交換レンズレビュー
光線漏れで幻想的な表現に…PolarPro「LightLeak レンズ 28mm」
2024年11月19日 07:00
鏡胴に窓が開いた珍しい構造
光線漏れはビンテージカメラやトイカメラなどにおいて、遮光が不十分なために外光が入り込みフィルムが感光してしまう現象だ。本来は不具合に相当するが、独特の効果があるため絵作りに活用されるケースもある。
現代のミラーレスカメラやそのレンズでは光線漏れはまず起きないが、光線漏れをエフェクト的に活用したいと言ったニーズは以前からあった。新品ながら光線漏れが起きるフィルムカメラなどというものも存在した。
一方、2016年にテクニカルファームが光線漏れを実現する透明なマウントアダプター「TF-Flare Adapter」を発売した際も話題になった。TF-Flare Adapterは業務用という側面もあってか、安いもので現在5万8,000円とそれなりの価格になっている。
またミラーレスカメラではないが、内蔵LEDライトでフィルムを感光させる機能を持った富士フイルムのチェキ「INSTAX mini 99」も今年リリースされている。
そんな中で登場したのがPolarPro LightLeak レンズ 28mmだ。価格は2万2,000円でTF-Flare Adapterよりはだいぶ買いやすい価格になっている。キヤノンRF、ソニーE、ニコンZ、富士フイルムX、Lマウント用がラインナップされている。
「28mm F11」という焦点距離と絞り値が固定されているレンズで、フォーカス調整機能はなくピントも固定というトイカメラを思わせるスペックとなっている。
外装は金属製のようだが、さほど重さは感じず携帯性は良い。レンズ中間部分には全周にわたって透明の窓があり、ここから外光を取り込むことで光線漏れを実現している。
窓の周りには一部が空いている遮光リングがあり、これを前後に移動させると入ってくる光の量を調節できる。また、遮光リングは回転することでも光線漏れの状態を変化させることができる。
本格的な光線漏れを実現
まずは光線が入らない状態でレンズの写りを見た。ご覧の通り非常にゆるい描写で、トイレンズを思わせる画質になっていた。販売サイドも「画像中央部分約40%にピントが合う」と説明しているとおり、周辺部分はかなり流れている。そのためか、広めの風景を撮るとミニチュアのように見える。
また撮影距離は1m~無限遠ということだ。1枚目の作例では諸収差が盛大だが、中央の東京タワーを見るとピント自体は来ているようだ。また周辺減光もそれなりにあることがわかる。
続いて上の写真のように遮光リングを調節して外光を取り入れた。画面のコントラストが落ちるほか、カラーバランスも変化してまさに光線漏れの雰囲気となっていた。
今回カメラはα7 IIIを使用したが、画面の下端は光線漏れが届かない領域があるようだった。カメラ内部の構造によるものかもしれないが、この辺りはトリミングで対応すると良いと思う。
次の写真だが、順光だと光線漏れがない状態でそれなりにコントラスト自体はしっかりしていた。窓を開けると青みがかった光が重なりオールドレンズのような描写になった。
続いては夜景で試した。繁華街では色々な方向から光が入ってくるので、意外と面白い絵になった。光線漏れありの作例は同じ場所で遮光リングを別の位置に動かしたもの。リングの調整で色々な効果を生み出せるのも楽しいところだ。