私の購入記
キヤノン「EOS R5 Mark II」を買って思うこと——柄木孝志さんの場合
2024年10月9日 07:00
このコーナーでは、話題の新製品を実際に購入した方に、そのインプレッションをつづっていただいています。撮影機材の購入の手助けとなりましたら幸いです。
今回はキヤノン「EOS R5 Mark II」を購入した、柄木孝志さんに寄稿してもらいました。(編集部)
株式会社LANDSCAPE DESIGN代表。写真家としてJR西日本の広告撮影などを担う一方、国や自治体と連携し、風景を資源化(デザイン)するというこれまでにない発想で写真を通じた地域活性化業務にも注力
「EOS R5」発表から4年。ついに待望の「EOS R5 Mark II」が発売となった。一眼レフ時代から歴代の「5」を使い続けてきた私にとって、それは新たな相棒を迎える瞬間でもあり、その進化への期待が大いに膨らむ時間でもある。
手に取ってみた最初の印象は、個人的には手にしっかりとなじむようになったグリップの深さ、またカメラの背面側からみて、電源スイッチが右側に移行することで、基本のボタン操作が片手で行えるようになるなど、まさに「かゆいところに手が届く」という感覚。電源スイッチには、LOCK機能も追加され、撮影の状況次第では、これも便利に思える部分でもあった。
普段、風景写真家として活動するため、今回個人的に重要視しているポイントの一つが画質であり、高感度性能や解像感などはやはり気になるところ。
その上で、特に注目したいのが、キヤノン独自のディープラーニング技術の向上により、さらに画質がよくなった点。逆光撮影時は若干の歪みが気になっていた細かいラインも、描写が非常に繊細でくっきり仕上がっているように感じた。
※作例はいずれも長辺1,920ピクセルにリサイズしています。
ここでぜひカメラ内で行える2つの特筆すべき機能を紹介しておきたい。
1つ目は、カメラ内アップスケーリング。
撮影後、縦横の画素数をそれぞれ2倍、全画素数を4倍に変換し、約1億7,900万画素まで画像の拡大が可能となった。IBISハイレゾ撮影とは異なり、1枚の画像で仕上げるため、ディテールを損なうことなく、自然で高解像度な画像を生成できる点が素晴らしく、普段広告案件などで大判のポスターや看板の撮影を手掛けることも多いため、この機能は私的には本当に有難い。写真展での大判出力にも重宝しそう。ただ、現時点では保存形式がJPEGのみ。若干の補正や幅広く活用する意味では、ぜひRAW保存できるようにしてもらえるとより実用性が高まりそうだ。
そして2つ目が、ニューラルネットワークノイズ低減。
RAW現像時、ディープラーニング技術を用いて、よりノイズを抑えた画像をカメラ内で生成できるという機能で、キヤノン製品の中でもピカイチの精度を誇る「EOS R5 Mark II」従来の高感度性能との相乗効果により、これまでISO 6400以上での撮影に多少なりとも抵抗があったものの、ISO 12800でも問題なく撮影できる画質に進化。まだそこまでは活用しきれていないが、これまではあきらめていた暗所や星景撮影などでその実力を発揮してくれるはずだ。
また私的に、風景だけでなく、仕事柄「鉄道」を撮影することも多く、その点ではAF機能の目覚ましい進化にも注目。
被写体検出のレスポンスが速い上に正確であり、しかも「トラッキング」が極めて優秀。サーボAF時、この設定にしておくだけで、全域トラッキングで常に列車を追従してくれるため、距離感の違う位置での連続撮影にも対応してくれる点は大いに感動させられた。
しかもデフォルトである電子シャッター時は約30コマ/秒で撮影可能。動体撮影において抜群の威力を発揮してくれる。
あわせて、今回の1番の注目は視線入力の導入。
あらかじめキャリブレーションで設定しておくと、視線の先に即座にAFエリア/フレームが移動。風景撮影においても、どの位置にピントを合わせるかをその時の判断で即座に変えることもあるので、こうした進化は撮影者にとって非常に有難い機能でもある。
元々、評価の高いR5の画質に、新技術が加わることでさらに作品力が向上。
高画質と高感度が堅実に進化を遂げ、そして革命的なAF性能が合わさった「EOS R5 Mark II」は、風景写真の表現域をさらに広げる革命的なカメラと言っていいだろう。