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富士フイルム、Xシリーズ待望の“換算50mm相当”「XF33mmF1.4 R LM WR」

9月29日発売 約11.5万円

富士フイルムは、Xシリーズ用の交換レンズ「フジノンレンズ XF33mmF1.4 R LM WR」を9月29日に発売する。希望小売価格は11万5,500円(税込)。

APS-Cセンサーを採用するXシリーズ用の単焦点交換レンズ。焦点距離は33mmで、35mm判換算で50mm相当の画角が得られる。

フォーカス駆動はリニアモーターを採用。またフォーカス群の移動量自体を短く設計したとしており、高速なAF制御も特徴だとしている(ハイパフォーマンスモードを有効にしたX-T4との組み合わせ時に最短約0.04秒で動作)。

X-Pro3に装着した状態

レンズ構成は非球面レンズ2枚とEDレンズ3枚を含む10群15枚を採用。色収差や球面収差を抑制した設計とすることで、周辺部まで高い解像性能を発揮するとしている。最短撮影距離は30cmで、最大撮影倍率は0.15倍(35mm判換算約0.2倍相当)。

画質面に関しては、中間部に配置した非球面レンズ1枚とEDレンズ2枚からなるフォーカス群を一度に駆動させる構造とすることで、レンズ最後部に配した非球面レンズ1枚とともに収差変動を抑制。最短撮影距離から無限遠に至るまで、全域での高い画質を実現した、としている。

このほか、フォーカスブリージングも抑制し、動画撮影にも配慮したとしているほか、フォーカスリングの操作時における回転量の検出精度も高めたとしており、微細なフォーカス操作にも対応しているという。

製品名に「WR」を冠しているとおり、防塵・防滴・-10度の耐低温構造を採用。鏡筒11カ所にシーリング処理を施しているという。また、絞りリングにはGマウントレンズシリーズ同様、A(オート)ポジションを設けている。

全長は約73.5mmで、最大径は67mm、質量は約360g。フィルター径は58mm。

[2021.9.3 0:20]最大径を追記しました。

他に、同時発表されたXマウント用単焦点レンズ「フジノンレンズXF23mmF1.4 R LM WR」と共用できる、アルミ削り出し成型の角型フード(11月発売予定。希望小売価格は税込1万1,000円)の装着にも対応している。

「換算50mm相当」の登場までを整理

本レンズで採用された“33mm”という焦点距離には、少々複雑な背景がある。富士フイルムでは、もともとXシリーズ用の換算50mm相当レンズは開放絞り値をF1.0とすることで開発が進められていたからだ。開発が報じられたのは、2018年のこと。CP+等の会場でもモックが展示されるなど製品化へ向けた期待も高まっていた。が、2020年2月にライブ配信された「X Summit LONDON 2020」で状況は一変する。焦点距離を換算76mm相当の中望遠となる50mmに変更するとの発表がなされたのだ。メーカーによれば、三脚座を含めずにレンズ単体で約1.3kgの重量となること、また相対的にサイズが大型化したことなどが、設計変更の主たる理由との説明がなされた。そして同年9月、開放絞値F1.0のレンズは「XF50mmF1.0 R WR」として製品化された。

設計当初の焦点距離33mm F1.0のレンズは三脚座を備えるほど大きく重い1本となっていたが、この設計変更により、現実的なサイズ感での開放F1.0の明るさとともに、豊かなボケを獲得するに至った。こうして結果的にF1.0のレンズは焦点距離50mmとして登場することとなったが、反面で換算50mm相当となる“33mm”が宙に浮いてしまっていた。そしてこの50mm F1.0の登場から約1年、ついに換算50mm相当のレンズが誕生したことになる。

なお、XF50mmF1.0 R WRの設計ポイントや実写検証については、以下詳報とレビュー記事をあわせてご参照いただきたい。

「富士フイルム『XF50mmF1.0 R WR』詳報」(2020年9月4日掲載)より
「富士フイルム『XF50mmF1.0 R WR』詳報」(2020年9月4日掲載)より
本誌:宮澤孝周