新製品レビュー
Xperia XZ2 Premium
シリーズ初のデュアルカメラ搭載モデル
2018年8月1日 07:00
ついにXperiaにもデュアルカメラ搭載の新型機が投入された。この「Xperia XZ2 Premium」はモノクロセンサーの輝度データとカラーセンサーの色データを融合して、本格カメラレベルの高感度特性を実現。また後日のアップデートによって、「ボケ」と「モノクロ」機能の拡充も予定されており、写真撮影を存分に楽しめるAndroid端末となっている。
キャリア:NTTドコモ(7月27日発売)、au(8月10日発売)
CPU:SDM845/2.8GHz×4コア+1.8GHz×4コア
RAM:6GB
ROM:64GB
外部メモリ:microSD/microSDHC/microSDXC(最大400GB)
ディスプレイ:約5.8インチ 3840x2160 トリルミナスディスプレイ for mobile/LCD
バッテリー容量:3400mAh
OS:Android 8.0
重量:約236g
デザイン、質感、持ちやすさ
Xperia XZ2 Premiumのボディはヘビー級だ。約158×80×11.9mm、重さ約236gと、大きくズッシリとした存在感が特徴である。滑らかな曲線を描く背面のボディラインだが、手にするとかなり大ぶりな印象を受けると同時に、ツルッと手から落としそうになってしまう感じである。使用時には落下させないよう慎重にホールドしたい。
質感と仕上げはゴージャスで、艶やかな高級感を醸しだすボディーカラーはクロムシルバーとクロムブラックの2色が用意される。端子は上下の区別がないUSB Type-Cを採用。別売りの充電器を購入すればワイヤレス充電にも対応する。またIPX5/IPX8の防水性能も有し、水回りでの撮影でも安心感があるのがいい。
Xperia XZ2 Premiumは指紋認証センサーを搭載しており、本体を握る動作でロックを解除できるのだが、このセンサーの位置がカメラのレンズ位置と紛らわしい。何回も指紋認証センサーをタッチしたつもりでレンズを触ってしまっていた。とっさの撮影時には注意しよう。
ディスプレイ
4K HDR対応の約5.8インチディスプレイ(3,840×2,160)は明るく広視野角で、斜めからでもとても見やすい。撮影時でも写真確認時でも視認性が高く、日中でも満足度の高いものであった。テレビのブラビアで培ったノウハウをつぎ込んだトリルミナス ディスプレイ for mobileは、リアルな色再現と幅広い色域を誇る。また同じくブラビアの超解像技術をモバイル向けに最適化したX-Reality for mobileにより、精細感溢れる鮮やかな描写を実現。大きく見やすいディスプレイのスマートフォンだと言えよう。
カメラ
Xperiaシリーズ初となるデュアルカメラを搭載したXperia XZ2 Premium。他機種と違って「望遠」など焦点距離を得るためのデュアルカメラではなく、高画質高感度のための「二眼」なのがウリだ。「Motion Eye Dualカメラシステム」と名付けられたこの2つの眼は、カラーのセンサーとモノクロの裏面照射型CMOSイメージセンサーから構成される。
下段にあるカラーのCMOSセンサーはメモリー積層型となり、有効画素数約1,920万画素。センサーサイズは1/2.3型でレンズの開放F値はF1.8だ。上段にあるモノクロセンサーは有効画素数約1,220万画素で1/2.3型・F1.6となる。レンズは新設計のソニーGレンズで、どちらも焦点距離は35mm換算で約25mm。カメラ任せの「プレミアムおまかせオート」時、光量がある場合はカラーセンサーのみで撮影を行い、低輝度になった場合自動的にモノクロセンサーも使う。「マニュアルモード」時はそれらを選択できる仕様だ。
映像エンジンは「画像融合処理プロセッサーAUBE」。カラーセンサーで色情報、モノクロセンサーで輝度情報を取得し、両データを合成することにより高感度性能を可能にした。また製造時における2つのカメラによる光軸のズレを、個体調整値を元に信号処理で位置合わせ補正、さらに被写体までの距離による局所的なズレも補正する。
撮影は基本的には「プレミアムおまかせオート」で行う。ほとんどのシーンは端末に任せてしまうこの機能で問題ないが、「マニュアルモード」に画面をスワイプして切り替えると、シャッタースピードやISO感度、デュアルカメラに切替などが設定可能に。またデュアルカメラモードにした場合、最高ISO感度の上限が12800まで51200まで上げられる。
なお、今後のアップデートによって「ボケ」、「モノクロ」機能が追加される予定となっている。
実写
東北の湖を「プレミアムおまかせオート」で。水面の様子、そして対岸にある森の描写、雲の立体感などそつなく曇天の山上湖を捉えてくれた。
東京駅付近のオフィスビルとお濠を撮影した。ビルの窓は本来整然と並んでいるはずだが、レンズの収差かやや歪に写ってる印象だ。ただ壁面のディテールや室内の様子、植栽や通行人などはしっかりと写しとられており、Xperia XZ2 Premiumの実力を垣間見た。
渓流の岩に生える植物にフォーカスして撮影したカット。葉の精細かつ自然な描写が素晴らしい。やや曇天下であったがホワイトバランスも的確で、清涼感を感じられるカットとなった。後日提供される「ボケ」モードを使えばより背景をぼかしての撮影が可能になる。楽しみにしたい。
道端に面した店先をスナップ。撮影時のレスポンスはまずまずで、他のスマートフォンと同様に気軽にストリートフォトを楽しめた。並べられた商品のディテールはとてもリアリティあるもので、色再現とともに満足のいくものだろう。食材のシズル感が伝わってくる。
これはカゲロウだろうか?看板に止まったその様子をググッと寄って撮影したが、昆虫の透き通った身体を克明にXperia XZ2 Premiumは捉えた。露出も色再現も正確で意図した通りにキャプチャーできた。
ミックス光でステーキを撮った。やや環境の色を残しながら、食材の照りやソースの雰囲気とシズル感が素晴らしい。シャッター音も控え目なため、こういうシーンでの撮影も心配が少ない。
まだ目を覚ます前の飲み屋街を撮った。ややノイズが浮くものの、明るい部分から暗い部分までのトーンがとても素晴らしい。解像感、色合いもよく、これもイメージどおりに撮影できたカットだ。
夜に皇居のお堀端を撮影。感度はISO640となったが、この環境の雰囲気を余すところなく、クリーンにXperia XZ2 Premiumは捉えてくれた。スマートフォンでの夜間撮影領域を大きく拡大してくれる端末だという印象を持った。
高感度
前述の通り、Xperia XZ2 Premiumは高感度に特化したデュアルカメラシステムを搭載。暗所はモノクロセンサーの情報を加味して、従来機より高感度でも美しい描写を得意としている。そこで、ISO1600から最高感度のISO51200まで一段ずつ感度を変えて東京駅を撮影した。
ISO6400まではノイズ、ディテール、色合いとも鑑賞に耐える描写を見せた。ISO12800からは急激にノイズが発生しコントラスト、発色も低下。これ以上の感度は「どうしても」という場合においての使用にしておいた方がよさそうだ。
まとめ
ソニーモバイル初となるデュアルカメラを搭載した「Xperia XZ2 Premium」。高感度特性に振った描写性能は、ISO6400までを常用にできるレベルの素晴らしい絵を見せてくれた。スマートフォンでの暗所撮影領域をグーンと拡大した機種になったことは間違いない。
もちろん一般的な環境下での描写も精細かつ鮮やかなもので、さすが最新のAndroid機だと思わせてくれた。後日提供されるアップデートによる機能強化も楽しみである。ただ大柄で重いボディと滑りやすい仕上げは使う人を選ぶかもしれない。実際に手にしてその感触を試してみてほしい。