イベントレポート

【女性限定】見て・乗って・撮って楽しむ!大井川鐵道 撮影ツアー

鉄道会社が撮影ポイントを紹介 SL & きかんしゃトーマス号を撮る!

10月20日、大井川鐵道株式会社主催の「女性限定!大井川鐵道 撮影ツアー」が開催されました。

本イベントは、これから鉄道写真を始めたい女性の方や、鉄道写真初心者の方向け企画されたもの。12名の鉄道好き、カメラ好きの女性が集まり、自然豊かな大井川流域を走るレトロなSLや、子どもに人気のきかんしゃトーマス号を撮影して、大いに盛り上がりました。

大井川鐵道って?

大井川鐵道は静岡駅からJR東海道本線で30分ほどの金谷駅から千頭(せんず)駅までの大井川本線と、千頭駅から井川駅までの井川線(南アルプスあぷとライン)を持つ鉄道路線です。

日本で唯一、年間300日以上SLを営業運転している鉄道会社で、SLの年間走行日数はもちろん、総走行kmや現役運行台数も日本一とのこと!(現役運行台数はJR東日本と同数) また、子どもに人気のきかんしゃトーマス号・ジェームス号が実際に走行することでも有名です。

今回の女性に限定した撮影ツアーは大井川鐵道にとって初めての試みだそうです。イベントを企画した大井川鐵道 企画次長の伊藤和則さんにお話を伺いました。

「私も鉄道が好きで、鉄道写真もよく撮っています。昔と比べると女性の方もカメラを持って鉄道を撮る方が増えたと思います。とはいえ、女性の方は鉄道に乗って景色を楽しんだり、駅弁を食べたりする楽しみ方がほとんどのように感じます。鉄道には写真を撮るという楽しみ方をあり、それを知っていただきたく企画しました。きれいな景色のなかを走る鉄道はすごく絵になりますよ」

「私も鉄道写真を撮りますが、カメラを持ったたくさんの人たちの中に入っていくのは勇気がいります。ましてや女性の方がひとりで男の人たちの群衆の中に入っていくのは、とても勇気がいることだと思います。もっと女性の方に鉄道の写真を撮っていただきたいという思いから、今回は女性限定でツアーを組みました。参加者は全員女性ですし、女性スタッフも同行します。今日一日、楽しんでいただけたらと思います」

間近で蒸気を噴き出す姿は迫力いっぱい

新金谷車両整備工場の見学、整備工場を出発するトーマス号の撮影からツアーがスタートです。

新金谷車両整備工場では、SLが走るための釜焚きの様子や、乗務員の出発前点検の作業などの日常業務の一部を見ることができます。

(撮影:acoさん)
(撮影:のっちさん)

車両整備工場では、実際に走る車両の様子が間近で見られます。

イベント当日は、大井川鐵道の初の試みとなる、大井川鐵道全体がハロウィン仕様になっていました(9月〜10月28日まで)。きかんしゃトーマス号車両、整備工場、千頭駅トーマスフェア会場など、いたるところにカボチャや蜘蛛の巣のモチーフが飾られています。参加者からも蜘蛛の巣柄がついた車両に「可愛い!!」という声が上がっていました。

ハロウィン仕様のトーマス号。

ハロウィン仕様のバスのバーティー。線路の上を走行するトーマス号とタイミングがあえば併走します。

千頭駅の撮影スポットでも、トップハム・ハット卿と一緒にカボチャがお出迎え。

(撮影:hanachaitukuさん)

新金谷車両整備工場では、出発前のトーマス号とジェームス号の真横で記念撮影できるスポットもあり、たくさんの親子が記念撮影を楽しんでいました。

時間になるとトーマス号が整備工場から出発します。煙突から蒸気を吐き出しながらすぐ真横を走る姿は迫力満点です。

伊藤さんに列車を撮るコツを教えていただきました。

「整備工場を出るときは列車の速度が速くないのでシャッター速度は1/250秒程度で大丈夫です。走行中の列車を撮るなら1/500秒以上が安心ですね」

(撮影:kotoriさん)
(撮影:のっちさん)
(撮影:hanachaituku4さん)
(撮影:acoさん)

フォトジェニックな駅事務室でお昼ごはん

新金谷車両工場の見学のあと、普通列車に乗って田野口駅に向かいます。大井川鐵道はSL以外の列車もレトロで貴重なものばかり。私たちが乗った7200系の電車は、1968年製造のもの。東急電鉄で走り、青森県の十和田観光電鉄に移ったあと、2015年から大井川鐵道で走っているそうです。

大井川鐵道はその名の通り、大井川に沿って走る路線です。自然豊かな川沿いの景色や、美しく刈りそろえられた茶畑の景色を楽しむことができ、参加者たちは車窓からカメラを向けて撮影を楽しんでしました。

参加者は、地元の方もいれば、奈良や埼玉、東京などから来ている方もいました。前日の前のりで来ている方も多く、今回のツアーでは回らない井川線のアプト式列車に乗った方もいました。

参加しようと思ったきっかけを聞いみました。

「日頃から撮鉄していて、前から乗ってみたかった大井川鐵道で女性限定のツアーだったので」

「女性限定の撮影会だったから。鉄道に詳しくなくても参加OKということだったので参加しました」

「鉄道は昔から好きで乗る専門でしたが、最近写真でも撮り始めたから。SLに乗りたかったからというのもあります」

「大井川鐵道が好きで、何度も乗っています。いつもスマートフォンで撮影してて、スマートフォンでも参加できるということだったので申し込みました」

「大井川鐵道が好きで、今年は季節ごとに数回訪れています。大井川鐵道は、季節や人の温かさを感じられるところが1番の魅力だと思います。トーマス号を楽しみにしている子供の姿やいつも手入れされている花壇などに癒されます」

鉄道好きの方と写真好きの方が半々。みなさん口をそろえておっしゃっていたのは、「女性限定というところが、安心感があって魅力的」ということでした。

田野口駅に到着し、普段は入ることができない駅事務室でランチです。

初対面同士でも、鉄道や写真と行った共通の趣味があるので、すぐに仲良くなっていました。

レトロな駅舎はすべてがフォトジェニック。大井川鐵道の有人駅は7駅のみ。田野口駅も無人駅で、普段はガラス越しからしか見ることのできない駅事務室を撮る参加者も多かったです。

(撮影:kotoriさん)

橋の上から走るSL撮影に挑戦!

お弁当を食べ終えたら、田野口駅から10分ほど歩いた中徳橋からSL(かわね路1号)の撮影です。チャンスは1度きり。カメラを構えてドキドキしながら、SLが来るのを待ちます。

(撮影:kotoriさん)
(撮影:のっちさん)
(撮影:はこぷさん)

「来た! と思ったらあっという間でした。整備工場は停まっている列車だったので撮りやすかったですが、走っている列車を撮るのは難しいですね」

「トーマス号は可愛かったですが、黒いSLはかっこ良くて迫力がありますね」

千頭駅を下車して第3の撮影スポットへ

田野口駅から21000系に乗り、大井川鉄道本線の終点の千頭駅で下車します。

(撮影:hanachaituku1さん)
(撮影:hanachaituku1さん)

千頭駅は、トーマス号やジェームス号の終着駅。ヒロやパーシー、ラスティー、ウィンストン、いたずら貨車やいじわる貨車たちが、トーマス号やジェームス号が到着するのを待っています。トーマスフェアには、たくさんの家族連れで賑わっていました。

千頭駅から3つ目の撮影ポイントの大井川第4橋梁まで15分ほど歩きます。

ここでは2両編成の臨時急行電車 南海21000系と、7両編成のきかんしゃトーマス号を撮りました。

(撮影:kotoriさん)
(撮影:のっちさん)

千頭駅に戻り、SLに乗って新金谷に戻ります。ほとんどの方がSLを乗るのが初めてで、SLに乗ることが目的で参加した方もいました。レトロな車内はとてもフォトジェニックでした。

(撮影:はこぷさん)
(撮影:kotoriさん)

撮影ツアーのあと、希望者のみでツアーで撮影した写真の鑑賞会が行われました。プロジェクターを使って、作品のポイントなどを紹介しました。

「写真の善し悪しを講評するのではなく、ツアー中に撮れた写真をお互い見せ合って楽しさを共有するというのが目的です」(伊藤さん)

ツアーに参加したみなさんに感想を伺いました。

「自分で行こうとすると、撮影ポイントがわからなかったと思います。電車の時刻に合わせて撮影ポイントに案内していただいたおかげで、1日でも何カ所もベストポイントを回ることができて嬉しかったです」

「カメラ初心者でどのように撮れば良いかわからなかったので、鑑賞会はとても勉強になりました」

「男性ばかりいると、「撮るぞ!」という気迫に圧倒されてしまうのですが、女性だけで、しかも少人数でみなさん一人参加ということもあり、和気あいあいと楽しく撮影できたことが嬉しかったです」

「普段は乗る専門ですが、撮るのも楽しいですね。可愛いトーマス号とかっこいいSLが撮れて嬉しかったです」

今回はじめて鉄道を撮った方は、鉄道を撮る楽しさを知って、また来て撮りに来たいとおっしゃっていました。みなさん、満足そうな笑顔が印象的な鑑賞会でした。

(撮影:Kotoriさん)

鉄道社員が教える! 大井川鐵道の楽しみ方

大井川鐵道は、四季折々の美しい景色が楽しめる沿線です。大井川鐵道へ来たときの楽しみ方を伊藤さんに教えていただきました。

「大井川鐵道の料金はかなり高いのですが、お得なフリー切符を使っていただくのがオススメです。本数が少ないので事前に時刻表を調べていただくのがよいかと思います。大井川鐵道のHPにはオススメのモデルコースや撮影スポット、沿線の見どころを紹介していますので、旅行の計画を立てるとき見ていただけたらと思います」

「今回のツアーは千頭駅までしか行きませんが、アプト列車に乗って井川駅まで全線乗っていただくと、大井川鐵道の特徴がわかると思います。SLが走る大井川本線とアプト列車で走る井川線は、ぜんぜん路線の雰囲気が違います。また、大井川鐵道沿線は温泉も有名です。川根温泉ホテルは鉄橋が見え、SLの汽笛を聴きながら温泉を入ることもでき、最高のロケーションです。また、鉄道の路線からは外れるのですが、千頭駅からバスで行く寸又峡温泉がオススメです。秘境感とか、温泉の質とかが本当に最高です。女性の方には特にオススメですね」

「井川線の奥大井湖上駅のある静岡県・川根本町は、「澄んだ星空 全国第2位」に選ばれたこともある地域です。南アルプスあぷとライン沿線は民家が少なく、星空がとってもきれいに見えます。11月から3月は井川線星空列車(夜行トロッコ列車)が運行します。ぜひ、みなさまに来ていただけたら嬉しいです」

私も以前から行ってみたいと思っていた大井川鐵道。東京から遠いイメージでしたが、行ってみると静岡駅から30分と意外に近いことがわかりました。例年、大井川沿いの紅葉は10月中旬以後に標高の高い南アルプス側から始まるそうです。そこから南側に山を下った井川線沿線では11月上旬〜中旬、千頭駅より南は11月中旬から12月中旬にかけて紅葉を楽しむことができるのだとか。紅葉シーズンに訪れてみてはいかがでしょうか。

©︎2019 Gullane (Thomas) Limited.

加藤マキ子

編集者、ライター。女子美術大学卒。二児の母。カメラ書籍を手掛ける編集プロダクションで女性向けのカメラ雑誌や書籍を多数手掛ける。その後、実用書系編集プロダクションを経て、2013年に独立。仕事が好きで、マグロのように止まらず常に全力疾走中!