オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー

撮りたい画角からの追い込みでズームを使う…郡川正次さん

M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 7mm(35mm判換算14mm) / 絞り優先AE(F6.7・1/1,000秒・±0EV) / ISO 400

オリンパスPROレンズをお使いの写真家にお話をうかがう連載「オリンパスPROレンズ 写真家インタビュー」。

今回は郡川正次さんに、作品のこと、撮影のこと、そして「M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」について語ってもらいました。

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郡川正次
こおりかわ まさつぐ
1946年、奈良市生まれ。
日大芸術学部写真学科中退。写真家助手を経てフリー。
2013年、写真展「土地の記憶、時の名残り」(オリンパスギャラリー東京)
2014年、写真展「二つの町 木更津・富士」(コニカミノルタプラザ)
2015年、写真展「対岸/東京湾を挟んで」(オリンパスギャラリー東京)


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写真家になったきっかけは?

事の成り行きで日本大学の写真学科に入ってしまったのがきっかけです。そこで写真に情熱を燃やす幾多の仲間に出会い、刺激を受けました。

そのころはウイリアム・クライン、ロバート・フランク、ファッション分野ではリチャード・アヴェドンなんかの全盛時代で、僕を含めて周りの皆はクラインにあこがれて粒子の荒れた写真を作るためフィルムの高温現像に血道を上げていました。でもまあ、形だけ真似したってダメなんですけどね。

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 7mm(35mm判換算14mm) / 絞り優先AE(F2.8・1/4,000秒・±0EV) / ISO 200

影響を受けた写真家、写真シリーズなど。

それではあまり一般的ではないところを挙げて見ましょう。深瀬昌久『洋子』、柳沢信『北風』、高梨豊『東京人』、立木義浩『舌だし天使』です。

深瀬さんの作品をのぞいて、すべてカメラ雑誌に掲載されたものだったと思います。立木さんの作品はヌーベルバーグ時代のゴダールの映画を見ているようで、今でも大好きです。そして柳沢信さん。ぼくはいつも柳沢さんのようにしなやかに被写体に接してかっこいい写真が撮れたらと思っています。ここに挙げた名匠たちの域に到達するのは難しいけれど、目標とすることで自分自身のモチベーションが高まります。これらの作品はなかなか目にすることができないのですが、興味のある方は探してみてください。

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 14mm(35mm判換算28mm) / 絞り優先AE(F2.8・1/4,000秒・±0EV) / ISO 400

どのような考えをもってスナップ撮影に臨まれるのでしょうか

スナップの名手と言われた写真家は沢山いました。一番有名なのは決定的瞬間のアンリ・カルティエ・ブレッソン。日本でいえば木村伊兵衛さんでしょうか。スナップはよく居合切りに例えられました。すれ違いざまの刀の一閃で相手は倒れている。ぼくの場合はそれほどのことはとてもできないので、もっとタラッとやっています。それでも写真を撮ろうとしている時は周りに起こるどんな事象も見逃さないよう緊張しています。だからこれでも結構疲れるんです。写真を撮ることの根源は、撮影者が何を見るかです。

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 14mm(35mm判換算28mm) / 絞り優先AE(F4.0・1/350秒・±0EV) / ISO 400

スナップ撮影の機材で大事なこととは?

撮影者が自分自身で見たものの中から何を拾い出すか、この段階で初めてカメラが介在してきます。

スナップ撮影では機材の選び方というのはとても重要なファクターです。本音を言えば瞬きだけでシャッターが切れて写真が撮れればいいんですが、そんなわけにはいかないので、なるべく目立たないで自分の体の一部のように動いてくれる、そんなカメラが望ましいのです。

その点、OMシリーズはコンパクトで相手に威圧感を与えないので、スナップ撮影では理想形と言っていいカメラだと思います。

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 10mm(35mm判換算20mm) / 絞り優先AE(F5.6・1/750秒・±0EV) / ISO 400

M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROの印象は?

このレンズは35ミリ判換算で14-28mmにあたる超広角ズームレンズなのですが、超広角にありがちな倍率色収差や歪曲収差が全く感じられないレンズです。OLYMPUS OM-D E-M1 Mark IIのレンズ補正機能が良く働いているのだと思うのですが、結果として非常に秀逸な画像が得られる。使えばわかるんだけれど、ヌケが良くて本当に気持ちがいい写真が撮れます。また防塵防滴構造を採用しているので、野外で少々乱暴に扱ってしまう身としては安心感があります。

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 14mm(35mm判換算28mm) / 絞り優先AE(F5.6・1/1500秒・±0EV) / ISO 500

広角ズームレンズでの撮影のコツを教えてください。

ズームレンズは便利ではあるけれど、使い方に節度も必要です。M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROにしても対象物に接したとき、7mmで撮るか14mmで撮るかを決められなくて、ズームリングをグリグリ回しているのではだめで、これを撮ると決めた時には、それを何mmで撮るか一瞬で決められるように訓練を積むべきでしょう。それが出来たうえでワイド側なら7mmから10mmくらいの間でズームリングを回して画像の変化を読み取るようにするといいと思います。

撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 7mm(35mm判換算14mm) / 絞り優先AE(F5.6・1/3,000秒・±0EV) / ISO 200
撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 14mm(35mm判換算28mm) / 絞り優先AE(F5.6・1/750秒・±0EV) / ISO 400
撮影:郡川正次
OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II / M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO / 10mm(35mm判換算20mm) / 絞り優先AE(F5.6・1/750秒・±0EV) / ISO 200

告知などがあればぜひ!

ここ数年にわたって川崎の工業地帯とか東京湾岸とか、都会とその周辺部ばかりを撮ってきました。それに飽きたわけではないのですが、このところ地方の町と、そこの暮らしに興味を覚え、ちょっと撮ってみたくなってきました。うまくまとめることができたら皆さんに見てもらう機会を作りたいと思っています。でもいつになることやら……。

デジタルカメラマガジンにも郡川正次さんが登場!

デジタルカメラマガジン2018年12月号の連載「PRO's SIGHT—PROが見た風景—」には、郡川正次さんによるM.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PROの解説が掲載されています。あわせてご覧ください。

制作協力:オリンパス株式会社

デジカメ Watch編集部