イベント告知

今年も4月から「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」が開催

テーマは“HUMANITY”/マーティン・パー「small world」など展示

プレスカンファレンスは12月12日(木)、東京・広尾のフランス大使公邸で開催

「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」が2025年4月12日(土)〜5月11日(日)、京都市内の13カ所で開催される。今回で13回目。12回を1つの区切りと考え、来春には「KYOTOGRAPHIE」と、併催する「KG+」「KG+SELECT」の活動をまとめたアーカイブ集を出版する予定だ。

2024年度の来場者は前年比約15%増の27万718人。来年は28万人突破を目指す。

今回のテーマは「HUMANITY」。日本人は他者との関係性を重視し、自然界と密接な関わりを持つ。一方、西洋では個性や自由を尊重し、共通の善と普遍的な道徳原理を讃える。

そうした異なる文化的視点から創造された10カ国、13組のアーティストによる作品を通し、人間性とは何かを共に考え、探し求める場を提供する。

京都市内にある歴史的建造物など、毎回、魅力的な会場が選ばれるが、加えて今年はその1つとして大型のトラックを会場に設える予定だ。展示するのはマーティン・パーの「small world」。

Athens, Acropolis, Greece, 1991 © Martin Parr/Magnum Photos
Chichén Itzá, Mexico, 2002 © Martin Parr/Magnum Photos
The Artificial beach inside the Ocean Dome, Miyazaki, Japan, 1996 © Martin Parr/Magnum Photos
The Matterhorn, Alps, 1990 © Martin Parr/Magnum Photos

「京都市に1台だけある巨大なトラックを使い、作品を展示します。会期中、いくつかの場所を移動させる予定で、現在、設置する候補を交渉中です」と共同代表nお仲西祐介は話す。

パーは世界各地の観光地を巡り、そこに集まる人々とともに、その風景を収めてきた。ある場所へ群がるように集まる彼ら彼女らの姿は滑稽でもあり、どこか異様でもある。

マスツーリズムの問題を、その渦中にある街で鑑賞する試みでもある。

日本人写真家は3名をセレクトした。その1人は生まれ育った沖縄をテーマに撮り続けている石川真生。ここでは1970年代、米兵相手のバーで働く女性たちを捉えた「赤花」シリーズと、最新作を見せる。

「現在は沖縄の離島で、カップルなど自身が愛してやまない人たちを撮影しているそうです。その作品も展示予定です」

© Mao Ishikawa
© Mao Ishikawa
© Mao Ishikawa

甲斐啓二郎は、国内外で催される祭りを独特な手法で撮影してきた。中判フィルムカメラのマミヤ7を手に持ち、自らも祭りの中へ飛び込み、感覚でフォーカスを合わせてシャッターを切っていく。

「そうして写ってきたものが、僕に面白い発見をもたらしてくれた。国籍、人種などを越えて、人間の本質が見えてきます」

甲斐啓二郎(左)

村を舞台に1つの球をゴールに運ぶイングランドのシュローヴタイド・フットボール、真剣な殴り合いが起きるボリビアのティンク、長い竹で打ち合う秋田県六郷の竹打ちなどを撮影している。

シリーズ〈一条の鉄〉、愛知、 2023年 Ashes to Ashes, Aichi, 2023 © Keijiro Kai
シリーズ〈綺羅の晴れ着〉、岡山、 2018年 Clothed in Sunny Finery, Okayama, 2018 © Keijiro Kai
シリーズ〈Opens and Stands Up〉、シュフティ(ジョージア)、 2016年 Opens and Stands Up, Shukhuti, Georgia, 2016 © Keijiro Kai

𠮷田多麻希はコマーシャル分野で活動しつつ、「自然と人間の関係」に着目した作品に取り組んできた。2024年のKYOTOGRAPHIEで開かれたインターナショナルポートフォリオレビュー2024で「Ruinart Japan Award 2024」を受賞し、フランスのメゾンに滞在し作品制作を行なっている。

野生動物と人間との境界線が変わりつつある中、これまでの人間主体の思考や行動に疑問を投げかけ、人と生き物の新たなバランスを模索する。

「若いハンターがガイド役となり、フランスの森林地帯に入り込み、動物たちの姿を観察し写し込んできました」

©︎ Tamaki Yoshida
©︎ Tamaki Yoshida
©︎ Tamaki Yoshida

フランス出身のアーティスト、JRは多様な人々のポートレート作品を制作しており、今回は「JR 京都クロニクル 2024」を発表する。2024年秋、京都の7カ所で移動式スタジオを構え、道行く人々に声を掛け、その姿を撮影した。撮影した人の数は500人を超す。

その写真は巨大な写真壁画として、京都駅ビル北側通路壁面に展示する。この催しは大阪・関西万博の開催に合わせ、10月後半まで展示される。

またそこで撮影した作品をピックアップし、京都新聞ビル地下1階(印刷工場跡)で展示を行なう。

The Chronicles of New York City, Domino Park, USA, 2020 © JR
The Chronicles of San Francisco, Lightbox, USA, 2018 © JR
Behind the Scenes: JR, The Chronicles of Kyoto, 2024 © JR

映像作家のリー・シュルマンと、セネガル人写真家のオマー・ヴィクター・デイオブは「Being There」を展示する。リーは蚤の市などで見つけた家族写真を収集する「アノニマス・プロジェクト」を展開しており、全世界からコレクションが送られてくる。その写真はかつての暮らし、文化、思想などが記録された貴重で、興味深い映像資料だ。

1950年〜1960年代のアメリカで撮影された写真に、オマー自身が当時の人に扮して入り込んだ。

「周囲の人に合わせた服装をまとい、同じライティングで撮影した写真を合成して嵌め込んでいます。ユーモラスかつ示唆に富むパフォーマンスです」

Being There_52-V1, 2024, The Anonymous Project © Lee Shulman & Omar Victor Diop
Being There_27, 2024, The Anonymous Project © Lee Shulman & Omar Victor Diop
"Being There_20, 2024, The Anonymous Project" © Lee Shulman & Omar Victor Diop

そのほか、パレスチナ系アメリカ人のアダム・ルハナが、戦時下にあるパレスチナの人々の今を捉えた作品や、アフリカ人アーティストのレティシア・キイが2024年冬、京都に滞在して制作した作品を、DELTA/KYOTOGRAPHIE Permanent Spaceと出町桝形商店街で展示する。

会期中の週末は姉妹フェスティバルである、ボーダレスミュージックフェスティバル「KYOTOPHONIE 2025」も開かれる。

イベント名

KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025

会場

京都市内各所

開催期間

2025年4月12日(土)〜2025年5月12日(日)

開催時間

会場により異なる

入場料

  • パスポートチケット:一般6,000円(前売り5,500円)、学生5,000円(前売りも同額)
  • 単館チケット:一般600円〜1500円で発売予定。一部無料会場あり