私はこれを買いました!

思わぬ安値に衝動買い。スマホ連携でしっかり遊び尽くす

KODAKインスタントカメラプリンターC210(豊田堅二)

年末恒例のお買い物企画として、写真家・ライターの皆さんに、2020年に購入したカメラ関連製品をひとつだけ挙げていただきました。(編集部)

2019年の春から夏にかけて、カラープリンターを内蔵したデジタルカメラが相次いで4機種発売された。キヤノンからはiNSPiC ZV-123とCV-123、富士フイルムからinstax mini LiPlay、コダックからはインスタントカメラプリンターC210だ。このうちコダックのものは昇華熱転写プリンターを内蔵しているということで興味はあったが、発売当初はいまいち食指が動かなかった。それが今年の夏になって、某家電量販店にびっくりするほどの安値で並んでいたため、即衝動買いした次第である。

これらのデジタルインスタントカメラはスペックが三社三様で、特にプリント方式の違いが大きいが、他の機能も微妙に違っている。入手したコダックのもので見れば、キヤノンにはない背面モニターが設けられている点はよいが、撮影画像をmicroSDなどの外部メディアに記録することはできない。撮影された画像は一時的にカメラ内部のメモリーに記録され、背面モニターに表示される。そこでプリントのボタンを押せば、ウィーンと音がしてプリントが始まる。昇華型なので用紙が出たり入ったりし、最終的にはラミネートされて85×54mmのプリントが排出される。

プリント可能なのは直前に撮影した画像のみ。ただし枚数を指定して複数枚のプリントは可能だ。そして電源をオフにすると、メモリー内に記憶された画像も消えてしまう。通常のインスタントカメラはその場で1枚プリントするだけなので、それを考えれば納得できる仕様だが、デジタルカメラなのでやはり画像をデータとして残したい。

これについては裏技(?)を発見した。スマートフォンとBluetoothでペアリングすることによりリモートでシャッターを切ることが可能だが、その際にスマホ側のアプリでシャッターを切った後、ダウンロードのボタンを押せば、撮影された画像をスマホに保存することができるのだ。スマホ連携といっても、リモートで可能なのはシャッターレリーズのみで、リモートライブビューはできない仕様なのが惜しまれる。

プリント結果は以下の通り。ハイライトのとびや色飽和があり、ごく初期のデジタルカメラを彷彿とさせるような画質だ。前述のようにスマホと連携した場合、スマホで撮影した画像をカメラに送ってプリントすることができるが、それを利用してデジタル一眼レフで撮影した画像をスマホに転送し、このカメラに再転送してプリントしてみると、けっこう高画質のプリントが得られた。

得られたプリントをミラーレスカメラで複写したもの。プリントの色再現は昇華型だけあって、キヤノンのZINK方式より格段によいが、ハイライトのとびがあったり、ポインセチアの花弁にみるように色飽和がある。
参考:スマホに転送したC210の撮影画像

近況報告

長年やってきた日本大学芸術学部写真学科での非常勤講師が、今年度で定年退職となる。本来の任期は来年3月までだが、コロナの関係で後期の授業を前期に前倒ししたためすでに授業はなく、なんとなく手持ち無沙汰の状況。毎日乗っている体重計によると体内年齢58歳ということなので、まだまだあちらこちらで暴れてみたい。

豊田堅二

(とよだけんじ)元カメラメーカー勤務。現在は日本大学写真学科で教鞭をとる傍ら、カメラ雑誌などにカメラのメカニズムに関する記事を書いている。著書に「とよけん先生のカメラメカニズム講座」(日本カメラ社)、「カメラの雑学図鑑」(日本実業出版社)など。