岡嶋和幸の「あとで買う」

1,116点目:商品撮影の参考書として気になる2冊

原カオリ『伝わる商品撮影の教科書 デザイン視点で素材の魅力を引き出す撮影術』

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムがたくさん入っています。この連載では、フォトライフに関連する製品を中心にその中身をお届けします。どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

原カオリ『伝わる商品撮影の教科書 デザイン視点で素材の魅力を引き出す撮影術』

自社製品の宣伝を担当していたり、手作りの作品をインターネットで販売している読者もいることでしょう。私の周りにもそのような活動をされている人が多いのですが、製品の良さがいまひとつ伝わりづらい写真を目にすることも少なくありません。

魅力的な製品なのにそれではもったいないと思いつつも、求められてもいないのにアドバイスを押し売りはしません。でももし何か聞かれたときは、その人の目的に合った参考書を紹介するようにしています。そのため自分が読まなくても、新しく出版された写真関連の教則本はこまめにチェックしています。

商品撮影関連で最近良さそうだと思ったのが『伝わる商品撮影の教科書 デザイン視点で素材の魅力を引き出す撮影術』です。著者は元デザイナーさんで、「デザイン視点で素材の魅力を引き出す」という点がユニークで分かりやすいです。被写体の特性を観察することはもちろん大切ですが、そこから「明度計画」「彩度計画」「色彩計画」などを立てていくという興味深い内容です。

作品制作ではステートメントを書いて、表現する写真を言語化したりしますが、それに似た考え方のようです。行き当たりばったりではなく、設計図を作成しながら頭の中を整理し撮影に取り組むことで、製品の良さなどが伝わりやすくなるでしょう。

この本とは全く異なる視点でまとめられた『スマホでOK!売上がグンとアップする写真の全ノウハウ』も気になる1冊です。「顧客心理」「商品価値」「提供価値」の3つのキーワードがポイントになっています。意外に抜け落ちている初歩的なことを分かりやすく解説されていていろいろ参考になりそうです。どちらも販売価格は2,420円で、Kindle版もあります。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。