岡嶋和幸の「あとで買う」

378点目:スライドするだけで用紙をパンチングできる

カール事務器「グリッサー」

ネットショップのカートの中にある「あとで買う」には、様子見をしているなど気になるアイテムが沢山あります。この連載では、撮影や写真関連のアイテムを中心にその中身をお届けします。購入前の製品については使った感想や評価はありませんが、どのような物に興味を持ち、どのような視点で選んでいるのかなど、日々の物欲をお楽しみください。

カール事務器「グリッサー」

ポートフォリオを作る際、一般的なブック式はリフィルと呼ばれる透明シートにプリントを入れるため、半光沢紙もマット紙もすべて光沢紙と同じような見え方になってしまいます。プリントや用紙へのこだわりが伝わりづらくなるため、私は221点目で紹介した用紙メーカーのアルバムキットを利用したり、製本キットでプリントを綴じたりしています。でもそれらは後から順番を変えたり、写真を入れ替えることができません。

柔軟性を求めるのならバインダーを利用する方法がおすすめです。プリントに穴を開けることになりますが、両面印刷に対応した写真用紙やファインアート紙が複数あるので、作品にあった見せ方ができます。デジタルカメラマガジンのプリント連載を1冊にまとめたムック「プリントすると写真が上手くなる」で作り方を紹介していますが、そこでも登場しているのがこの製品です。A4の30穴専用の「GSP-30」の販売価格は6,500円前後です。

用紙を差し込んでスライダーを動かすだけと操作は簡単で、スライドさせたときの「ガー!」っという音と感触は気持ち良いです。穴あけ枚数は約0.09mmのPC用紙で5枚、穿孔能力は0.45mmとなっていて、厚手のファインアート紙でも問題なく使えます。用紙をセットした際に少し余裕があるので、左右のどちらかに寄せることで穴の位置がぴったり一致。ファイリングしたときにすべてのプリントがきれいに揃います。

2018年にエプサイト企画展「プリント解体新書」に参加させていただいたときにも、この製品を使用して制作したポートフォリオを展示しました。そのときはマルマンのルーズリーフバインダーを選びました。ライトブルーの色合いが気に入ったのと、見た目も質感も安っぽくなくて良かったです。写真整理用品に限定されず、幅広い製品から選べる点もプリントに穴を開けてファイリングするおすすめポイントです。

1967年、福岡県生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「風と土」(インプレス)など、著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」(富士フイルムフォトサロン)、「潮彩」(ペンタックスフォーラム)、「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」(キヤノンギャラリー)、「九十九里」(エプソンイメージングギャラリー エプサイト)、「風と土」(ソニーイメージングギャラリー)、「海のほとり」(エプサイトギャラリー)などがある。