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「SIGMA fp L」静止画撮影の進化点をピックアップ。新製品プレゼンより

SIGMA fp L

シグマが3月25日に発表したミラーレスカメラ「SIGMA fp L」について、ライブ配信された新製品プレゼンテーションから、本機の位置付けや静止画機能に関する主なポイントをピックアップしてお伝えする。

SIGMA fp Lの位置づけは?

2019年に登場した「SIGMA fp」と同じスタイリングに、有効約6,100万画素のベイヤーセンサーを搭載した35mm判フルサイズミラーレスカメラ。4月16日発売で、店頭予想価格は27万円前後(税込)。

本機の位置づけについて、同社はあくまでも“SIGMA fpの後継機ではない”という点を強調した。SIGMA fpは元々、いつでも持ち歩ける小型・軽量や、自在にカスタマイズできる拡張性といったような、ユーザーに自分のスタイルで自由に使って貰えるカメラというコンセプトで展開してきた。SIGMA fp Lは、そうしたfpの世界をさらに広げる新たな選択肢だという。

製品説明をした商品企画部の畳家久志氏(配信画面より、以下同)

末尾に冠した「L」には、飛躍を意味する「Leap」、自由を意味する「Liberty」の2つの意味を込めた。単純に画素数が多いからすごいということではなく、この画素数を使ってどう楽しんでもらえるか、ということを大事に考えながら開発を進めてきたのだという。

外観の違い

SIGMA fpとfp Lは、ボディのサイズが全く同じ(重量はfp Lの方が5g重い375g)。外観上に違いはないように思えるが、実は細かな変更点があるという。

新たにボディ前面に刻まれた「L」の文字。光沢のある黒の塗料を入れているという

1つ目は背面ダイヤルの改良。カメラの質感に合うよう、回転が重めのダイヤルをfp L用に特注したのだという。これによりfpよりクリック感を向上させた。

2つ目はMODEボタンのせり出し量を減らした点。従来機ではカメラを握った際に、手がボタンに干渉してしまい、意図せず設定が変わってしまうケースがあったという。撮影中に不意に触れてしまわないように改良を施した。

3つ目は左側面のMIC端子ラバー。ちょっとしたはずみで蓋が開いてしまわないような変更だとしている。

静止画撮影における向上点

fp Lでは新たに有効約6,100万画素のセンサーを採用。また、センサーには光学ローパスフィルターを搭載した。画素数が多いほどモアレが発生しにくく、ローパスフィルターは必要ないのではないかという考え方もあるが、同社いわく完全に発生しないというわけではなく、本機ではそうした多少のモアレや偽色にも徹底的に対策をするという選択をしたそうだ。

SIGMA fpでは、2,400万画素という限られた画素数の解像力をしっかりと描き切るために、ローパスフィルターを非搭載としていた。一方本機では、6,100万画素という十分な情報量を持っているため、ローパスフィルターを入れることできっちりと色のコントロールをする狙いがあったという。

ローパスフィルターの効果を解説

6,100万画素を活かす新機能として、「クロップズーム」を搭載した。最大5倍までズームしてもFHDの解像度で撮影できる。携行性を重視して小型ボディの本機と単焦点レンズの組み合わせで撮影に持ち出した際でも、クロップズーム機能により十分な画質でズームを利用した撮影が可能になるという。タッチパネル式モニターのピンチイン/アウトによる直観的な操作に対応する。

アスペクト比が7種類から選べるという点は変更がない。中でもSIGMA fpは21:9で撮影するユーザーが多く、2,400万画素センサーで撮影した場合1,500万画素程度になってしまうことから、もう少し解像度が欲しいという要望があったという。6,100万画素のセンサーで撮影することで、21:9でも3,800万画素以上の解像度を確保できるので、十分に楽しんで撮影できると説明した。

オートフォーカス性能では大きな変更点があった。SIGMA fpではコントラストAFのみとしていたが、本機では像面位相差AFにも対応した。SIGMA fpと共通の49点のAFエリア全てで像面位相差AFが働くことで、静止画および動画撮影において、より高速なAFが可能になったという。

SIGMA fpでも好評だというカラーモードに「パウダーブルー」と「デュオトーン」の2種類が追加。全15種のカラーモードが使用可能になった。

パウダーブルーは、爽やかなブルーと明るく透明感の青が印象的なカラーモード。コントラストと彩度を抑えて「ネガフィルム調」の表現が可能になるという。

デュオトーンは、1970年~1980年代にポスターやレコードのジャケットで使われた表現手法だが、畳家氏は今の時代ではかえって新しいもののように感じるのではないかと問いかけた。現像ソフトやアプリでも創り出すことは可能だが、そのプロセスは非常に時間がかかるもので、本機ではMODE選択のみで素早くこの表現が可能になると説明した。

パウダーブルー
デュオトーン

ほかにも、撮影設定をQRコードとして保存できるようになった。カラーモードやホワイトバランス、シャッタースピードに至るまで、これまでは手打ちで入力していたような細かな撮影設定の情報をQRコードに詰め込むことで、SNSなどで共有しやすくなるという。もちろん他のユーザーのQRコードの読み込みにも対応し、好きな写真家の撮影設定を自分のカメラで再現することも可能になると説明した。読み込んだ設定は、カスタムモードに登録もできる。

本稿では、SIGMA fp Lの従来モデルからの改良点を静止画機能面を中心に取り上げた。動画機能面やその他変更点については、追って別稿でお届けしたい。

本誌:宮本義朗