デジカメアイテム丼

ノートPCケースを一体化できる小型バッグ「WANDRD ローグスリング6L」

ローグスリング6L(エーゲブルー)

銀一が扱うWANDRD(ワンダード)ブランドのカメラバッグ「ローグスリング6L」を試してみた。小型ミラーレスカメラが似合う小ぶりなサイズでありながら、最大16インチのMacBook Proを一体化して持ち歩けるのだ。どういうことか、具体的に紹介していく。

初期設定でジャストフィットを得る

心地よいフィット感の位置に合わせた

スリングタイプの使い勝手は、ショルダーストラップを素早く伸縮できるかどうかに掛かっている。このバッグの場合、片手でバッグを支えながらフィンガーループ(白い3本線のマークがある)を下に引くと短くなり、ショルダーパッド部分のバックルを引き上げると長くなる。

短くする:左手でフィンガーループを引き下げる
長くする:左手でショルダーパッドのバックル部分を引き上げる

ショルダーパッドが肩の位置にちゃんと来るかどうかは、ショルダーベルトとバッグの連結部分で調節できる。このバッグはショルダーストラップも、前面の三脚取り付け用ストラップも、余った部分がダランとしないようにベルクロのループでまとめられている。

筆者は使っていないが、より安定させるためのサポートストラップも内蔵。バッグ底部から引き出してショルダーパッドに連結する。

サポートストラップも内蔵

収納目安と機材アクセス

フラップは手前(体に近い側)から開くタイプ

フラップはジッパー式で、引き手が備わっているため想像していたほど開閉は面倒ではない。フラップが外向きに開くため、撮影中に開けっぱなしでも不安は少なめ。カメラもネックストラップというよりハンドストラップを組み合わせて、首から掛ける代わりにバッグに入れてしまうというスタイルが扱いやすかった。

引き手。収納部分のジッパーには全て備わる

公式表記の内寸は17.5×27.5×10.6cm。2枚の中仕切りを使ってカメラ機材などを収納していく。ライカQシリーズや薄型レンズを取り付けた中型ミラーレスカメラなどであれば、残りの2/3の空間を手回り品などに使える。

ライカQ3を収納

次にソニーα7R V+FE 24-70mm F2.8 GM IIを収納してみると、レンズの長さに対してバッグの深さが足りず横に寝かせる必要があり、横方向に残るスペースは1/3といったところ。これぐらいのサイズの機材をメインにしつつ交換レンズも持ち歩きたいような場合は、ひとつ大きいサイズの「ローグスリング9L」を選んだほうが無難かもしれない。ちなみに小さいほうの3LはWebサイトを参照したところ、フラットタイプの小型ミラーレスカメラ+薄型レンズでピッタリサイズのようだ。

α7R V+FE 24-70mm F2.8 GM IIを収納
レンズを下向きにすると、フラップが閉まらない(ローグスリング9Lだと、この入れ方でも収まる)
レンズを横向きにすると収まる
背面側。小型のタブレットPC向けと思われるスペースと、細やかなポケット
参考:ローグスリングのサイズ比較
左から3L、6L、9L
左から3L、6L、9L
上から9L、6L、3L

ノートPCケースを一体化

今回このローグスリングを試して紹介したいと思った一番のキッカケは、PCケースを差し込んで一体化できる珍しい仕組みを持っているからだった。

14インチ用のPCケースを一体化したところ

活用方法は人それぞれだが、筆者がイメージしたのは昨今、オフィス作業と在宅ワークを織り交ぜている人だ。「今日は会社にパソコンを置いて帰ろう」というシーンでは、その日の帰り道と次の出社時に、この小さなスリングバッグだけで行動できるのだ。単にバッグからパソコンを抜くだけではない、ひと味違った身軽さが楽しめる。

WANDRDの「ラップトップケース」には14インチ用と16インチ用があり、カラーは各2色(ブラック/ユマタン)。ちなみにPCケースを差し込めるのはローグスリングの6Lと9Lで、3Lは非対応。

14インチ用と16インチ用

バッグが小さいから電源ケーブル類は家と会社にそれぞれ用意するしかないな、と思ったが、ラップトップケースの外側に備わるループに、同じくWANDRDの「テクポーチ」を取り付けられるそうだ。

筆者は13インチのMacBook Air(M1,2020)を使っているため余裕のサイズ
外装はバッグと同じ生地で、ケース内部も高級な雰囲気

PCケースの一体化には、バッグに備わる固定ストラップを使う。この仕組みであれば、無理にWANDRD純正のPCケースでなくても良さそうだし、場合によってはこうした板状のモノを急遽運びたい時にも使えるかもしれない。あくまでカメラバッグだから、写真を撮りたい時になるべく両手を空けられる仕組みになっているのは嬉しいポイントだ。

バッグに備わる固定ストラップ(長さ調節可能)で、ケースの飛び出しを防ぐ

芸が細かいと思ったのは、PCケースを差し込む部分がバッグの底部を貫通しているところだ。つまり上部への飛び出しが少なく、重心的に安定するし、見た目の大げさ感も抑えられる。

底部のジッパーを開くと、PCケースを受け止めるポケットが出てくる
そのおかげもあり、PCケースを差し込んだままでもカメラ収納部へのアクセス性が担保される

また、PCケースを一体化してみると、このサイズのバッグには大げさだと思っていた手提げハンドルや、背面の分厚いクッションの意味も理解できた。作り手の知見はこうした部分に現れる。

PCケースを一体化した際の重量には、このぐらいの手提げハンドルが必要だと理解
背面のクッションも、カメラとノートPCの重さを受けるにはこれぐらいのボリュームが必要だと理解

そのほかの(隠れた)基本装備

小さなカメラバッグで散歩に出るのは気分がいい。しかし外に出れば、飲み物を買ったり、雨に降られたり、上着を脱ぎたくなったり、いろんなことがある。これが小さなカメラバッグに手を出しにくい理由でもある。カメラバッグはその名の通りカメラの出し入れは快適だが、仕切りがバッチリ用意されていたりして、急に増えた荷物には対応しづらい。

ローグスリングは見た目のイメージに反して、その不安を解消してくれる隠れた装備が満載だった。

例えば、底部に折りたたまれた筒状のポケットがある。左右の口部分がゴムで絞れるようになっていて、ミニ三脚を入れるだけでなく、ペットボトルや折りたたみ傘も保持できる。

底部にベルクロで畳まれたポケットが隠れている

もうひとつは、バッグの前面に備わる2本のベルトだ。小型の三脚も取り付けられるが、筆者は脱いだ上着を預けるのに重宝した。

どちらも普通の大きなバッグに比べてひと手間ではあるけれど、小さいバッグで歩く気持ちよさを最小限の不安で得られる点に価値を感じる人は、筆者含め決して少なくないと思っている。

外側のポケットには、キーチェーン用のループと、スマートフォン用と思しきスペースがあった。ここではiPhone 14 Proを入れてみた

カラバリで冒険したくなる一品

ここまで機能面にフォーカスしてきたが、同じぐらい注目したいのがバッグ本体のカラーだ。ローグスリングは全部で7色あり、どれも“いい色”をしている。お手頃価格のカメラバッグだと素材感が気になって実質ブラック一択みたいなことも多いが、これは大丈夫だ。お手頃バッグとの差額をファッションアイテムへの投資として納得できる人には特にオススメ。

左から時計回りにダロルイエロー、エーゲブルー、ウユニパープル

というか、このひとつのバッグに7色(発売時は2色。後から5色追加)も用意されていること自体が、このローグスリングの人気を物語っている。ちなみに内装カラーもそれぞれ外装色に合わせて揃える贅沢さである。

このローグスリング、機能面では現時点で世にあるカメラバッグの「いいとこ取り」と感じられる便利さがあり、かつルックスは「アウトドア系ブランドかな?」と思わせるような、日常生活に馴染む雰囲気を持っている。CP+2023の銀一ブースを取材した際、「(同じく銀一が扱う)Peak Designは相変わらず人気だけど、最近WANDRDの人気がスゴい」と担当者に聞いてはいたけれど、なるほど、この実力なら独自の人気を得るのも納得だ。

本誌:鈴木誠