デジカメドレスアップ主義

ありそうでなかったα7 IIの後付けグリップ

α7 II + FL 58mm F1.2

  • ボディ:ソニー α7 II
  • レンズ:キヤノン FL 58mm F1.2
  • マウントアダプター:mukカメラサービス muk FD-NEX P
  • グリップ:SHOTEN HG-SA7
  • ストラップ:0291factory RING STRAP BLACK

α7 IIならびにα7R IIは、どちらも大きなグリップを備えたミラーレス機だ。そのためサードパーティー製の後付けグリップはあまり見かけない。そうした中、焦点工房からオリジナル商品としてα7 II/α7R II用の後付けグリップが登場した。今回はこのグリップを軸にしてドレスアップしていこう。

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焦点工房のHG-SA7は同社オリジナルの木製グリップだ。グリップ部は血檀という高級木材を使っている。血檀は耳慣れない木材だが、二胡という胡弓に似た中国の楽器でよく用いられる木材だ。赤みを帯びた色が特長で、使い込むと黒ずんでいく。HG-SA7の木製パーツはこの血檀をハンドメイドで加工している。かなり複雑な形状だが、指を添えると自然な握り心地でしっかりとホールドできる。大口径レンズや望遠レンズなど、ウエイトのあるレンズと組み合わせるとよいだろう。

α7 IIのグリップ下部を、HG-SA7の木製パーツが覆う。職人が手作りで製作している。
HG-SA7はプレートでカメラボディ底面に固定する。過度に自己主張しないアイテムだ。
HG-SA7は焦点工房にて税込8,800円。固定用のネジと六角レンチが付属している。
グリップ下部を木製パーツが覆う。隙間なくしっかりと覆っており、加工精度は上々だ。

プレート部分はアルカスイス互換になっている。同規格の雲台にすみやかな着脱が可能だ。また、バッテリーにイージーアクセスできる設計になっており、実用性への配慮がうかがえる。価格もこなれていて導入しやすい後付けグリップだ。

バッテリーに直接アクセスできる設計だ。三脚穴に固定用ネジで取り付ける。
液晶チルトは問題なく使用できる。背面に「SHOTEN」のロゴが入っている。

ストラップは0291ファクトリーのリングストラップブラックを合わせてみた。同ブランドのストラップは本連載でも何度か紹介しているが、実はブラックというカラーバリエーションがなかった。今回、リングストラップを筆頭に、ボトルダウン、エイトノットといった3シリーズにブラックバージョンが登場し、ブラックストラップというシリーズ名で展開している。同ブランドはカメラストラップにあえて金属パーツを多用するのが特長だが、このリングストラップブラックでもそのテイストは健在だ。真鍮パーツと赤錆加工した金具を用い、ヘビーデューティーかつビンテージな雰囲気を醸している。

0291ファクトリーのリングストラップブラックは税込7,700円。大きな真鍮製リングがポイントだ。
ボルトダウンブラックは税込6,200円。通常版は鉄製のボルトだが、ブラックは真鍮製ボルトをあしらっている。
エイトノットブラックは税込7,600円。一見するとゴツそうなロープだが、綿製なのでやわらかく肌触りもよい。

レンズはキヤノンのFL 58mm F1.2を選んだ。FLマウントはFDマウントと互換性があり、FLマウントレンズは原則的にFDマウントアダプターに装着可能だ。ただし、一部のFLマウントレンズはレンズ後端に段差があり、FDマウントアダプター内部のピン(絞り連動ピンを抑え込むためのピン)に干渉してしまう。そのためFLマウントレンズには装着不可のものがあり、オールドレンズの中では鬼門と目されていた。ここで用意したFL 58mm F1.2もレンズ後端に段差のあるタイプだ。オーソドックスなFDマウントアダプターには装着できない。

そこで今回は、mukカメラサービスのポーランド製FDマウントアダプターを用いた。このマウントアダプターは奥まった位置にピンがあり、段差ありのFLマウントレンズでも装着が可能だ。オールドレンズマニアからすると、段差ありFLマウントレンズを無改造で装着できることに、ちょっとした感動すらおぼえる。

mukカメラサービスのmuk FD-NEX Pは税込8,400円。ポーランド製で7075ジュラルミンの削り出しだ。
一部のFLマウントレンズはレンズ後端に段差があり、これがマウントアダプターのピンと干渉する。

ただし、このマウントアダプターならすべてのFLマウントレンズが使えるということではない。段差なしのFL 50mm F1.8を試したところ、レンズの絞り連動ピンとマウントアダプター側のピンが噛み合いがいまひとつで、装着できなかった(ピンを回避して取り付け、レンズ側をMモードにすれば実絞りで使用可能)。mukカメラサービスに問い合わせたところ、やはり付くレンズ付かないレンズがいろいろとあるようだ。このあたりがFLマウントレンズの鬼門たる由縁だろう。しかしながら、とりあえずは段差ありFLマウントレンズに活路があることをよろこびたい。

このマウントアダプターは内部のピンが深い位置にある。このため段差ありFLマウントレンズが装着できる。

α7 II / FL 58mm F1.2 / 1/500秒 / F1.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート
α7 II / FL 58mm F1.2 / 1/80秒 / F1.2 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート
α7 II / FL 58mm F1.2 / 1/100秒 / F1.2 / ±0EV / ISO100 / WB:オート
α7 II / FL 58mm F1.2 / 1/60秒 / F2.8 / -0.7EV / ISO160 / WB:オート
α7 II / FL 58mm F1.2 / 1/640秒 / F2 / +0.7EV / ISO100 / WB:オート
α7 II / FL 58mm F1.2 / 1/320秒 / F1.2 / -0.7EV / ISO100 / WB:オート

澤村徹

(さわむらてつ)1968年生まれ。法政大学経済学部卒業。ライター、写真家。デジカメドレスアップ、オールドレンズ撮影など、こだわり派向けのカメラホビーを提唱する。2008年より写真家活動を開始し、デジタル赤外線撮影による作品を発表。玄光社「オールドレンズ・ライフ」シリーズをはじめ、オールドレンズ関連書籍を多数執筆。http://metalmickey.jp