Leofoto FIELD REPORT 三脚のある美しい写真

素早いセッティングと構図決定が理想の風景写真を導く

藪崎次郎さんが愛用する「LQ-324C」+「G4」

センターユニットを交換し、三脚をほぼ180°まで全開脚にして水面ギリギリにカメラをセット。難しい構図もG4ギア雲台があれば精緻に決められる

SIGMA dp0 Quattro/14mm(21mm相当)/マニュアル露出(F11)/ISO 100/WB:5,500K/SFDモードを使用して露出の異なる7枚を合成

最高の瞬間を捉えるために、妥協のない撮影を心がけるのがプロの写真家だ。目の前の風景を自分の作品に落とし込むため、自分なりの流儀にたどり着く。

今回執筆いただいた藪崎次郎さんもそうした写真家のひとり。自然を克明に捉えるため三脚・雲台での作品撮影を心がけ、手持ちでの撮影はしない。そんな藪崎さんが愛用する製品とは? 三脚・雲台への想いとは?

藪崎次郎

自然との共鳴によるヒーリングをテーマに、記憶と心理に深く刻まれるリアルで幻想的な独特のネイチャーフォトを創造する写真家。近年では企画画廊での作品販売のほか、文化芸術に関する活動など幅広く手掛ける。WPC2020、2021日本代表写真家

※本企画は『デジタルカメラマガジン2022年11月号』より転載・加筆したものです。

風景を超高精細に捉えるためのマストアイテム

目の前の光景をどう切り撮るかは、写真表現において最も重視すべき点であることは言うまでもない。

デジタル黎明期からいち早くデジタルカメラを手にしていた私にとって、イメージセンサーの高画素化や手ブレ補正機能、また高感度性能やダイナミックレンジの向上など、昨今のデジタルならではの技術的進歩は本当に目覚ましく革新的だ。

しかし、先進技術がいくら向上したとは言え、人間の目には到底捉えられない時間の概念を超えた流れを切り撮り、それを芸術的価値のある作品へと昇華していくためには、撮影者自らの意志で「表現の形」を決める必要がある。

露出の違う7枚を連写して合成するシグマ独自のSFDモードを使用。安定性の悪い深雪での連写でも、LQ-324Cは一切ぶれず、雪の質感を精密に描写した

SIGMA sd Quattro H/24-105mm F4 DG OS HSM|Art/31mm(41mm相当)/マニュアル露出(F14)/ISO 100/WB:5,000K/SFDモードを使用して露出の異なる7枚を合成

私は「自然との共鳴によるヒーリング」をテーマに、日々、国内外の自然風景を追い続けている。その中で自然界への敬意として、大自然の鮮やかな色彩と被写体の持つ美しいディテールを余すことなく超高精細かつ立体的に写真へと収めることに注力している。

ゆえに風景と向き合うときは、どんなシーンでも手ブレの可能性があるため手持ちの撮影は一切せず、必ず三脚と雲台を使用してしっかりと構図を決めたのちに丁寧にシャッターを切るというスタイルだ。その中でも特にフレーミング(構図設計)は、写真表現において最も重要であり、高性能な三脚と雲台がもたらすフレーミングへの恩恵ははかり知れない。

レオフォトとの出合いは、2018年初頭に日本国内での販売がスタートした直後からだ。センターポールを除いた軽量シンプルなLSレンジャー、屋外の移動が多い撮影でコンパクトに収納できるLXアーバン、海や渓流など水辺の撮影で活躍するLPポセイドンなど、ロケ地やシーンに合わせて使い分けているが、その中でも現在は、レオフォトを愛用する世界各地のプロフォトグラファーの要望をふんだんに取り入れて完成したエレベーター機能を有するセンターポール着脱が可能なLQシリーズのLQ-324Cに、発売から大ヒットのG4ギア雲台を載せて愛用している。

LQ-324C
価格:12万5,400円(税込)/伸長:1,308mm/全伸長:1,598mm/収納高:493mm/最低高:78mm/段数:4段/最大脚径:32mm/耐荷重:15kg/質量:1,490g

G4
価格:9万9,000円(税込)/高さ:108mm/耐荷重:20kg/質量:690g

自然風景を写真に収めたいと思う最高の瞬間は、ほんの数秒にも満たないが、その瞬間に出合ったとき、いかに機材を素早くセッティングし構図を決めるかが勝負だ。酷暑から極寒までさまざまな環境にマッチし、屋外からスタジオまで、シーンを選ぶことなくオールラウンドにサポートしてくれるLQ-324CとG4のコンビネーションは、私の写真作品制作に欠かせないマストアイテムである。

朝霧のブナ林にて10秒ほど現れた光芒を撮影。とっさのフレーミングが必要なシーンでも3Wayとして使えるG4ギア雲台がしっかりと撮影をサポートしてくれた

SIGMA sd Quattro H /24-105mm F4 DG OS HSM|Art / 60mm(80mm相当)/マニュアル露出(F11)/ISO 100/WB:5,500K/SFDモードを使用して露出の異なる7枚を合成

多様なフレーミングに柔軟に対応できるコンビネーション

世界のプロ写真家の要望から生まれたLQシリーズ。センターユニットはワンタッチで簡単に着脱でき、ハイアングルからローアングルまでさまざまなシーンに対応。脚は10層カーボンを進化させた新設計の多層カーボンパイプが採用され、荒天や振動に強い。G4ギア雲台は精緻なフレーミングが可能。高剛性なわりに自由雲台並みの質量でサイズもコンパクトだ。

LQ-324C

センターポールはエレベータユニットになっていて、アイポジションを自在に調整できる。不要なときは簡単に着脱できて軽量化を図れる。

脚を全開脚させたローポジションへの移行もスムーズだ。

分解したときの継ぎ手部分のパーツが少なく構造がシンプルなため、脚の着脱が容易でメンテナンス性に優れ、故に壊れにくく長持ちする。

G4

チルトとロールの2軸が可動するG4は、微動調整ダイヤルを回せば無段階で滑らかに作動する。ロックレバーを緩めると調整ダイヤルをリリースでき、雲台ベースのパン軸と合わせて3Way雲台のような操作も可能だ。

制作協力:株式会社ワイドトレード

藪崎次郎