デジカメドレスアップ主義
マウントアダプターごとカメラを覆う快挙
ソニーα7 II + Quinon 50mm F2
2016年10月18日 08:00
- ボディ:ソニー α7 II
- レンズ:シュタインハイル キノン 50mm F2(パクセッテ)
- マウントアダプター:テックアート LM-EA7
- マウントアダプター:ブリコラージュ工房ノクト Braun Paxette→Leica Lアダプター(ミラーレス仕様)
- マウントアダプター:レイクォール L-Mリング(半欠きタイプ/ノーマルタイプ)
- ケース:鳥井工房 α7 II エバレディケース typ2 LM-EA7(プエブロ/ペトローリオ)
- ストラップ:アダクワッタ コンバットハンドストラップ
カメラケースは当然ながら、カメラ本体を覆って保護するものだ。種類によってデザインのちがいこそあれ、カメラを守る器という位置付けは変わりない。そうしたカメラケースに新機軸が登場した。鳥井工房のα7 II エバレディケース typ2 LM-EA7がそれだ。この製品はLM-EA7を付けたα7 IIに特化している。要はマウントアダプター付きカメラの専用ケースだ。
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α7 II エバレディケース typ2 LM-EA7のマニアックぶりを理解するために、まずはLM-EA7についておさらいしておこう。LM-EA7はテックアート製のマウントアダプターで、ライカMレンズをAF動作させるマニア垂涎のアイテムだ。詳細は過去にレビューした「ライカMレンズがAFで使えるマウントアダプター」に譲るが、LM-EA7の付けっぱなしを前提したのがα7 II エバレディケース typ2 LM-EA7である。
ではなぜ、LM-EA7の付けっぱなしが前提になり得るのか。本製品の像面位相差AFに対応し、この手の製品としてはスピーディーなAF動作を実現する。ただし、そうは言っても純正レンズではないため、百発百中のような合焦は望めない。これはやむを得ないところだ。しかしながら、LM-EA7はAFとMFの切り替えがスピーディーに行える。α7 IIおよびα7RIIのAF/MFボタンを押すだけで切り替えが可能だ。AFが迷う場面では、すぐさまMFに切り替えて撮影すればよい。AFとMFを自在に使い分けできるため、LM-EA7は常用マウントアダプターとして信頼感がある。発売当初は即完売で入手が難しかった製品だが、9月以降、メーカーからの供給が安定し、購入しやすくなったという。購入を検討していた人には朗報である。
α7 II エバレディケース typ2 LM-EA7はマウントアダプター下部をレザーパーツで覆い、マウントアダプター付きボディを丸ごと包み込む。LM-EA7を付けた状態で一体感のあるスタイルを演出してくれる製品だ。レザーパーツは着脱式なので、取り外して通常のエバレディケースとしても使用できる。鳥井工房はトラディッショナルなケースだけでなく、こうした遊び心のある製品も時折リリースしてくれる。懐の深さを感じさせるメーカーだ。
ストラップはアダクワッタのコンバットハンドストラップを合わせた。同社はリアリティのあるビンテージ仕上げが得意で、このハンドストラップも十数年にわたって使い込まれたような風格だ。キャンバスとレザーの2タイプがあり、ともにビンテージテイストを全身から放っている。どちらのマテリアルも見た目よりもやわらかく、使い始めからしっくりと手になじむ。肌触りや使い心地にも気配りしたストラップである。
レンズはパクセッテのキノン50mm F2を選んだ。パクセッテは1950年代のドイツ製カメラで、一部のモデルはM39のスクリュー式マウントを採用していた。ブリコラージュ工房ノクトでこのパクセッテ用のマウントアダプターが発売されていたので、これにLMリングを付けてLM-EA7に取り付けている。マウントアダプター3段重ねというなかなかのツワモノっぷりだが、動作自体に支障はない。AFのパフォーマンス、合焦精度ともに良好だ。
パクセッテはシュタインハイル、シュテーブルといったややマイナーなレンズメーカーのレンズがそろっていて、B級オールドレンズグルメ的な楽しさがある。シュタインハイルのキノン50mm F2は、そうした中でも代表格と言える1本だ。中心部は開放からシャープでそつがなく、その一方で周辺の甘さと暴れ気味のボケが独特の雰囲気を醸す。味わいのある描写が好みなら、このレンズは試す価値があるだろう。