写真展告知

清水哲朗写真展:トウキョウカラス

(JCIIフォトサロン)

1998年 渋谷
地域性があるのだろうか。銀座のカラスは美食家で気品があり人との距離を取った。新宿は荒々しく近づいても逃げなかった。渋谷はジャンクフード好きで愛嬌があった。

清水哲朗さんは、日本写真芸術専門学校を卒業後、写真家・竹内敏信氏のアシスタントを経て23歳でフリーランスの写真家となりました。約20年間モンゴルの風景や人々を追い続けて写真集や個展などにまとめるほか、カメラ雑誌での執筆、大学講師、写真展の審査など、その活躍が注目されている作家です。

本展では、1995年から約8年間、東京の渋谷などでハシブトガラスの生態を通して街の様子をとらえたドキュメンタリー作品66点(すべてモノクロ)を展示いたします。

昨今の渋谷は駅の大改修やビルの再建など100年に一度といわれる大規模な再開発が行われていますが、本作品が撮影された頃はバブル崩壊後の変化の時期でした。都内に3万羽ほど生息するカラスは、ゴミを荒らし、時には人を襲うと問題視されて、2000年には環境庁(当時)が「都市部におけるカラス被害の防止対策推進事業」を、2001年には石原慎太郎都知事(当時)の下で巣や卵、雛を除去する「カラス緊急捕獲モデル事業」が始められました。

そんな中、カラスに興味をもっていた清水さんは、早朝の渋谷での撮影を日課にしました。力強く生命力にあふれたカラスを追ってみると、家族や仲間を大切にし、食後はのんびりと遊びに興じる、いわば“理想の生きかた”を体現しているように思えたのです。カラスを追って新宿や銀座なども巡るうちに、野良猫やネズミにも目を向けるようになり、やがて、街場でたくましく生きる動物たちによる現代の東京像が立ち上がってきました。

 世界が刻々と変化する現在、東京のコンクリートジャングルに順応した小動物のドキュメンタリーは、私たち人間にもどのように生きるかを考えさせるものといえましょう。

写真展情報

1996年2月26日 銀座
学生時代は椎名誠さんの著書を貪るように読んだ。『銀座のカラス』その響きに憧れ、 撮影初期は銀座に足を運ぶこともあった。

会場

JCIIフォトサロン
東京都千代田区一番町25 JCIIビル 地下1階

開催期間

2020年9月1日(火)~9月27日(日)

開催時間

10時00分~17時00分

休廊

毎週月曜日(祝・祭日の場合は開館)

作者プロフィール

1975年、横浜市生まれ。日本写真芸術専門学校卒業後、写真家・竹内敏信の助手を経て 23歳でフリーランスとなる。1997年より現在まで、モンゴルの自然風景や社会を独自の視点で撮り続けて、写真集や個展などで発表。2007年、NHK教育テレビ「趣味悠々」デジタル一眼レフ風景撮影術入門で講師を務める。2018年より現在まで、日本大学藝術学部写真学科非常勤講師。

2005年に『路上少年』で第1回名取洋之助写真賞、2014年に日本写真協会賞新人賞、2016年に『New Type』(日本カメラ社、2016年)でさがみはら写真新人奨励賞を受賞。

著書・作品集は、『モンゴリアンチョップ』(エヌエヌエー、2008年)、『CHANGE』(Munkhin Useg Group Co,Ltd. [Ulaanbaatar Mongolia]、2012年)、『モンゴル(世界のともだち)』(偕成社 、2014年)、フォトエッセー『うまたび―モンゴルを20年間取材した写真家の記録―』(玄光社、2017年)ほか多数。