デジカメアイテム丼
1枚のフィルターで「CPL」「ミスト」両方の効果が
H&Y「Cinematic CPLフィルター」
2024年5月3日 12:00
H&Y FiltersがPLフィルターとホワイトミストフィルターの効果をあわせ持つという「Magnetic MRC Slim Cinematic CPLフィルター Kit」を2月に発売した。ここでは簡単ながらどのような効果があるのかを試してみた。
被写体の反射を抑えたり逆に強調したりできるCPLフィルターに、コントラストを抑えて柔らかい描写になるホワイトプロミストフィルターの効果を加えた製品となっている。
例えば、人物撮影でホワイトプロミストフィルターを使いたいが、反射の除去などでCPLフィルターも使いたいといった場合に適する。それぞれ単体のフィルターを重ねて使うこともできるが、ゴーストやフレアが発生しやすくなるので1枚にして画質低下を抑えようという狙いだ。
写真家の関一也さんが監修しており、試験販売で好評だったため正式に販売が決まったそうだ。珍しいコンセプトのフィルターだが、それなりに需要があるということだろう。
ラインナップはホワイトプロミストの強度が1/4と1/8の2種類で、各67/77/82mmを用意する。価格はいずれも1万円台半ばだ。1/4のほうがソフト効果がより強い。
フィルターには「マグネティックアダプターリング」が付属している。このリングを先にレンズに装着しておけば、フィルターをワンタッチで着脱できるようになるというものだ。
また、このフィルターは一般的なPLフィルターと異なり、回転枠の構造になっていない。マグネティックアダプターリングと組み合わせることで、初めて回転できるようになる仕組みでもある。
今回は室内ポートレートで、効果が分かりやすい1/4タイプを試してみた。
まずCPLフィルターを調整してソファーの座面に現れている照明の反射を消した。これによって見る人の目が自然とモデルに行くようになった。
次いでホワイトプロミストの効果だが、モデルの顔や服のコントラストが弱まり、ポートレート写真としてより適したものになったのではないだろうか。製品名に”Cinematic”と入っているが、まさに映画の一場面を思わせるような雰囲気だ。
ちなみにこのフィルターを使うと色温度も変化し、暖色にシフトする。作例は同じ色温度で現像しているが、フィルターを使った方がウォームトーンになっているのがわかる。
改めて2枚を見てみると、フィルターを使ったほうは全体的にまとまりがある絵と言えそうだ。モデルに対してソファーや背景の馴染みが良いのが印象的だった。反対にフィルター不使用の写真は、ソファーの明るい反射が気になり、画面がやや散漫に見えたのが正直なところだ。
このようにポートレート撮影では使いどころのあるフィルターだと思ったが、アイデア次第では様々なジャンルで活躍できそうだ。ちょうどミスト系フィルターの流行という、時機をうまく捉えた商品企画と感じた。
フィルターといえば単機能なのが当たり前だったが、今後はこうした複数の効果を持つフィルターのさらなる登場にも期待したいところだ。
モデル:進藤もも