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東京・四谷に本日オープン。「PENTAXクラブハウス」レポート
2022年7月28日 18:45
リコーイメージング株式会社は7月28日、新拠点「PENTAXクラブハウス」をオープンした。所在地は東京都新宿区四谷本塩町4-8 パーシモンビル1階。営業時間は11時〜18時。休館日は水曜・日曜・祝日および同社が定める日。
従来のリコーイメージングスクエアにかわり、「お客様とつながる情報発信の場としての機能を加えつつ、修理受付窓口としてもご活用いただける新拠点」として予告されていた施設。“クラブハウス”と名前を改めた背景には、いわゆるショールーム的な役割のみならず、PENTAX製品の使い手、作り手、売り手が隔てなく交流し、今後の製品開発や企画に反映していくとの意志がある。
この施設の“館長”であるPENTAXクラブハウス マネージャーの富張裕之氏によると、施設の場所を選ぶにあたり、とにかくアクセスを大事にしたという。四ツ谷のギャラリー、半蔵門の日本カメラ博物館などにも近く、ターミナルである東京駅から3駅という距離も、遠方からの来場者にとって便利だろうと考えた。「四季の眺めが良いので、写真を撮り歩きながら、通過点としても立ち寄って欲しい」と期待を語る。
また、かつてのリコーイメージングスクエア新宿はビル内にあったが、PENTAXクラブハウスは道路に面しており、たまたま通りがかった人が立ち寄っていくことも意識したという。
テープカットを行い来場者を迎えたリコーイメージングの赤羽昇社長は、「この場を通じて、ユーザーだけでなくカメラを作る人や売る人も、全てがサークルになり、全体がクラブになることを考えている。お客様が思い立ったときに、ふらっと立ち寄ってもらえる場所でありたい」とオープンへの思いを語る。“工房的ものづくり”を掲げている同社にとって、まさにここが工房になるというイメージだ。
金融業界の出身である赤羽社長は、企業にとって「キャッシュフロー最大化だけが価値なのか」と、20代の頃からずっと考えていたという。いわゆるファンド的な短期主義と異なり、100年を超える歴史を持つ企業が世界一多いという日本らしく、“永続”や“残す”という文化を強く意識しているそうだ。この思いをもとに、こうした場は今後日本以外にも広げたいとのこと。
こうしてPENTAXクラブハウスの前で赤羽社長に話を聞いていると、オープン後にもいくつかの祝花が運び込まれてきた。その中にはユーザーが個人名で贈ったものもあり、それを受け取ったスタッフが「どこどこ支部の、誰々さんからだね」とすぐに判別していた。PENTAXと、ユーザーとの距離感を象徴するワンシーンだったと思う。
近年はカメラメーカーのサービス拠点が減少傾向にあり、利便性のみならず、寂しさを感じるという意見を目にすることが増えた。リコーイメージングは場所こそ東京だけになってしまったものの、一般ユーザー向けの対面窓口を残した。立地的に訪れることが難しい地域のユーザーに対しても、オンラインの活用でタッチポイントを増やすことを意識しているという。
施設内の空間は、LENS BARのカウンターを可動式とするなど、リアルイベントで人が集まる場合にスペースを広く取れるようデザインされた。また、直近では7月31日に予告されているオンラインイベントも、この新拠点を活用して行われる。
余談だが、オープン時に来場客を入口前で誘導していた女性スタッフは、聞けばリコーイメージングのメカ設計者で、直近ではK-3 Mark IIIのセンサーユニットを担当したという。PENTAXクラブハウスの営業内容として予告されていた「開発担当者の在所時には、ユーザーとの意見交換の場所としても活用」というのは本当だったと、早くも実感することとなった。
PENTAXクラブハウスで見たものの一部(7月28日時点)
PENTAX K-70をベースに少数作製した手作りモデルの「CLUB HOUSE SET」(参考展示品)。ラバー部をオリーブグリーン/ネイビーブルーに塗装している。天面には金属製のAOCoロゴを埋め込み、背面モニターの裏側にはPENTAXクラブハウスのロゴを彫刻。マウント部には歴代のロゴマークが一堂に並んでいる。
ガラスケース内のパネルには、概要説明に続いて「どうしてもという希望者がいた場合には 調子に乗って販売するかもしれない」と書かれていた。
参考展示品の隣に並んでいたのは、“姉妹試作機”という「METALICA」(メタリカ)と「MEMORICA」(メモリカ)の2台。前者は金属縦走りシャッターで絞り優先AE、後者は布幕横走りでシャッター速度優先AEを搭載。検討の結果、メタリカが1966年のフォトキナに出品されたという。