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カメラグランプリ2023大賞は「ソニーα7R V」。レンズ賞や読者投票部門の結果も公開

カメラ記者クラブは5月17日、「カメラグランプリ2023」の選考結果を発表した。大賞のソニー「α7R V」ほか、全7製品が各賞に選ばれた。

カメラグランプリ「大賞」および「レンズ賞」は、期間内に日本国内で新発売されたスチルカメラもしくは交換レンズの中から、選考委員の投票で最も優れた1製品を表彰するもの。「あなたが選ぶベストカメラ賞」は、Webでの読者投票で決定する。いずれも2022年4月1日〜2023年3月31日に発売された製品が対象。また、すべてのカメラと写真製品・機材を対象に、大衆性、話題性、先進性に特に優れた製品を選ぶ「カメラ記者クラブ賞」も用意している。

受賞製品と選考理由は次の通り(「あなたが選ぶベストカメラ賞」は読者の投票理由)。

大賞:ソニー「α7R V」

ソニーα7シリーズの中でも高精細な撮影が可能な“R”の最新世代として、クラス最高の有効約6,100万画素CMOSセンサーを採用。新たに搭載した「AIプロセッシングユニット」によりAF性能を始め、オートホワイトバランスなどの色再現も向上。また手振れ補正機構の強化といった基本性能の大幅引き上げから、高解像度機のポテンシャルをより幅広い撮影シーンで発揮しやすくなったとの評価を得た。また、背面モニターをチルト/バリアングル両対応の4軸マルチアングル液晶モニターとした点においては静止画と動画、双方の要求を満たす新たなるスタンダードを提示したとのコメントも寄せられた。

選考理由

選考委員の投票(配点)により決まる賞。上位5機種の得点は、1位「ソニー α7R V」(166点)、2位「キヤノン EOS R6 Mark II」(136点)、3位「パナソニック LUMIX S5II」(100点)、4位「富士フイルム X-T5」(65点)、5位「富士フイルム X-H2S」(60点)。

レンズ賞:OMデジタルソリューションズ「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」

マイクロフォーサーズ規格としては最も焦点距離が長いマクロレンズ。最大撮影倍率は2倍(35mm判換算4倍相当)に達し、テレコンバーターも使用可能。対応するカメラボディにおいては「最大7段分の手ブレ補正効果」や「深度合成撮影」を可能とする先進性が高く評価された。近年においては珍しい“180mm”(35mm判換算)の画角は、ワーキングディスタンスを確保しやすく、風景撮影で遠景を切り取るようなシーンにおいても有効との声も。小型軽量性に定評のあるマイクロフォーサーズシステムの撮影シーンを更に広げる1本となった。

選考理由

選考委員の投票(配点)により決まる賞。上位5機種の得点は、1位「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」(82点)、2位「ソニー FE 24-70mm F2.8 GM II」(66点)、3位「キヤノン RF135mm F1.8 L IS USM」(56点)、4位「ソニー FE 20-70mm F4 G」、「ニコン NIKKOR Z 85mm f/1.2 S」(ともに50点)。

あなたが選ぶベストカメラ賞:パナソニック「LUMIX S5II」

Webフォームからの読者投票(2023年2月23日〜4月10日)によって決まる賞。

  • 本当にユーザーのことをとことん考え抜いた良いカメラだから
  • スチル、動画機としてクオリティが高く、とても使いやすいため
  • 要望の多かった像面位相差AFを搭載して、目立たない冷却ファンも内蔵して、地味ながら完成度が高い
  • リアルタイムLUTにより、表現の幅が更に広がった
  • リアルタイムLUTや優れた画質といったように撮影を楽しむことを追求している
  • コスパが特に高く、必要十分な機能/画質などを備えており、多くの人にフルサイズカメラの楽しさを提供したこと
  • 動画ニーズの高まりにおいて放熱機構が各社の課題になるなか、ペンタ部に格納するという独創的なアイデアでコンパクトさと耐熱性を両立している点が素晴らしい。センサースペックに現れないカメラのデザイン設計にインパクトを与えたモデルだと思う
  • 多彩な機能を小型筐体にまとめ画質も秀逸。最もバランスの取れた逸品
  • 像面位相差AFなどLUMIXの新たなチャレンジを感じたため
  • 画質の色再現性の良さ、手振れ補正性能等の基本性能の高さ、デザイン、コストパフォーマンス
  • スチル・動画機としてクオリティが高く、とても使いやすいため

投票理由

カメラ記者クラブ賞

選考委員の推薦を踏まえ、カメラ記者クラブの合議で決まる賞。

【企画賞】ライカ「ライカM6」

1984年の登場以来、今も中古市場で根強い人気を誇るレンジファインダーカメラの復刻版。フィルムや印画紙の価格高騰など、銀塩写真そのものが厳しい環境にある昨今、フィルムカメラのアイコンとして名高い「ライカM6」の再登場は大きな話題となり、愛好家を勇気づけた。

選考理由

【企画賞】キヤノン「EOS R50」

EOS Rシリーズに加わった最も手頃なエントリー機。上位機に通じるAF性能の高さと、初心者向けに拡充されたオート機能の数々を評価。ネーミングの継承こそ叶わなかったものの、30年続いた“EOS Kiss”シリーズの伝統とノウハウは確かに受け継がれている。

選考理由

【技術賞】DxO「PureRAW」

同社の写真編集ソフト「PhotoLab」に搭載されていたノイズ除去機能を、“RAWデータを高画質化する”というインパクトのあるメッセージとともに単体ソフト化。ごくシンプルにして明快な操作ながらも、PCの高い処理能力を活かした更に高度なRAW編集が認知・注目されるきっかけを作った。

選考理由

【企画賞】ProGrade Digital「CFexpress Type B GOLD 512GB」

ハイエンドの「COBALT」シリーズでCFexpress Type Bの採用と普及を後押ししてきた同社が、持続書き込み速度などの高性能を維持しつつ低価格化を実現。一般ユーザーがCFexpress カードを導入する際のハードルを更に低くしたことを評価。

選考理由

本誌:鈴木誠