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キヤノン、「EF35mm F1.4L」を約17年ぶりにモデルチェンジ

色収差補正に新開発“BRレンズ”を採用

キヤノンは、交換レンズ「EF35mm F1.4L II USM」を10月中旬に発売する。価格は税別28万5,000円。

現行製品「EF35mm F1.4L USM」(1998年発売)の後継モデル。約17年ぶりのモデルチェンジとなり、晴れて「II」型に更新された。

35mm判のイメージサークルをカバー。EFマウントを採用し、引き続きEFレンズの高級ライン「Lレンズ」ラインナップの一角を担う。

キヤノンによると本レンズは、大口径単焦点レンズのフラッグシップとして開発したという。画質にこだわるプロ/ハイアマチュアをターゲットとしており、ポートレート、風景、スナップ、星景などの分野での活用が期待される。

画質面での最大のトピックは、新開発「BRレンズ」の採用だ。BRレンズとは、色収差を補正する新光学素子「BR光学素子」をガラスレンズで挟み合わせた複合レンズ。

BR光学素子を採用した複合レンズ

波長により自然光は、レンズを通る際の屈折率が異なることが知られている。単純な設計では結像面の1点に集光せず、光のずれが色のにじみとして現れる(色収差)。この現象は大口径レンズで絞りを開けるほど顕著となり、中でも青色の光(短波長)は通常の凹凸レンズの組み合わせでは補正しきれず、青色のにじみのもととなる。

今回のBRレンズは、有機光学材料を使用した樹脂製レンズのBR(Blue Spectrum Refractive Optics)光学素子がそのキーパーツ。青色の光に対し、ガラスでは成し得ない高分散・異常分散特性が特徴となっている。その「BR光学素子」を含む複合レンズが「BRレンズ」であり、本レンズの11群14枚からなるレンズ構成に含まれている。

BRレンズ断面とBR光学素子の原料(有機光学材料)

BRレンズの採用により、色にじみを大幅に軽減。絞り開放から高い描写性能を実現したという。

ちなみに、色収差を低減する他の光学材料としては、蛍石やUDレンズ、スーパーUDレンズが挙げられる。どちらも低屈折・低分散の特性を持つ。

2枚の非球面レンズとUDレンズ1枚を採用し、画面周辺までの高画質を謳う。非球面レンズのうち1枚はガラスモールド非球面レンズ、1枚は研削非球面レンズだ。

第2面には、特殊コーティングのSWC(Subwavelength Structure Coating)を採用。フレア、ゴーストを抑制するという。最前面に加えて最後面には、水・油がつきにくいフッ素コーティングも施されている。

最短撮影距離は0.28m、最大撮影倍率はクラス最大の0.21倍。旧モデルはそれぞれ0.3m、0.18倍だった。

9枚羽根の円形絞りを採用。

本体は防塵防滴構造。

フィルター径は72mm。外形寸法は80.4×105.5mm(最大径×全長)。質量は約760g。前モデルより約180g重くなっている。

レンズフードEW-77B、レンズケースLP1219、レンズキャップE-72 IIが同梱される。

別売のエクステンションチューブEF12 II、EF25 IIに対応する。

(本誌:折本幸治)