラを水平にセットした際、光軸を中心に時計方向でいう4時と8時の位置にあった先代から、3時と9時の水平位置に変わった。

持ち運び時にはハンドルともなる三脚座。座面マウント側に1/4インチ用の標準ネジ穴、クイックシューで使うガイドピン穴、先端側に3/8インチ用の大型ネジ穴が並ぶ。この三脚座はEF600mm F4L IS III USMと同形状で、これまでに掴んだレンズメーカー製を含む、どの三脚座よりも絶妙な形状で、設置位置も申し分ない。三脚座を支える環は水平・垂直と90度の間隔でクリックストップがある。

ネームバッジはシルバープレートで先代のIS II型と同様だが、フォーカス距離目盛窓と一体化したデザインで控えめな存在に。三脚座環を固定するネジの天板は蓋になっており、開けると盗難防止用錠のソケットがある。

前述したように、EF600mm F2.8L IS III USMと同じ現場での撮影になったが、今回は400mmとあって航空機なら輸送機や旅客機などの中型機に、横浜のトライアスロンワールドカップのシーンではより選手に近づいたアングルとなった。カメラはEOS-1D X Mark IIとEOS 5Ds R+バッテリーグリップ「BG-E11」を使用。特に記載のない写真に関しては手持ちでの撮影である。

シーン1:航空機

兵庫・六甲の方角に沈む夕日を背景に、大阪・伊丹空港へと着陸するANAの777-200。レンズを振り抜くと背景輝度に変化があるため、機体がシルエットになることを覚悟しつつシャッター優先AEを使った。ファインダーを覗くと肉眼ではシャドウ側の細部までは見え辛い状況であり、オートフォーカスにとってもフォーカスポイントをどこに持っていくかが悩ましかった。全測距点を自動判別するフォーカスモードを選んで機体を捉えると、開放絞りながら機体の輪郭、胴体横の細部も立つように合焦した画となった。良い条件とは言い難い状況だったが、この結果からさすがに高性能の単焦点レンズであることを実感した1枚であった。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/500秒、F2.8、±0EV) / ISO 100

羽田空港に着するJAL767-300を空港対岸の京浜島より撮影した。手ブレ補正のISモード2を試すべく、マンフロットのフルード雲台の三脚に載せ、1/30秒のシャッタースピードで切った。三脚に載せてはいるがISがOFFだと微振動が現われて画面が安定しない。他メーカーの流し撮りモードでは純粋に縦へのブレ軽減を、シャッターが切られた瞬間にだけ行うモデルがあるが、このモード2は被写体をフォローする際の像安定も考慮されており、さすがに20年以上の歴史があるキヤノンのISだと思える出来だ。ただ、流すべく被写体の速度が極端に遅く、それに合わせたレンズの振り速度も遅いと、モード2ながら静物と判定しその振り自体を補正することがあった。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / マニュアル露出(1/30秒、F8.0) / ISO 100

岩国基地から空中給油デモンストレーションのために離陸するKC-130輸送機だ。プロペラ機の撮影ではシャッタースピードを落として、プロペラをなるべく止めないように撮影する作法がある。ここでは極端にシャッター速度を落とすことは避け、一説に言われる手ブレ限界のシャッタースピードとされる1/焦点距離である1/400秒で撮った。ノーズ付近など、陽炎による滲みが僅かにあるが、ここでもISモード2のアシストあっての解像だと理解できる。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/400秒、F7.1、±0EV) / ISO 100

開放絞りがF2.8とあって夜間など環境輝度の低い状況で撮影を試したくなる。大阪・伊丹空港の千里川土手で三脚に載せ、滑走路着地直前のA321を撮影した。開放F値の小さい(明るい)レンズは当然、ISOやシャッタースピードで有利になるが、ファインダーの中の被写体像の見え具合もF値の大きな(暗い)レンズに比べると、明らかにクリアであることも大きなメリットだ。この優位性は暗闇の機体を画面の中で追い続ける際に活きてくる。ISO感度をISO 20000まで上げてシャッタースピードを1/80秒とし、航空機そして滑走路灯や山に広がる住宅の明かりも止めることができた。

Canon EOS-1D X Mark II / EF400mm F2.8L IS III USM / マニュアル露出(1/80秒、F2.8) / ISO 20000

日の入りから40分。山の稜線上に残照が僅かに残る時間帯だが地面は夜間と変わらぬ暗がりだ。ANAの737-800型と777-200型が滑走路手前の誘導路で離陸待機するところを、ISO感度を低くしようと三脚に載せて1/2秒のシャッタースピードで撮影した。

ISの設定は静止用のモード1。他社製品では三脚使用時の手ブレ補正を推奨しないこともあり、このIS III型も三脚のモデルよっては適さないとの旨が説明書にある。しかしご覧の通り、このシーンでの三脚と手ブレ補正のコンビネーションは上手く行っている。主翼付け根のランディングランプの眩しいほどの輝度によって肉眼では機体種別もわからないほどの明るさで、逆光耐性を見るにはちょうど良い。

白色光のランディングランプの斜め下、画面中央からの放射状方向にフレアがあらわれているが、その近辺以外でのコントラスト低下は見られない良好な結果だ。駐機場を照らす灯の下にある紗幕のような光線で判ると思うが、そもそもやや霞のかかる状況ながら機体の輪郭もきっちりと出ている。

Canon EOS-1D X Mark II / EF400mm F2.8L IS III USM / マニュアル露出(0.5秒、F2.8) / ISO 400

シーン2:スポーツ

トライアスロンワールドカップ、スタートの号砲が鳴って女子エリートの選手が桟橋から飛び込む。足のつま先に力が入り、手の指先がもうすぐ水面に入るタイミングを狙った。実のところ、レンズを変えてもう少しワイドアングルにすればフレーミングに余裕が生まれ、レンズの物理的な取回しも楽になる状況だったが、この400mmの軽量具合はそんなギリギリのフレーミングにも積極的に挑戦していけるものだった。

Canon EOS-1D X Mark II / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/2,000秒、F3.2、±0EV) / ISO 160

飛び込んだ選手たちが1.5kmのスイムを終え退水スロープを駆け上がる。一段落する間もなく、隣接するライバル選手とぶつかり合いながらも先を急ぐ。

選手のゴーグル付近にフォーカスを保ちつつ、滴る海水の表情を入れようと、顎下からの水滴にフォーカシングを試みた。10mも離れていない選手をアップで捉える際は被写界深度も浅く、狙った箇所へのフォーカシングは厳しい。フォーカスエリアを5点分の拡大領域設定とし、水の流れ落ちる一瞬を狙い易くした。素早いフォーカシングは単焦点ならではの反応のあらわれと思えた。

Canon EOS-1D X Mark II / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/1,600秒、F3.2、+0.3EV) / ISO 100

スイムに続くバイクパートだ。かつて、トライアスロン競技のバイクでは前の選手を風よけにして、すぐ後ろを走ることが禁止されていたが、それも昔。レギュレーション変更により自転車ロードレースと同様に列線をなして疾走する。後ろに続く選手を効果的に配置しようと、先頭の選手が画面左に来るアングルを想定し、測距点を広範囲の中から自動決定するゾーンAFを使って、そのアングルになるフレーミングに対応させてみた。

同じシーンをEF600mm F4L IS III USMで何度か試したが、このゾーンAFでのAF追随は明らかに400mmに軍配が上がった。このAF合焦率の違いは、開放F値やアウトフォーカス箇所とのデフォーカス量の違いからくると考えられる。

Canon EOS-1D X Mark II / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/1,250秒、F3.2、+0.3EV) / ISO 200

3種目の最後である10kmのランシーン。エイドステーションではペットボトルの水を浴びるように補給する選手が多数いる。夏季の競技であり、水着のまま走る、というのもトライアスロンならではの光景だ。

EF600mm F4L IS III USMのレビューでも掲載した同一選手だが、この周回では輝度が多く、余裕あるシャッタースピードで撮影して、F2.8と明るい開放F値のメリットがいかせたため、フォーカス位置を持ってきたサングラスや同一距離にある水着表面などにキレのある解像が見られる。

Canon EOS-1D X Mark II / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/2,000秒、F3.2、±0EV) / ISO 320

シーン3:風景

大桟橋に停泊する業務船を山下公園から撮影した。絞り開放にして、画面中央付近のデッキからの梯子付近にフォーカスを合わせた。撮影地点からおよそ100〜150mの位置であるが、400mm F2.8レンズならではの絞り開放時の被写界深度がわかることだろう。同時に若干、線の太さも感じ、EOS 5Ds Rのシャープネスの強さも確認できる。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / 絞り優先AE(1/3,200秒、F2.8、-1.3EV) / ISO 100

今春生まれた都内の庭園内の池に住むカルガモの幼鳥だ。EF600mm F4L IS III USMのレビューでもお伝えした幼鳥のうちの一羽が、群れから離れ、好奇心旺盛に池の中を泳ぐ鯉を突いていた。レンズを一脚に据えフォーカスを合わせていった。このようにブレのない状況であれば、嘴を覆う水膜の立体感に見られるような艶が強調され、みずみずしい画が得られる。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / シャッター優先AE(1/1,000秒、F2.8、-0.7EV) / ISO 500

航空機、競技選手、鳥、と明確にある程度の大きさを持つ被写体ならば、そこへレンズを向ければそれなりの画が撮れる。しかし、一見、曖昧に広がる目の前の景色を、装着レンズを通して切り取ることによって立体的な1枚にあらわす、そんな手法も望遠レンズを使いこなす醍醐味の一つだ。

カルガモの庭園を散策していると、手前にもみじ、池の対岸にサツキの花々が淡いピンクの一面を見せる場面に遭遇した。もみじの葉をアップに主題とすると、その葉柄、葉脈の様子も見事に解像し、対照的なピンク色と相まって、曇り空下の庭園空間をしっとりと切り取れた。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / 絞り優先AE(1/250秒、F2.8、-0.7EV) / ISO 100

遠目に見たサツキに近寄ると一羽の蜂がそこかしこの花に入り込んで蜜を吸っていた。さすがに飛び回るこの蜂へのフォーカスは厳しかったが、こちらを向く一輪にフォーカスを合わせ、近づく瞬間を待った。この距離でも雌しべ、雄しべの存在に目が行くのは、絞り開放で周りをボカしつつも合焦箇所がクリアに解像するレンズだからこその結果であろう。

Canon EOS 5Ds R / EF400mm F2.8L IS III USM / 絞り優先AE(1/1,000秒、F2.8、±0EV) / ISO 400

絞り値ごとのボケ具合

ボケ具合を見る。参考までに、露出モードを絞り優先AEとして開放絞りのF2.8、F4、F5.6と一段ずつ絞った。カメラはCanon EOS 5Ds R使用している。

合焦させた画面上のもみじの下、背後に広がる背景は画面右から左にかけて遠ざかっていく。開放F2.8ではより遠くに行くほど、例えばサツキの輪郭も見えずにやわらかいグラデーションが作られている。絞るに従い花や葉の境の線が見え始め、F5.6に絞ると、輪郭だけでなく濃淡の違いも見えてくる。撮影中の輝度変化はなかったと記憶しているが、開放絞りでの画像は周辺減光の影響からかやや暗めに写った。

F2.8
F4.0
F5.6

まとめ

400mm F2.8は交換レンズラインナップの中でも高価であり、大きさもあって大多数のユーザーには「特殊なレンズ」である。しかし、プロカメラマンによるスポーツ撮影の現場においては「標準レンズ」といわれるほど、ポピュラーなレンズでもある。スポーツシーンに程よい望遠画角があり、人口灯で照らされる室内競技場においても対応できる明るさがあるからだ。だがスポーツをメインに撮るカメラマンでも実際の導入では、100万円を超える出費を、収入との天秤にかけて考えさせられることになる。が、その明るさ、素早いAFレスポンス、そしてズームにはない描写性能。これらに応分の価値が見いだせれば、高価であろうが大きかろうが、道具として不可欠な存在になるから、その意味でも「標準」なのだ。

ほぼ時を同じくしてEマウントレンズの拡充を目指すソニーからも軽量コンセプトの400mm F2.8が発売され、ニコンにも6代目となる400mm F2.8がラインナップされる中、キヤノンからは3kgを切る軽量化、手ブレ補正効果の向上、逆光耐性への取り組みや熱射対策の塗装など、基本性能を底上げするかたちでEF400mm F2.8L IS III USM が装いも新たに登場した。今年はラグビーのワールドカップとオリンピックが控えているとはいえ、このサイクルで果たしたモデルチェンジ内容をみると、メーカーがラインアップの中でも特に重視し、ライバルに負けじと威信をかけて作る「珠玉のレンズ」が400mm F2.8クラスのレンズであることが伝わってくる。

このレンズを使っての撮影では、常々それらの高性能にアシストされるような気にさせられた。明るく濁りのないファインダー像は覗いていて気持ちがよく、手ブレ補正の反応は連写中も素直で、センタリングのぎこちなさを感じさせない良好なもの。何より、軽いので撮りたいと思った時にすぐに被写体へとレンズが向けられる。「珠玉のレンズ」がもたらす性能向上ぶりは、もちろんスポーツの現場以外でも発揮される。大きくかさ張る「特殊なレンズ」ではあるけれども、一眼カメラでの撮影が日常にあるプロやハイアマチュアには、この気持ちよく使える使用感こそが「標準」として認められる理由なのだ。

レンズの旗艦モデルであるEF400mm F2.8L IS III USMは、「今時の単焦点望遠はこうあるべき」と「基準」を主張する存在であった。

撮影協力:日本トライアスロン連合、目白庭園

井上六郎

(いのうえろくろう)1971年東京生まれ。写真家アシスタント、出版社のカメラマンを経てフリーランスに。自転車レース、ツール・ド・フランスの写真集「マイヨ・ジョーヌ」を講談社から、航空機・ボーイング747型機の写真集「747 ジャンボジェット 最後の日々」を文林堂から上梓。この4月「今すぐ使えるかんたん 飛行機撮影ハンドブック」を技術評論社より刊行。日本写真家協会、日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。