デジカメドレスアップ主義
現行品だけで作るクラシックスタイル
FUJIFILM X-Pro2 + Iberit 50mm F2.4
2016年9月13日 07:00
- ボディ:富士フイルム X-Pro2
- レンズ:ハンデビジョン イベリット50mm F2.4(ライカMマウント)
- マウントアダプター:富士フイルム Mマウントアダプター
- ケース:鳥井工房 X-Pro2 オールドスタイルケース(サドルプルアップ/ブラック)
- ストラップ:ルミエール 01 RED
- サムグリップ:レンズメイト FUJIFILM X-Pro2/X-Pro1専用サムレスト(ブラック)
富士フイルムX-Pro2は、ミラーレス機の中でひと際クラシカルなデザインだ。本機にオールドレンズや古い外付けファインダーを付けると、クラシックカメラ然とすることは想像に難くない。そこで今回は、あえて縛りを設けることにした。現行製品のみでX-Pro2をクラシカルに飾る。これがミッションだ。
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今回のドレスアップでキーアイテムとなるが、鳥井工房のX-Pro2オールドスタイルケースだ。本ケースは両サイドに直接ストラップを装着できるのが特長である。ストラップ装着用のレザーパーツがギボシで固定されており、どことなくクラシカルな雰囲気を醸している。ケースとストラップを一緒に着脱できるのが実用面でのメリットだ。黒レザーに白(ナチュラル)ステッチという組み合わせも新鮮な見え方である。
三脚穴にネジ止めして本ケースを固定するが、このネジ用の窪みが従来品よりも大きめに設計されている。これは市販のハンドル付きネジに対応するためだ。SUNWAYFOTO ステンレススティール製プレート用T型ネジ、NEEWER 1/4"インチネジ 、SMALLRIG クイックリリースカメラ固定1/4 "ネジなど、ハンドルを含めた直径が18mmまでのものに対応する。コインを使わずに締めたり緩めたりできるのが、ハンドル付きネジの利点だ。
なお、本ケースはテープ式ストラップを推奨しているが、ここではあえてケース付属の二重リングを外し、別途二重リング式のストラップを取り付けた。レザーパーツに二重リングを着脱する作業は、思いの外難易度が高かったことをここに付記しておく。無理をせずにテープ式ストラップにしておいた方が無難だろう。
ストラップはルミエールの限定品01 REDを装着した。昨今、クライミングロープを用いたカメラストラップが流行っているが、本製品もそうした系譜のひとつである。厳密にはクライミングロープではなく、登山の補助ロープだという。実のところルミエールは丸紐ストラップを15年ほど前から開発販売しており、丸紐ストラップの先駆者的な位置付けだ。
そして同社のストラップは、既存の丸紐ストラップと決定的なちがいがある。それは極力伸縮性の少ない丸紐を選んでいる点だ。例えば、いわゆるクライミングロープは垂直落下の衝撃を想定し、伸縮性を持たせている。一方、補助ロープはスタティックなものが主流だという。ひと口に丸紐といっても、用途に応じて性格が異なるのだ。伸縮性のある丸紐をカメラストラップにすると、丸紐が伸びた際に肩や首に食い込んでしまう。ルミエールではこうした食い込みを避けるため、あえて伸縮性の少ない丸紐を選んでカメラストラップに仕上げている。このあたりの考え方は、クルマやバイクのサスペンションの好みに似ているだろう。レースは硬めのサスが基本だし、公道ではある程度柔らかさがほしい。ルミエールの丸紐ストラップは、さながらレーサー仕様といったところだ。
クラシカルなスタイルを作るとき、ホットシューに何か付けたくなるのがマニア魂だ。今回はレンズメイトのX-Pro2/X-Pro1専用サムレストを装着した。X-Pro2は背面から軍艦部にかけてたくさんのボタンやダイヤルがあり、サムグリップを付けると操作性の妨げになる。本製品はヒンジ開閉機構を採用し、グリップ部分を手前に起こしてボタンやダイヤルを快適に操作できる。スタイルのみならず、実用性に長けた製品だ。
レンズはハンデビジョンのイベリット50mm F2.4を合わせてみた。イベリットは開放F2.4で24/35/50/75/90mmをラインアップするハンデビジョンの新シリーズだ。先んじて50mm F2.4と75mm F2.4が発売になった。マウントはソニーEマウント、富士フイルムXマウント、ライカMマウント(距離計連動)を用意し、ここでは富士フイルム純正のMマウントアダプターを介してライカMマウントのイベリット50mm F2.4を装着した。
今回このレンズを選んだのは、クラシックをテーマにしたドレスアップと相性の良いルックスだからだ。鏡胴の形状と目盛はどことなくライカレンズを彷彿とさせる。これだけでも十分にクラシックスタイルに貢献してくれるが、純正フードを付けるとさらに風格が増す。イベリットの純正フードは花型で、かおかつ金属製というめずらしいスタイルなのだ。ライカレンズにはフード込みでデザイン的に完成するものがいくつかあるが、イベリット50mm F2.4もフード込みで佇まいを味わいたいレンズのひとつである。
最後にイベリット50mmF2.4の描写について触れておこう。スペックからもわかるように、ボケで魅了するというよりも、被写体を的確に捉えることが得意なレンズだ。開放から描写が安定し、周辺部分でもしっかりと解像する。逆光でいくぶんフレアが感じられるものの、スナップシューターとしてカメラに付けっぱなしにしておける安心感がある。常用レンズの候補として、検討してみてはどうだろう。