デジタルカメラマガジン

11月19日(金) 限りなく皆既に近い部分月食をとらえよう!

天体写真家がレンズ選びと露出設定を解説

先の5月26日の皆既月食のときは全国的に悪天候で、月食が見られたのは東北・北海道の一部の地域だけだった。今回の月食は、部分月食に分類されてはいるが、月のほとんどが地球の本影に入るため、ほぼ皆既月食に近い光景が見られる。

最も欠ける(最大食分)時刻は18時3分頃、月の高度は東京で17度と見やすい高さなので、地上の景色などとの共演をとらえるには絶好のチャンスといえる。

最大食分では本影部分は赤銅色に輝き、半影(※1)に照らされた明るい部分も混在する、色彩と階調のコントラストに富んだ美しい光景が見られるだろう。月の明るい部分と影になった赤黒い部分との明るさの差はかなり大きいので、露出を変えながら何枚も撮影することをおすすめする。

※1……太陽の一部が月を照らしている状態で、部分月食の前後には必ず半影に照らされた「半影月食」が見られる。境界ははっきりとわからない。

11月19日、食の最大時をシミュレーションした写真。天気が良ければ、このような感じで見えるはずだ

使用するレンズのポイント

35mm判換算35mm程度の画角から、月の表情がある程度わかる。風景との共演をとらえる場合は広い画角を選ばずに、35mmを広角端の基準として、そこから焦点距離を調整することをおすすめしたい。月のディテール、色の変化をより詳細にとらえるには200mm以上が良いと思われる。

最大食分の時の月の適正露出

・絞り:F4
・シャッター速度:1秒以上
・ISO感度:800

が基準となる。あまりシャッター速度が遅いと月が動いてしまうので注意が必要だ。月食の明るさは月食ごとに一定ではないため、露出の決定がむずかしい場合は、プログラムAEや絞り優先AEを使い、撮影後のプレビューで明るかったらマイナスの露出補正をする、という方法が良いだろう。