クルマとカメラ、車中泊

1kWクラスのポータブル電源で車中泊とテント内作業が快適に

今回の1枚

九十九里に居りますと突然寒くなって秋はどこいったと思ってたんだけど、週末に山梨に行ったらありましたよ、秋。すっかり紅葉して秋模様。

ここは増富温泉を流れる本谷川上流。増富渓谷と言った方がネット検索にかかりやすいかも。雨模様だったんだけど、静かな渓谷に華やかに散りばめられた色に心奪われる時間でした。

増富温泉は昭和の時代、信玄隠し湯の1つとして賑わってたけど、近年は旅館の数も減って訪れる人も減ってる印象なんです。もちろんインバウンドとととも無縁な感じ。ワタクシ若き日から随分とここに来てるんですが、紅葉の頃は随分と活気があったと記憶しています。それだけに、首都圏に近い紅葉スポットとしていまは貴重かもと思うんですよ。静かに紅葉を楽しむのにおすすめです。

中央道、須玉インターからおよそ30分。首都圏から行きやすいでしょ? 標高差もあるのでうまくすれば11月末ころまで紅葉が楽しめます。お弁当と温かい飲み物を持ってぜひどうぞ!

1kWクラスのポータブル電源を買い増した理由

「FOSSiBOT F1200」容量は1,024Wh。AC出力は1,200W(瞬間最大2,400W)

1kWクラスのポータブル電源を買いました。購入したのはFOSSiBOT F1200という製品。Amazon プライム感謝祭で安くなっていたのでぽちっと。昨年、Loncin EP350というポータブル電源買ってるんだけど、ポータブル電源全般が使い勝手の良いものと感じて買い増しとなったわけです。記事はこちらね。

同じメーカーを買った方が良いのかも知れないけど、ポータブル電源のことって色々知りたいじゃない? で、あえて違うブランドを。いや、お値段かなw

ともあれ、EP-350は300wクラス。今回のFOSSiBOT F1200は1kWクラス。ざっくり容量3倍です。そうなるとできることが増えますよね。

車中泊とテント内作業での実用例

で、まあ、やりたかったのがこれ。車中泊電気毛布! 最近はポータブル電源+電気毛布を愛用して車中泊やキャンプを楽しむ人も多いですよね。もともと僕の車にはサブバッテリーを組んでるので、電気毛布も使えたんですが、なにぶん汎用品寄せ集めのサブバッテリーなので効率は50%くらい。実質使える電気容量は200Wh強といったところなので、使ってる電気毛布は50Wくらいでオンオフ繰り返すやつなのですが、1晩ギリギリです。1kWクラス、F1200では2晩は楽勝。節電すれば3泊行けるって感じですよ。

電気敷き毛布の上にシュラフをおいて就寝

そしてもう1つはこれ。テント内でお仕事。いつもの天体観測所での様子なんですがね、Mac Book ProとSSD2本、サブモニター代りにiPad、そしてiPhoneでテザリング。これで画像編集と動画編集をやってるところなんですが、最初からMac Book Proが満充電であれば作業中の消費電力は20W〜30W程度です。動画書き出しの時には一時的に跳ね上がりますけど、1日中フルにお仕事してても大丈夫。夜電気毛布に使う分を残しておかないと残念なことになりますけどね。1kWクラスなら仕事しつつ1泊過ごせるというわけです。

全てを満充電にして持っていけば1日仕事、夜には暖かく就寝できる

操作パネルと充電電力制限ダイヤルの特徴

ちょっとここでF1200のオペレーションパネルを見てみましょう。本体前面にはUSBと12Vシガーソケット、つまりDC系出力のコネクターが装備されています。数としては十分なんですが、PD100WのUSBが1つのみっていうのがちと残念です。

全てを満充電にして持っていけば1日仕事、夜には暖かく就寝できる

PD100WとPD20Wの組み合わせなんですよね。せめて100W+60Wくらいは欲しかったなあ。Type-Aの方はQC対応なんですが、僕はQC規格のもの持ってないので恩恵がありません。まあ、足りない場合はシガーソケットにUSBアダプターを差しましょう。

そして特徴的なのが銀色のダイヤル。これ充電電力を制限する機能なんですよ。ほとんどのポータブル電源で充電時の充電電力を制限できる機能が実装されていますが、アプリでの提供です。物理的な切り替えがついていたのは現況「FOSSiBOT F1200」だけなんです。それが購入の理由なんですけどね。本機種では最大1Kwで充電できるんですが、充電する場所によっては電力が足りずブレーカーが落ちてしまうこともあります。うちは太陽光発電をしてるんですがいわゆる卒FIT後なので、日中の余剰電力で買電しない範囲で充電したいのです。発電状況を見ながらダイヤルで入力を変えられる方がアプリよりも手軽に思うのですよ。

外観上も特徴的な銀色のダイヤル。入力電力を制限する機構

また、出先での充電は先のサブバッテリー経由のACで行っているんですが、自作サブバッテリーのAC出力は最大500W。しかし、500WでF1200を充電し続けるとサブバッテリーは空になってしまって、かつ出力を停止してしまいます。そこで200Wで充電すると車が走行さえしていれば、サブバッテリーの電力も維持され、かつF1200にも充電されます。そんな事情もあって手動切り替えダイヤルが確実だし手軽でいいわけです。

これはうちの車の事情ですが、HV車やPHEV車ではAC1,500W出力のオプションを装備してる方も多いですよね。走行中にもAC1,500Wを使用できる仕様になってるならそんな事情も考えなくていいわけですけど、他の装備品に合わせて手軽に入力を変更できるのは便利ですよ。

また僕は買ってませんが、走行充電用のオプションがあってサブバッテリーを備えていない車でも2時間程度で満充電にできるようになっています。

これらのオプションやシステムを組んでいなくても製品付属のシガーソケットケーブルでも充電は可能です。ただし最大96Wになるので0%から満充電になるのに10時間以上かかっちゃいますが……。

入出力端子と太陽光パネル充電の注意点

入力のコネクターは本体背面にあります。跳ね上げ式のカバーで隠れてますが、AC入力用の3PINのコネクターとDC入力用のコネクター、XT60が装備されています。右の丸いボタンはブレーカーですね。

黄色いコネクターがXT60。DC(直流電源)入力用

家庭用電源やインバーター経由のAC(交流電源)から充電する場合は黒い3PINコネクター、前述の走行充電オプションや太陽光パネルから直接充電する場合、同梱のシガーアダプターから充電する場合はXT60コネクターから充電を行います。

最低限必要なケーブルは同梱されています。AC入力用のケーブル、シガーソケットからの充電用ケーブル、太陽光パネルからの充電用の3本です。このうち、太陽光パネルからの充電用ケーブルなんですが、XT60コネクターの反対側にはMC4と呼ばれるコネクターが付いています。MC4は太陽光パネルを接続する際に一般的に使われているコネクターです。汎用の太陽光パネルのほとんどはこのコネクターになってきていますね。

同梱のケーブル

AC出力も見ておきましょう。AC出力は3基、背面下側に並んでいます。使えるのは3基総合で1,200Wまでです。最近のポータブル電源の傾向として、AC出力も製品前面に装備されているものが多くなっているように思います。

UPS(無停電電源装置)としての機能も備わっているので、常時パソコンなどAC電源を常時接続しておく場合は、AC出力が背面にある方がすっきりしていいかも知れません。

一方でアウトドアに持ち出して使うような使い方だとAC出力も前面にあった方が使いやすいように感じます。なかなか悩みどころです。特に車中泊で使う場合は電源の配置を考えて製品を選ばないと使いにくいシステムになりかねません。ポータブル電源を買う場合はその辺も考慮しましょうね。

ACは1,200W まで。瞬間最大は2,400W

さてここで、太陽光パネルでの充電に触れておきますね。僕の手持ちの汎用太陽光パネルで充電してみました。汎用120Wのパネルです。これで充電してもなんと50Wでしか充電されません。うーむ。と言いましたが、これは原因がわかっています。僕の手持ちの太陽光パネルは古いもので現在の汎用太陽光パネルの規格とちょっと違っています。

開放電圧なんて呼ばれますが、パネルからの最大の電圧が18Vなんです。僕の太陽光パネルでは電圧が足りなくて正しく充電されないんですよ。結論としてはですね、太陽光パネルでの充電を考えてる方は素直にメーカーオプションの太陽光パネルをセット買いすることがおすすめです。

手持ちの汎用太陽光パネルで充電中

次にAC電源の質です。仕様では正弦波110Vとなっています。テスターで測ると電圧はちょうど100Vでした。次にオシロスコープで測ってみました。

写真の通り、綺麗な正弦波が出ていて50Hzでした。電圧は仕様と違っていますが、むしろ都合がよいというか安心ですね。PCなど精密な機材にも安心して使える電源といえるでしょう。

オシロスコープで測ると綺麗な正弦波

電源品質と充放電効率、家庭用蓄電池としての経済性

最後に充放電の効率を調べてみました。まず、残量表示が0%になるまで使い切ります。つぎに、100%になるまで充電。そしてまた0%になるまで使い切り。1回しか実験していないので正確とは言えませんが概ねの傾向は掴めるでしょう。

まず、0%から100%に充電するのに要した電力は1.18Kwh。100%から0%になるまでに使うことのできた電力は0.79Kwhでした。

システムとしての効率は66.95%となりました。僕はこの効率は良い方だと思います。僕が自作したサブバッテリーなんて効率は50%ないですからねえ。充電するのにはACからDCへ変換、バッテリーに充電時に熱、放電時にはバッテリーから熱、DCからACへ変換。それぞれで損失がでますから、100%入力した電気が100%使えるわけではないってことですね。

充放電電力量

もう1つ、家庭用蓄電池として使った場合も考えてみました。卒FIT後です。買電1kWhあたり30円、売電1kWhあたり9円で計算してみました。1日1回充放電するとしてです。日中に0〜100%に充電するのに1.18kwh。これを余剰電力で行いますから、1kWhあたり9円で売れるはずのものを消費したことになり、結果10.62円が充電代となりますね。

これを夜間に使いますが使えるのは0.79kwh分。夜間だと1kWh30円で買電しなきゃいけませんから、このうちの0.79kwh分節約できるわけですね。これが23.07円。充電に使った分を差し引きすると1日あたり13.08円電気代がお得になるわけです。

充放電損益

で、僕はF1200を約4万5,000円で購入しています。毎日1.18kwhを余剰電力で充電できるとして購入代金を償却できるのに9.42年かかるというのが計算結果でした〜。う〜む、なかなか時間かかりますね。

また、こうした充電式の電源の場合残量20%以下を超えて使うと電池を痛めると言われていますし、同様に100%でもバッテリーを痛めてしまうと言われています。バッテリーを長く使うためには20%から80%で使うのが良いというのが一般的です。そうやって使うとさらに償却期間が長くなるわけですねえ。ともあれ、ポータブル電源は節約というより、アウトドアでの利便性や災害への備えというはっきりした目的があります。そのうえでいずれ元が取れると考えるとまずまずお得なように思うんだけどいかがですか。

ちなみに記事執筆時点はF1200は10万4,000円でした←ただし50%OFFプロモーションあり(アプリ非対応のモデルも5万2,000円で出ているので注意)。

Amazonはセールも多いですからね、年末あたりお得に狙ってくださいね。

1962年東京生まれ。日本大学芸術学部卒業後、出版社マガジンハウス入社。社員カメラマンを経て2010年にフリーランスとなる。主に風景・星景を撮影し、星空の撮影は中学校で天文部に入部した頃からのライフワーク。ニコンカレッジで、星景写真講座を担当。星空に興味ある方は「こちら」へ