ミニレポート
RAWがもう大き過ぎて…でも写りはすごいぞハイレゾショット
(OLYMPUS OM-D E-M5 Mark II)
Reported by 北村智史(2015/3/2 07:00)
さて、我が家にもOLYMPUS OM-D E-M5 Mark IIが到着したのである。いわずと知れたOM-Dシリーズの最新モデル。2月20日に発売されたばかりのほやほやである。
OM-Dシリーズには、オリンパスにとってはフラッグシップに位置づけられるE-M1もあるのだが、こういう仕事をしているせいか、出たばかりのうちに買わないと、そのままなんとなく手を出しづらくなって、結局買わないままモデルチェンジというパターンに陥りやすくなる。E-M1はちょうどそのパターンにぴったりはまってしまったのである。
マイクロフォーサーズは、E-P5を発売当初から使っていて、こちらはEVFが外付けである。買ったときは、必要なときだけ付ければいいや、と思っていたのが、いざ使いはじめてみると、外して撮ることのほうが少ないという、当初の思惑とはずいぶん違った運用になってしまっている。その後、ソニーのα6000(こちらはEVF内蔵である)を使いはじめると、断然EVF内蔵が便利である。次に買うのもEVF内蔵にしようと心に決めたのであった。
そんなところに登場したのがE-M5 Mark IIである。一眼レフライクなスタイルを採用するOM-Dシリーズだから、もちろんEVFは内蔵である。約236万ドットで倍率は最大約1.48倍(35mmフルサイズ換算で0.74倍相当)。スペックとしてはE-M1と同じである。外光の明るさに合わせて輝度を自動的に調整するキャッツアイコントロール機能も備えている。
さらに、モニターはバリアングル式に変わっているし(光軸がズレるからと嫌う人もいるが、縦位置に対応できないチルト式は、ワタシ的にはいまいちなのである)、そのうえ、ハイレゾショットなんていう大技から、星が見える(らしい)LVブースト2といった小技まで、気になる機能やスペックが満載なのだ。
これはもう猫に小判である。あ、違った。猫にかつお節である。黙っていられるはずがない。結果、我が家にもご到着あそばした次第である。
というわけなので、まずは大注目のハイレゾショットの画質を見てみよう。
ご存知の方も多いだろうが、軽くおさらいしておく。ハイレゾショットは、ボディ内手ブレ補正機構を利用して、撮影時に半ピクセル単位で撮像センサーを動かして8コマ撮ったのを合成して高解像イメージを生成する仕組みである。
1,600万画素のマイクロフォーサーズの撮像センサーの画素ピッチが3.8μmほどだから、撮像センサーを1.9μmずつ動かしながらの8コマ連写ということもあって、撮影時は三脚が必須である。面倒くさいが、まあ我慢しよう。
厄介なのは、画像のファイルサイズである。JPEGだけならたいしたことはないが(といっても、公称約17.8MBあるから、気軽にあつかえるサイズではない)、RAWが欲しいとなると大変なことになる。RAWが凶悪なのである。
普通のRAWが約14MB(公称値)であるのに対して、ハイレゾショットのRAWは、実に100MBを超える。もしかしたら、8回の露光の分をまるごとパッケージングしているんではなかろうか。ニコンのD810だって、14bitのロスレス圧縮RAWなら約40.7MBMB(こちらも公称値である)。相当な覚悟がないと、使いつづけるのはしんどいだろう。
この凶悪なサイズの64M RAWを現像するには、オリンパスから提供されているPhotoshop用プラグインを利用する。純正現像ソフトのOLYMPUS Viewer 3は、同時に生成されるORIファイル(8回露光の1回目だけを抜き出して保存した1,600万画素のRAW画像である)の現像はできるが、ハイレゾの64M RAWには対応してない。もしくは、カメラ内での現像となる。この場合、保存できるのは4,000万画素のJPEGで、6,400万画素で仕上げたければ、現状ではPhotoshopに頼るしかない。
手順としては、ハイレゾ用のプラグインをインストールしてPhotoshop(CS5以降の64bit版)の「ファイル」メニュー→「読み込み」→「High Res Shot Raw File Plug-in」を選び、現像したい画像を選択。必要に応じてパラメーターをいじって「現像」ボタンをクリックする。
速いマシンならちょっとだけ、そうでないマシンならそれなりに待たされたあと、9,216×6,912ピクセル(約6,370万画素)の画像が開く。あとは、好みに合わせてほどよく調整して、用途に見合ったファイル形式で保存すればいい。
仕上がりは、とても見ごたえがある。細かく見ると、もうちょっとキレが欲しいと思える部分もなくはないが、初めて1,000万画素の画像を見たときのような感動を覚える(ピクセル等倍で見て、うわ、こんなのまで写ってる!みたいな感じ)。
聞くところによると、生成できる画素数は6,400万画素になるが、ちょうどいいのが4,000万画素なのだそうな。だから、JPEGが4,000万画素なのであるらしい。
試しに64M RAWから現像した画像を40M JPEG(7,296×5,472ピクセル)に縮小したのと、いわゆる撮って出しの40M JPEGを見比べると、ほんのちょっぴりだが、64M RAWから現像したもののほうが少しだけいいような気がするのだ。といっても、気がするレベルの違いなので、4,000万画素というのがちょうどいい画素数なのだろう。そんな感じがする。
ついでに、64M RAWから現像した画像を50%縮小して、それを撮って出しのJPEGと見比べてみる、というのもやってみた。画素数はどちらも4,608×3,456ピクセルなので、ハイレゾショットをやったかどうかの違いだけを見ることができるのだが、これがなかなかにおもしろい。
ハイレゾショットのほうが、解像感がぐっと上がって、まるでワンランク上のレンズに買い替えたかのような写りになってくれる。それと、連写合成がノイズリダクションと同じ効果を発揮してくれているのか、ノイズも少なくなっている。すごくきれいで気持ちがいい。
普通に撮ったのとハイレゾショットで撮ったのを見比べてみる。撮って出しの40M JPEGと64M RAWから現像したもの、それから、現像したのを4,000万画素、1,600万画素にリサイズしたものも掲載する。いろいろ見比べてみていただきたい。
つまるところ、E-M5 Mark IIのハイレゾショットは、レンズの性能をめいっぱい引き出すためのものではなく、レンズの性能を引き上げたのと同じ効果が得られる技術なのだなぁ、という印象。なるほどなぁ、という感じである。