写真展

− 古写真に見る明治の東京 − 「本所区・深川区編」

(JCIIフォトサロン)

「富士見の渡しより厩橋の眺め」鶏卵紙52×83mm

2009年から開催し、好評をいただいた「皇城(江戸城)・麹町区編」、「神田区・日本橋区編」、「京橋区編」、「芝区・麻布区・赤坂区編」、「浅草区編」、「牛込区・小石川区・本郷区編」、「下谷区編」に続く第8弾で、当館所蔵の「大日本東京寫眞名所一覧表」と題された写真帖と、明治14年(1881)にイタリアに持ち帰られた写真帖「大日本全国名所一覧」からピックアップした写真に加え、慶応年間から明治初年頃に撮影された写真を合わせた、約80点を展示いたします。

明治11年(1878)に施行された郡区町村1編制法による15区6郡制で制定された「本所区」は、昭和22年(1947)に隣接する「向島区」と合併して現在の「墨田区」となり、「深川区」は「城東区」と合併して現在の「江東区」となりました。「本所区」の辺りはもともと低湿地帯でしたが、明暦の大火(1657)後に江戸市街地拡張の一環として開発が進み、万治2年(1659)には両国橋が架けられ、埋め立てが進められていきました。「深川区」もまた、明暦元年(1655)から江戸のごみを埋め立てて造られた人口の土地です。そしてこの2区には、今も藤の季節に賑わう亀戸神社、深川八幡祭りで有名な富岡八幡宮、成田山新勝寺東京別院の深川不動堂など多くの神社や寺があり、当時から現在まで人々に親しまれている町です。

江戸時代の歌舞伎の舞台としても使われた隅田川の百本杭、その少し上流の御蔵橋付近にあった富士見の渡し、その近くにあった幕府の御竹蔵跡地の陸軍省用地、広重の浮世絵にも描かれ、役者や文化人、そして政財界の人々が足繁く通った高級料亭である柳島の橋本楼と両国の中村楼、現在の新大橋一丁目にあった幕府の艦船を保管していた御船蔵、両国回向院の本殿を背にして露天に安置されている本尊の阿弥陀如来像(現在は本堂の中)、まだ越中島と石川島しかなかった頃の洲崎海岸の写真など、今はもう見ることのできない貴重な風景をご覧いただきます。

明治維新前から明治20年(1887)までに撮影された、江戸から東京へと変貌をしていく街並みで、つかの間の歴史散歩をお楽しみください。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:JCIIフォトサロン
  • ・住所:東京都千代田区一番町25番地JCIIビル
  • ・会期:2015年2月3日火曜日〜2015年3月1日日曜日
  • ・時間:10時〜17時
  • ・休館:月曜日(祝日は開館)
  • ・入場:無料

関連イベント

会期中、古写真収集家の石黒敬章氏による講演会「“古写真に見る明治の東京”を語る Part8」が開催される。

日時は2月21日土曜日14時〜15時30分(開場13時30分)。場所は展示会場と同じJCIIビルの6階会議場。

申込はJCIIフォトサロンにて直接受付、または電話03-3261-0300にて。定員は100名。受講料は300円。

(本誌:折本幸治)