写真展告知
田代一倫写真展:2011-2020 三陸、福島/東京
コミュニケーションギャラリーふげん社(東京・下目黒)3月4日~
2021年3月4日 09:00
写真家・田代一倫さんの写真展「2011-2020 三陸、福島/東京」がコミュニケーションギャラリーふげん社(東京都目黒区)にて開催される。会期は3月4日から3月28日。
東日本大震災後の2011年春から2013年にかけて被災地とその周辺を撮影した「はまゆりの頃に」と、2014年から2020年の東京オリンピック開会式予定日の前日までに撮影された「『東京』2014-2020」の、2つのシリーズの作品が展示される。
ギャラリートークも3月13日に開催される予定。登壇者は田代さんと写真家の金川慎吾さん。事前予約制で参加費は1,000円。会場観覧の他に、オンラインによるライブ配信(参加費1,000円)も用意している。
本展では、田代一倫の2つの肖像写真シリーズを展示いたします。一つは、東日本大震災後の2011年春から2013年春にかけて被災地とその周辺を撮影し写真集にまとめた「はまゆりの頃に」のシリーズ。二つ目は、2014年から2020年の東京オリンピック開会式予定日の前日まで撮影された「『東京』2014-2020」のシリーズです。
田代の肖像写真は、被写体となる人物に声をかけて、カメラを真っ直ぐに見つめてもらう方法で撮影されます。全身を画角の中央に入れつつ、さらにその人が立つ場所の光景までを背後に収めて撮影されているのが特徴です。
「はまゆりの頃に」で、田代は、震災の一ヶ月後から約二年間で1200人にのぼる人々を撮影しました。被災地に赴くきっかけを「インタビューに答えていない人の方の生活が気になったから」と作家が語る通り、肖像写真と添えられた短いコメントからは、メディアに「被災者」として切り取られる前の人々の日常を垣間見ることができます。外からやってきた「異物」であり「よそ者」である田代が撮影する時に生まれる人々との交流は、あらゆる境界線をゆるめ両者の間に柔らかい風をもたらします。
一方で、2014年ごろから、生活のために始めた警備のアルバイトの同僚を撮り始めたことをきっかけに、東京の肖像写真シリーズが始まります。都内の人々の歩行に「生活」のための計算された無駄の無さを感じて馴染めなかったという田代は、撮影行為の一瞬だけは、撮影者と被写体がそれぞれの「生活」を中断し、他者を認識して「見る/見られる」の関係になり、両者の関係は等しくなるのではないか、と言います。また、そうして人に見返されることに喜びを感じていたとも語っています。
コロナウィルス後の世界では、街中でマスクに覆われていない他者の顔を見つめる・見つめられる経験はほぼ無くなってしまいました。田代一倫の肖像写真は、今、新たな意味合いを帯びてきています。
東日本大震災から10年目、そしてウィズコロナ2年目を迎えようとする2021年3月に、肖像写真に映るさまざまな人々の「生活」に思いを馳せていただければと思います。また、同時に、多くの肖像に見つめ返されながら、自分自身も一度立ち止まって、自らの「生活」を見つめ直す契機となりましたら幸いです。
会場
コミュニケーションギャラリー ふげん社
東京都目黒区下目黒5-3-12
開催期間
2021年3月4日(木)~3月28日(日)
開催時間
火曜日~金曜日:12時00分~19時00分
土曜日・日曜日:12時00分~18時00分
休廊
月曜日
ギャラリートーク
開催日時:3月13日(土)14時00分~
登壇者:田代一倫氏、金川晋吾氏
参加費:1,000円(事前予約制。オンラインによるライブ配信も実施)
作者プロフィール
田代一倫
1980年福岡県生まれ。九州産業大学卒業。2006年より、福岡市にて、写真家自身で運営するギャラリー〈アジア フォトグラファーズ ギャラリー〉の設立、運営に参加。2009年より〈photographers’ gallery〉の運営に参加。2013年に写真集「はまゆりの頃に 三陸、福島 2011~2013年」(里山社)、2017年に写真集「ウルルンド」(KULA)を出版。さがみはら写真新人奨励賞を受賞。
個展に「2011-2020 三陸、福島/東京/新潟」(砂丘館/新潟、2020年)など。2014年「これからの写真」(愛知県美術館)、2016年「歴史する! Doing history!」(福岡市美術館)、2017年「東京・TOKYO 日本の新進作家vol.13」(東京都写真美術館)、2018年「近くへの遠回り」(ウィフレッド・ラム現代芸術センター、キューバ)に出品。
ゲストプロフィール(ギャラリートーク)
金川晋吾
1981年京都府生まれ。写真家。神戸大学卒業。東京藝術大学大学院博士後期課程修了。三木淳賞、さがみはら写真新人奨励賞受賞。2016年青幻舎より「father」刊行。近年の主な展覧会、2019年「同じ別の生き物」アンスティチュ・フランセ、2018年「長い間」横浜市民ギャラリーあざみ野、など。自分が書いた日記を声に出して読む「日記を読む会」を不定期で開催している。