私はこれを買いました!

スマホ連携で抜群の操作性! “ソフトウェアの力”を感じた全天周カメラ

Insta360 ONE X2(飯田ともき)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2022年に購入したアイテムをひとつだけ紹介していただきました。(編集部)

感じたのは“ソフトウェアの力”

比較検討

複数メーカーより様々な全天周カメラが販売されている中でX2を選んだ理由は価格と性能のバランスです。今ではYouTuberが使用感を配信しており、私はそこから真実を読解する力もあるので参考にしました。

注目したのは画像処理の傾向と、音の定位です。暗ければ目一杯に明るくするメーカーと、暗いのは暗いままにするメーカーがあり、それは好みです。またマイクが複数内蔵されることで、動画の中で音の発生源が移動すればそれにあわせて定位感も移動するような仕組みになっていると臨場感に大きく関わります。太陽を入れてフレアが出るか、画像のつなぎ目はどうか、などもチェックしました。

解像力や色についてはまだ一歩物足りない感じですが、これはお金を積めば解決します。Insta360 ONE RS 1-Inch 360がワンランク上でまだ手が届く製品でしょう。ですが解像において私が満足できるレベルを求めるなら、手元のデジカメの出番です。ここは割り切って、動画の性能が良く、画質も好みで、持ちやすそうな形をしているONE X2に決定しました。

Bluetooth接続が簡単

満充電なら5.3K 30fpsで90分の撮影ができます。熱を持ちますがストップしたことはありません。最初、家に転がっていたmicroSDを使いましたが速度が足りずにストップしたことはあります。A1と書いているものを買いました。なおNintendo SwitchにはA2のカードを入れています。

カメラ本体はポケットサイズで、ボタンは電源と撮影開始の2つだけ。中央のディスプレイがタッチパネルになっており設定などはここで行います。パネルの反応はラグがありますが、一番重要な撮影開始が物理ボタンなので現場で困ることはないでしょう。いわゆるシャッタータイムラグは大きいのでそこだけ気をつければ大丈夫です。基本的に撮りっぱなしになるので問題はないはずです。

特筆すべきはスマホ連携が極めてイージーということです。これまでデジカメのスマホ連携がこんなにスイスイできた記憶はありませんでした。ONE X2は電源を入れ、アプリを起動すれば探しに行ってくれてすぐ見つかる早さです。スマホ連携であれば本体以上に細かい設定もできるので、むしろこのスタイルが本来の姿かも知れません。

再生もWi-Fiで飛ばしているはずなのに待ち時間はほぼありません。とにかく接続や操作、読み込みにストレスがないことに、そしてストレスがないことがこんなに使いやすさにつながるのかと感動を覚えました。

スマホでできることは書ききれない!

実はここから先が真骨頂です。若い女性には説明不要ですが、アプリでは全天周から動画を切り出してとても多くの素材の中から音楽やスーパーやスタンプを載せてショートムービーを作ることができます。このUIが極めてよく出来ており、撮影時と同様にストレスフリーでもちろん即座にSNSにアップできます。動画文化をぐっと身近にしてくれるものだと感じました。

これを体験したあと、一体何人が、撮影の後日にデジタルカメラからSDカードを抜いてPCに接続しフォルダを開いてファイルを選択しPCにコピーしてソフトウェアを立ち上げ動画を編集し……の一連の手間暇をかけ数日後にSNSにアップすることに耐えられるだろうか、と想像し、クオリティとは何のことをいうのか、悩みました。ONE X2の本体もよく出来ていますが、アプリの出来の良さは店頭ではわからないので、思わぬ喜びです。

全天周で撮影する意味

カメラを使う時は被写体に向いてフレーミングとピントと影を確認し……ということをしますが、全天周カメラでは何もしません。ただそこに置いておくだけです。これによって撮影係である自分も写る……というのは分かっていましたが、実は自分も気づかなかったものが撮れているという利点が大きいのです。

全天周カメラを回しながら自分はデジタルカメラで撮影するのですが、気づいていない場所で面白いものが撮れていたりします。仲間でBBQをしたときにデジカメでは肉ばっかり撮っていましたが、着火に苦労したり、ドリンクを運んだり、片付けに参加せず飲んでばかりいたり(笑)、というのをあとで発見できました。これは面白いな、と思いいろいろ試しましたが、一人で漫画を描いている動画を全天周で撮っても全く面白くありませんでした。友達が多いひとにおすすめするカメラです。

ソフトウェアの力、ハードウェアの夢

ONE X2に感じたのはひたすらソフトウェアの「力」です。操作の快適性、万能の編集、ストレスフリーな接続。思わず舐めたくなります。一方のデジタルカメラにはフルサイズセンサー、高速で静かなモーター、大きくて重いレンズがあり、ハードウェアの「夢」がつまっています。

「力」は見れば分かるのでその魅力は伝わりやすく、高く評価されるのも頷けます。「夢」は、人によって見る夢は違うので、説明しても分かってもらえないかも知れません。商売ですから空虚な言葉ではなく正しい力で魅力を伝えて、商品を売っていかないといけないんですが、逆風のカメラ業界でイノベーションを起こすのは難しいので、どうすればいいのかな……と考えながらウイスキーを傾けるのでした。

360度からの切り出しです。公園のジャングルジムの中から撮れば面白いかなと思いましたが周りのお宅が写りすぎてるので下向きに切り出しました。足を残して自撮り棒が消えています

近況報告

髪型をタコボーイにしようと思って早1年。マイダスもかっこいいかなと心変わり……。

2010年に漫画サークル「ていこくらんち」をはじめる。2015年に出した同人誌「カメラバカにつける薬」が、あれやこれやでデジカメ Watchで連載させていただくまでになりました。カメラだけじゃなく、その向こう側にいる人たちの想いを伝えていければいいなと思っています。