イベントレポート
【CP+2019】意外な企業から登場したカメラ・レンズの保管剤
適度に保湿&酢酸ガスを分解 フィルムの劣化対策剤も
2019年3月6日 12:15
2月28日から3月3日にかけて横浜で開催されたCP+2019。この中で、アナログフィルムや、酸性紙の保存に配慮した劣化対策・保存剤のメーカーが出展していた。
メーカーの名前は、株式会社足柄製作所。映画用フィルム保存缶の製造・販売を主な事業としている企業だ。
国産映画フィルムの製造開始時より、そのフィルム保存容器を手がけてきているという同社。この保存と保管に携わる中で、ビネガーシンドロームという記録資料の劣化現象に衝撃を受けたという。これに関する研究開発を進めてきた成果を一般市場向けに送り出した製品が展示されていた。
製品は「フィルム劣化対策剤」と「カメラ・レンズ保管剤」の2種類。それぞれ2019年3月1日よりAmazon.co.jp上にて販売を開始するとしていた。販売価格は3月6日の時点で、ともに税込1,000円となっている。
フィルム劣化対策剤
フィルム劣化対策剤は、フィルムなどの記録媒体や酸性紙などから発生する酢酸ガスを吸収・分解する機能を有しており、ひろく記録メディアの劣化抑制に役立てることができるという製品。有機酸系ガスの防臭効果も有している。
フィルムの保管といえば密閉して乾燥させる方法をとりがちだが、これでは酢酸ガスへの対策ができない。これまでは、この酢酸ガス発生に対する有効な対策手段はなかった、と同社は説明する。
フィルム劣化対策剤と劣化を抑制したい対象物を同じケースに入れて使用する。使用量の目安は、2.4l容器または35mmフィルムで1〜2個程度としている。効果の有効期間は保管状態にもよるが、おおよそ6〜24カ月としている。抑制剤は揉みつぶすことで再生が可能。
カメラ・レンズ保管剤
カメラ・レンズ保管剤は、湿度の調整と酢酸ガスの分解効果を有している製品で、カメラやレンズの保管やフィルム、プリントなどの保管にひろく使用することができる。
密閉状態にしたケースなどの湿度を40%RH前後に調整して保持することが可能で、除湿しながら湿度状態を一定程度に保つことができるとのことだった。湿度を避けるためにシリカゲル等を使用した場合は極度に乾燥した状態となってしまうため、カメラやレンズに使用されているゴムがひびわれてしまうといったケースの発生が懸念されるが、「カメラ・レンズ保管剤」を使用することでそうした不安を解消できるとのことだ。
また、アンモニア臭の吸収分解効果もあるとのことで、機材に付着した汗によるニオイ対策としても有効だとしていた。