オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー

一枚の写真に豊かな階調と惹き込まれるようなボケを宿らせる…市ノ川倫子さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/2,500秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

オリンパスPROレンズをお使いの写真家にお話をうかがう連載「オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー」。

今回は市ノ川倫子さんに、作品のこと、撮影のこと、そして「M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO」について語ってもらいました。

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市ノ川倫子
いちのかわ ともこ
カメラに搭載されている「多重露出」の機能を使って、遠い昔に見た絵本の中の1ページのような、かつて見た夢の景色のような幻想的な風景を描くように作品を撮りためている。2018年オリンパスプラザ東京にて個展「utopia」、「Symphony」開催。2019年ZOOMS JAPAN ファイナリスト


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現在の活動と写真家になったきっかけを教えてください

幼いころから絵を書いたり、空想のお話を作ったりするのが好きでした。以前は自分の想像の世界を手で描くことで表現していましたが、同じことがカメラという機械を通して写真でも出来るということを知ってから、自分の世界を写真で表現することに夢中になっています。

現在、平日は会社員として勤務しながら休日の時間を使って作品を撮りためており、個展やグループ展にて作品を発表しています。

ターニングポイントは自分の中にある世界を、私は写真を通して表現すると決めた時。

昨年、オリンパスプラザ東京にて初の個展「utopia」を開催しました。自分が思っていた以上に大きな反響を頂き、お客様がご自身の時間を使って足を運んでわざわざ私の作品を見に来て下さる――、そのことに対して自分は表現者としてきちんと責任を負っていかなくてはいけないのだ、と感じた時に「写真家」と名乗ることに対しての覚悟が決まったと思います。

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/2,000秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

影響を受けた写真家、写真集は?

写真を始めたばかりのころから教室に通っている写真家の山本まりこ先生からは写真表現はもちろんのこと、写真に対する向き合い方、姿勢などいろいろなことを教えて頂きました。近くで学ばせて頂いたことは自分の中で写真活動をする上での大きな指針となっています。

影響を受けた本は、厳密には写真集ではないのかもしれませんが「Dior, les parfums」。

本を書いたのは、アメリカのミュージアム・オブ・アーツ・アンド・デザインで香り部門のキュレーターを務め、またジャーナリストでもあるチャンドラー・バールです。

題名の通り、メゾンブランドDiorの象徴となるフレグランスが各時代ごとに当時の広告やクチュールドレスと一緒に紹介されていて、ページをめくるたびにかぐわしい香りが漂ってくるよう。Diorのクリエーションにアートは必須だったと感じられます。

添えられている写真と言葉が本当に美しく、いつまでも眺めていたくなる一冊です。ファッションも、アートも大好きな私にとって宝物のような本です。

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/1,250秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

市ノ川さん独自の幻想的な表現はどのように作られるのですか?

絵画の鑑賞が好きで、特に西洋絵画からインスピレーションを受けることも多いです。

ゴシックからルネッサンス、バロック・ロココを経て新古典主義、ロマン主義……、そして写実主義を経て印象派、象徴主義と時代に合わせて変化していく表現を見ているだけで、人の手が作り出すものの強さ、想像力の可能性を感じます。

特に印象派の作品が好きなのですが、絵画のような表現を写真を重ねることでできないかと思い、撮りはじめたのが現在発表している多重露出の作品達です。

昨年あたりから東洋絵画にも興味が出てきています。

調べていくと西洋絵画と東洋絵画は実は互いに影響を与え合って新しい表現を生み出している、密接にかかわりあっているんですね。

印象派の巨匠、モネやゴッホが浮世絵を模写した作品を残していたりするのも有名ですよね。浮世絵や琳派のような表現が写真でもできたら面白いな、と感じています。

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/1,000秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

多重露出で作品を作るコツを教えてください

写真を重ねあわせることによって生み出される、幻想的な新しい世界。多重ならではの写真は楽しいですよね。

最初のうちはいろいろ重ねたり、色々な想像力を働かせてチャレンジすることで好きな組み合わせや上手くいくパターンが見えてくるかと思います。

失敗を恐れず、気になったものを撮り、重ねあわせていろいろ試してみましょう!

テクニカル的な面で言うと、多重露出のポイントは光と影。

重なり合う部分の中で自分がどこを表現したいのかを意識すると出来上がった像が想像しやすいかと思います。

また、インパクトを重視するのではなく、仕上がった時に一枚の絵として自然に見えるように心がけながら作品づくりをしています。

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/8,000秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROを使っての印象は?

今までに使ったどの単焦点よりも描写力・解像度が群を抜いて美しく、ファインダーからのぞいた時に見える絵にあっという間に虜になってしまいました。

また、35mm判換算で90mm相当の画角は被写体によっては撮れる構図が限られてしまうかも……、と感じることもあるかと思いますが、そのような場面にこそ自分ならではの視点で他の人がまだ見ていない世界を捉えることが出来るチャンスだと思っています。

このレンズとならもう一つ上の表現の扉を開けることが可能なのでは、そう思わせてくれる魅力的なレンズです。

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/1,600秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

市ノ川さんの作品制作とOM-D E-M1 Mark IIの相性は?

晴れの日には晴れの日の美しさを、雨の日には雨の日の美しさを。

防塵・防滴機能の付いたOM-D E-M1 MarkⅡなら、どのような天候でもその瞬間の美しさを切り取りたい私の作品制作を助けてくれる、心強い相棒です。

他にもグリップ部分が握りやすく、女性の手でもホールドしやすい。

シャッター音も軽くて耳に心地よい、ボタン操作もサクサクと、細かいところも使い勝手が良くてお気に入りです。

撮影:市ノ川倫子
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO / 45mm / マニュアル露出(F1.2、1/1,250秒) / ISO LOW(ISO 64相当)

告知などあればぜひ!

現在、綱島のカフェ、POINTWEATHERにて写真展「utopia」を開催中です。昨年オリンパスプラザ東京にて開催した個展のアンコール展になります。プリントしたシリーズとしては初めての展示、「BREATH」も同会場にてご覧いただけます。

展示会場となるカフェの雰囲気に合わせて構成を変えていますので、昨年ご覧になった方も、初めての方にも楽しんでいただけるかと思います。CP+2019が開催されている横浜からも近いので、この機会にぜひお立ち寄りください。

展覧会名

utopia

会場

POINTWEATHER
横浜市港北区綱島西1-14-18

開催期間

2019年3月3日(日)まで
2月25日(月)は定休日

営業時間

11時30分~21時00分

デジタルカメラマガジンにも市ノ川倫子さんが登場!

デジタルカメラマガジン2019年3月号の連載「PRO's SIGHT—PROが見た風景—」には、市ノ川倫子さんによるM.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PROの解説が掲載されています。あわせてご覧ください。

制作協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部