オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー

写真とは気づくための行為。それを“間”におさめて表現するもの…西岡潔さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 100mm相当 / マニュアル露出(F4・1/100秒) / ISO 400

オリンパスPROレンズをお使いの写真家にお話をうかがう連載「オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー」。

今回は西岡潔さんに、作品のこと、撮影のこと、そして「M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO」について語ってもらいました。

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西岡潔
にしおか きよし
1976年、大阪府生まれ。1998〜2000年にアジアを遍歴したのち写真家へ。2015年から東京と東吉野村との二拠点生活をはじめ、現在は東吉野村へ完全移住している。ランドスケープ、建築、人物撮影を得意とし、書籍、月刊誌、コマーシャルと幅広く活動。


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写真家になったきっかけは?

20代前半の頃ファッションデザイナーを志し、ヨーロッパを巡った後デザインの背景や文脈を体感するためにオーストラリアやアジアを2年間遍歴し、出会ったさまざまなものを写真におさめていました。

帰国後、自分がやりたい表現を服飾の商業デザインにどう反映するか、という難しさも感じていた中、大阪でばったり同級生に会いました。その同級生に遍歴中の写真を見せると、自分のお店で写真展をしないかと声をかけてもらえ、初めて展示をしました。

その時、見に来てくれた人から、写真について感じたことを伝えてもらえたり、感動したと写真を購入してくれたりと、今まで考えていたことや感じていたことが伝わった気持ちになりました。服飾で表現しなくても写真でも伝わることを知って、そこで写真表現の可能性を見出したのがきっかけです。

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 54mm相当 / マニュアル露出(F8.0・1/640秒) / ISO 200

影響を受けた写真家、写真集など

自分の知らなかった感覚や、自分の中に埋もれていた何かを作品から知ることができた写真家たちを挙げると、自然の持っている深さや美しさをモノクロームの階調の中に落とし込んで見せてくれたアンセル・アダムス。不安や怖さ、写真そのものには写らない被写体の背景にまで思考が及び、写真に引き込まれたダイアンアーバス。美を教えてくれたロバート・メープルソープ……、といったところです。また、マイケル・ケンナのHOKKAIDOからは、シンプル化された日本の美を再確認しました。

杉本博司さんの作品「ジオラマ」「劇場」「海景」には、写真表現の奥深さを教えてもらいました。アメリカ自然史博物館のジオラマ展示を撮影した「ジオラマ」では、写真で見るかぎり実際その場所にいて撮影されたかのような錯覚に陥り、視覚がもたらすものを考えさせらます。アメリカ自然史博物館のジオラマを自身の目で見てみたくて、わざわざ見に行ったこともあります。

写真は見えているものが全てではなく、それらの背景や向き合い方が大きく影響し、鑑賞した人に訴えかけることの出来る媒体だと知り、自分も鑑賞者に訴えかけられるような写真が撮れるようになりたいと思うようになりました。

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 100mm相当 / マニュアル露出(F8.0・1/200秒) / ISO 200

吉野への移住、地方で暮らすことについて

移動に時間はかかるけれど、そのぶん出会える風景がありました。

情報が多く、流れの速い場所から、ゆったりとした自然の流れを感じやすく、生活の中にうつろいを感じやすい環境に身を置くことを目的に、神話や歴史の舞台が数多く残る奈良、そして醸しだされるそうした雰囲気を持つ吉野を選び、住み始めました。

日常の暮らしの中にあるうつろい、移動中の風景。そういったその時だけの風景は、住んでいて一番大事な「そこに今居る」ということを認識し、撮れるものでした。

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 12mm相当 / マニュアル露出(F2.8・1/4,000秒) / ISO 200

西岡さんにとっての写真とは

私にとって写真は気づくための行為で、そして気づいたものをフレーム(間)におさめて表現するものです。それは表面的に気づくこともあれば内面的に気づくこともあり、物事の背景でもあったりします。それらを光と時間を用いて写真にするわけです。

写真は記録や表面上の物を写すことに特化したものですが、その中に関わりや背景、内面をも読み取ることが出来る媒体です。表面的な表現であっても出来るかぎり背景や内面を読み取れるような写真・構成になるように気をつけています。

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 12mm相当 / マニュアル露出(F8.0・1/100秒) / ISO 400

オリンパスのマイクロフォーサーズシステムについて思うこと

コンパクトに収まるというのが一番の利点だと思います。山や旅に行く時にはカメラ以外にもいろんなものを持っていかなくてはならないので、出来るかぎりコンパクトで操作性の良いものの方がアドバンテージが高く、過酷な条件でもストレスが軽減し、ひいては安全にもつながってきます。

そして、高いクオリティーの写真が撮れるということも重要です。

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 100mm相当 / マニュアル露出(F4.0・1/1,000秒) / ISO 200

M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROを使った印象は?

このレンズ1本で、私が普段撮っているものがほぼ撮れてしまいました。

レンズの焦点全域にわたってピント面はシャープ。ボケ味も自然です。暗い森の中や望遠での撮影では、ボディー内手ぶれ補正機能と相まって、約6.5段分の補正効果がとても心強く感じられました。

一番驚いたのがワイド側での15cmの最短撮影距離です。ここまで寄れて撮れる世界は日常で見ている世界とはかけ離れており、新たな表現が広がりました。撮る醍醐味が味わえるレンズです。

撮影:西岡潔
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO / 12mm相当 / マニュアル露出(F4.0・1/50秒) / ISO 200

デジタルカメラマガジンにも西岡潔さんが登場!

デジタルカメラマガジン2019年1月号の連載「PRO's SIGHT—PROが見た風景—」には、西岡潔さんによるM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROの解説が掲載されています。あわせてご覧ください。

制作協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部