オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー

大自然に身を置くことで、自分の中の常識や概念が変化する…佐藤大史さん

OLYMPUS M.ZUIKO PROレンズ特別編

深夜3時、カリブーの群れに出合った。6月のこの時期、太陽が沈むのはわずかの間だが、空がほの紅く染まっていた。
E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO / 150mm(300mm相当) / 絞り優先AE(F5.0・1/1,250秒・+0.3EV) / ISO 200

オリンパスPROレンズをお使いの写真家にお話をうかがう連載「オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー」。

今回はアラスカの雄大な自然を写真に収める佐藤大史さんに、作品のこと、撮影のことを語ってもらいました。佐藤さんが撮影で愛用するM.ZUIKO PROレンズについても、使い所や特徴などを聞いています。

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佐藤大史
さとう だいし
1985年生まれ。東京都町田市出身、長野県安曇野市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業後、写真家・白川義員氏の助手を務める。独立後、悠久の時の流れを伝えるため手つかずの大自然の撮影に挑んでいる。2019年10月12〜20日、長野県安曇野市の豊科近代美術館にて超大型プリント展を開催予定。


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現在の活動と写真家になったきっかけは?

自然写真家になることの難しさは学生時分から十分感じていました。それでもこの美しい世界を伝えたい、我々の属している世界を伝える機会を少しでも増やしたい、と感じることが多く、ライフワークとして取り組んでいこう、と20歳台半ばに覚悟を決めたのが写真家となる最終的なきっかけです。

そして、ここ数年はアラスカをテーマにしており、1年のうち数カ月は遠征に行き、写真展や新聞やWebページの連載などで発信しております。10月には長野県の安曇野で大型プリント展も控えています。

今後は、日本と、アフリカや南極などの撮影も本格的に取り組んでいきたいと考えています。

外の様子をうかがっているホッキョクジリス。決定的な瞬間を確実に捉えられるE-M1 Mark IIのプロキャプチャーモードを 使って、ホッキョクジリスが鳴く瞬間を狙った。
M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO / 300mm(600mm相当) / 絞り優先AE(F6.3、1/640秒、-0.3EV) / ISO 200

影響を受けた写真家、写真集など。

写真集や写真展を見ると少なからず何かしらのインスピレーションを受けることが多いですが、特に先日みた鈴木理策先生の展示は10回以上周ってしまうくらい見惚れ、とても勉強になりました。写真集では、友人の佐藤岳彦さんの「密怪生命」はふつふつと迫る命の迫力を感じました。

アラスカで動物を撮る魅力とは。

アラスカは広大です。日本では、この山の向こうは○○町、などと想像がつきますが、アラスカでは谷を越え、尾根を何本越えてもずっとずっと何もない原野、という空間が広がっています。

いままでの経験から、概ねこのあたりにはこんな生き物がいる、こんな風景が広がっている、となんとなく地図上で想像できても、いざ原野に入ると想像を超えることばかり。思わぬタイミングで生き物と出会ったり、地図にない川があったり、登れると思っていた斜面が崩落していたり、避けようのないエリアで雷雲に包まれたり……そんな体験を経て、想像を超えるシーンに出会うと、我々の日常とは違い大きなタイムスケールで動いているものを感じ、そしてそれを私の人生を懸けて伝えていきたい、と強く思えるのです。

私の中にある常識や概念をいつの間にか新しくしてくれることが生き物たちとの邂逅の魅力です。

子どもの表情を撮るべくグリズリーの親子を数日間追う。距離感を保つため、できるだけ軽装にする必要があり、機材を決め打ちして撮影に挑んだ。
E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO / 300mm(600mm相当) / 絞り優先AE(F6.3・1/640秒・-0.3EV) / ISO 200

M.ZUIKO PROレンズ全般についてどのような印象がありますか?

M.ZUIKO PROレンズはまさに自分のスタイルにぴったりだと思っています。風雨の中でも使えてしまう防塵防滴性能はもちろんですが、最近は気温差に強いことに驚きました。夏のアラスカでは(緯度によりますが)暑いくらい晴れていたかと思うと雪になることもありますから。

一時期、35mm判フルサイズのシステムを使っていたこともありますが、特に望遠レンズではレンズ内部がその気温差に耐えきれず曇ってしまうことがあり、大事なシーンで涙をのんだことがありました。M.ZUIKO PROレンズももちろん完璧ではありませんが、気温差にもかなり強く、助けられています。

機材を信頼しきっていないと撮影に集中できないような、緊迫したシーンが多いスタイルの人にはどんどんおすすめしています。

数日かけて狙いの山脈の奥まで歩く。数万年や数億年の時間の流れを感じさせる悠久の世界の夜空にオーロラと満月が彩っていた。
E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 7mm(14mm相当) / 絞り優先AE(F2.8・8秒・+2.31.7EV) / ISO 1000

お使いのM.ZUIKO PROレンズについて、それぞれの役割・使い道などお願いします。

M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

35mm判換算14mm相当からの広角ズームレンズで、絞り開放で撮っても周辺からシャープ、そしてちょっとしたマクロ撮影もできてしまう欲張りなレンズです。星やオーロラを撮る際に重宝するレンズなのですが、ゴーストやフレアも出にくく、満月とオーロラを合わせて撮っても世界観をそのままに表現できます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO

風景と、その中に生きる生き物を同時に撮るには最高のレンズです。どの領域でもシャープで、私のお気に入りは40mmのワイド端周辺ですが、そこから背景を圧縮したいときに徐々に伸ばしていき、1枚の中の情報量をコントロールします。被写体と距離がある時には1.4xテレコンバーターをつけることでさらに背景と情報を絞り込むことができます。

M.ZUIKO DIGITAL ED 300mm F4.0 IS PRO

35mm判換算で600mm相当の望遠レンズです。川や崖を挟んでいて被写体に近づけないときや、被写体が小さなとき、また出来るだけ画面を圧縮したいときに使用します。ちょっとした集中力が必要ですが、E-M1Xのボディと合わせ、手持ちで1/8秒でブレなかったことには感動しました。

告知などあればぜひ!

長野県の安曇野市豊科近代美術館にて、大型プリント展を行います。会期は10月12日〜20日。詳細はホームページにて。また、アウトドア専門誌「BE-PAL」でWeb連載中です。

デジカメ Watch編集部