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オリンパス、新エンジンTruePic IX搭載の「OM-D E-M1 Mark III」

特許出願中「星空AF」搭載 顔優先AFの機能向上も

オリンパスは、マイクロフォーサーズ規格のミラーレスカメラ「OM-D E-M1 Mark III」を2月28日に発売する。価格はオープン。店頭予想価格はボディ単体が税別20万円前後、標準ズームレンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」を組み合わせたレンズキットが税別26万円前後。

2016年12月に発売されたOM-D E-M1 Mark IIの後継機で、オールラウンドプロフェッショナルモデルと位置づけている。被写体としては風景、動物、星景、人物を想定したといい、モータースポーツ、鉄道、飛行機の撮影には、インテリジェント被写体認識AFを唯一搭載する「OM-D E-M1X」(2019年2月発売)が有利としている。

イメージセンサーはOM-D E-M1XおよびE-M1 Mark IIで実績があるという有効約2,037万画素のLive MOSセンサーを継承。40万回の動作テストを行ったシャッターユニットもE-M1Xと同じ。

手ブレ補正機構の最大効果は、ボディ単体でシャッター速度7段分、対応レンズと協調した5軸シンクロ手ブレ補正で7.5段分としている。E-M1X用に新開発したジャイロセンサーを引き続き搭載している。

搭載するジャイロセンサー

画像処理エンジンは新しいTruePic IX。NDフィルターを使わずに連写合成でスローシャッター効果を再現する「ライブND」機能をE-M1Xから継承した。従来のTruePic VIIIに比べ高速処理が可能になったが、デュアルエンジンではないため、インテリジェント被写体認識AFはハードウェア的に対応できないという。

連写速度はAF/AE追従で最高約18コマ/秒。連続撮影可能枚数はRAWで約76枚。AF/AE固定ながら最高約60コマ/秒で記録できるモードや、シャッター全押しから最大35コマまで遡れる「プロキャプチャーモード」を搭載している。

モードダイヤル「B」位置には、ライブビュー画面で途中経過を見ながら長時間露光が可能な「ライブコンポジット」、「ライブバルブ」、「ライブタイム」の機能がまとめられている。

AFは121点オールクロスの像面位相差検出方式。画面内の縦75%、横80%をカバーしている。

16枚の連写から高解像度画像を生成する「5000万画素手持ちハイレゾショット」、8,000万画素記録となる「三脚ハイレゾショット」も引き続き搭載している。

動画記録は、手持ちで4K/C4K解像度の記録ができる機動性を訴求。手ブレ補正強度は3段階から選べる。カメラのホットシューに同社リニアPCMレコーダー「LS-P4」を取り付けることを想定し、専用のショックマウントアダプター「SM2」およびスパイラル形状のオーディオケーブル「KA335」も別売で2020年春に発売予定。

レコーダー、ショックマウント、オーディオケーブルを組み合わせたところ。

新機能「星空AF」(特許出願中)

一般的にマニュアルでピントを合わせることが多い天体撮影のシーンに向けて、星に特化した専用アルゴリズムを用いた新たなAFモードを開発。手持ちでも気軽に撮影できるという「速度優先」、三脚撮影を前提に細かなフォーカススキャンを行う「精度優先」の2モードを搭載しており、同AFモードの初期設定ではAEL/AFLボタンにAFオンが割り当てられている。

いわゆるコントラストAFでは、フォーカスレンズを微小に前後駆動させながら最もコントラストが高くなる位置(=ピントが合った位置)を探っていくが、星空ではAFエリア内に複数の明るさの星が存在するため、正しいピント位置を判断するためのコントラスト情報が波打ってしまう。そのため星空AFでは対称性マッチングという方式を用いて、より無限遠側に近いところにピントを合わせるアルゴリズムになっているという。

主な新要素

AFにおける顔優先・瞳優先において、小さな顔や瞳の検出精度を向上。また、検出された複数の顔から任意の顔をボタンやタッチ操作で選択できるようにした。

インターバル撮影は、最大6時間・最大9,999コマに拡充。従来は最長3時間・最大999コマだった。USB Type-C端子から給電しながら撮影できる。

なお、E-M1 Mark IIIのUSB Type-C端子はUSB PD規格に対応しており、カメラの電源がオフになっている時に最短2時間でバッテリーを満充電できるという。

背面に、E-M1Xで搭載していたマルチセレクター(8方向に倒せるスティック状の部材)を配置。AF測距点の選択を助ける。

新たなカスタマイズ設定として、C1からC4のカスタムモードを使用した際に、撮影中に行った設定変更を保持するかリセットするかを選べるようにした。

そのほかの仕様

EVFは約236万ドット。倍率は0.74倍(35mm換算)。表示パネルはE-M1Xと同じで、接眼レンズはE-M1 Mark IIと同等。

背面モニターは3型約104万ドットのバリアングル式(タッチ操作対応)。

記録メディアスロットはSD×2。スロット1のみUHS-IIに対応する。

バッテリーはBLH-1。撮影可能枚数は約420枚。E-M1 Mark IIと共通のバッテリーグリップ「HLD-9」(別売)も使えるが、USB充電ではカメラ内のバッテリーのみ充電される。

HLD-9装着イメージ

無線通信はWi-Fi/Bluetoothに対応。スマートフォンアプリの「OI.Share」から、カメラ本体のファームウェアアップデートや、カメラ設定のバックアップ/リストアが行える。

外形寸法は約134.1×90.9×68.9mm。重量は約580g(バッテリー、SD含む)、約504g(本体のみ)。外形寸法はE-M1 Mark IIと変わらない。

シーリングのイメージ。これまでのOM-Dシリーズ同様、防塵・防滴・耐低温性能をアピールする。

15時50分追記:記事初出時に掲載していたカメラの外観画像に一部誤りがあったため、該当する画像を差し替えました。ホットシュー部分の色は正しくはシルバーです。

本誌:鈴木誠