写真家が教える とっておきの「花火大会」

7月30日(日)〜8月7日(月)開催の“とっておき”花火大会4選

豊田おいでんまつり花火大会/長岡まつり花火大会/いたばし花火大会/神明の花火

左:FUJIFILM X-T3、中央:SONY Xperia PRO-I、右:OLYMPUS PEN-F。スマートフォンでも撮っているがミラーレスカメラの方が快適に操作でき撮影が楽しい

約3年もの間、全国各地の花火大会がコロナ禍のもと相次ぎ中止されました。夏の風物詩の代表格、そして撮影ジャンルとしても人気の打ち上げ花火が撮れないとあって、さみしい思いをしていた読者も多かったと想像します。

そんな花火大会が、今年の夏からいよいよ本格的に戻ってきます。

ということでこの連載では、コロナ禍前から全国各地の花火大会を撮り歩く金武 武(かねたけたけし)さんに、「写真に収めたい」を切り口に、花火大会をピックアップしてもらいました。

お住まいの近くの大会に出向くのも良し、足をのばして遠征するのも良し。開催日の近い大会から紹介していきます。(編集部)

豊田おいでんまつり花火大会(愛知県)

東海地方の煙火店数社が参加し多彩な演出で楽しませてくれる。

単発打上花火、スターマイン、ワイドスターマイン、ナイアガラ、手筒花火、枠仕掛花火と内容は豊富。エンディングのワイドスターマインは美しさと迫力で圧倒される。毎年通いたくなる花火大会のひとつだ。

カメラマン席はあるが発売開始直後に売り切れてしまう。


小さな花火が一斉に開花する千輪菊花火。下に写っているのは豊田スタジアム(撮影:金武 武)
D7500/AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR/30mm(45mm相当)/マニュアル露出(11秒、F8.0)/ISO 100
間近で開く花火を超広角で撮ると歪んで写ってしまう。写っている花火は不思議な色の変化をする時差式花火だったため、より一層不思議さが増した(撮影:金武 武)
α7 III/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/17mm/マニュアル露出(8.0秒、F5.6)/ISO 100


長岡まつり花火大会(新潟県)

英霊のために打ち上げる「白菊三発」から開始され、幅2kmのワイドスターマイン「震災復興祈願花火フェニックス」など、何のために、誰のために打上げているのかが分かると胸が熱くなる。それ以外のプログラムでも美しい玉をバランスよく大量に打ち合げてくれるので、感動は間違いない。

2日間ほとんど同じ花火のプログラムなので、1日目を試し撮り、2日目を本番の撮影という予定が組める。


芯入青牡丹花火ワイドスターマインの色彩を見た目に近い色で撮るために、色温度設定3200Kで撮っている
α7 III/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/23mm/マニュアル露出(9.0秒、F11)/ISO 100
幅2kmのワイドスターマイン「震災復興祈願花火フェニックス」のエンディング。錦冠菊花火の中に鳥型のフェニックスが写っている。ワイド感を出すために16:9にトリミングした(撮影:金武 武)
X-T3/XF10-24mmF4 R OIS/13.2mm(20mm)/マニュアル露出(29.0秒、F16)/ISO 160


いたばし花火大会(東京都)

四号玉、八号玉、有名花火師の尺玉。都内では最大サイズの「尺五寸(15号玉)」が用意される。

会場は荒川。対岸の戸田橋花火大会も同時に開催される。ふたつの大会の花火を合わせると1万3,000発にもなる。

従来は開始早々にトラ花火や噴出花火を盛大に使用したスターマインで観客を圧倒させていた。4年ぶりの開催となりどんな演出が用意されているのか楽しみだ。OMDSの主催で撮影会が計画されている。

開催日:8月5日(土)
公式情報:いたばし花火2023


オープニングのスターマイン。低空の噴出花火とトラ花火の打上から始まり、牡丹花火と花雷、そして上空では尺五寸玉が開花する。今年はどんな打上演出になるのか楽しみだ(撮影:金武 武)
PEN-F/M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO/7mm(14mm相当)/マニュアル露出(0.5秒、F13)/ISO 200
五色の牡丹花火とトラ花火が幾重にも重なるスターマイン。トラ花火が多いのはこの大会の特徴だ(撮影:金武 武)
PEN-F/M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO/8mm(16mm相当)/マニュアル露出(0.5秒、F14)/ISO 200


神明の花火(山梨県)

「聖礼花」「グラデェーション」など匠の技の玉が盛大に打ち上がる貴重な花火大会。

色の美しさは神明の花火の最大の魅力だ。近年では二尺玉の数が増え大迫力も楽しめる。

煙火店の名前を伏せて行うミニ競技は公平で良い試みだ。

地元煙火店数社と実行委員会の努力により他では真似できない感動の大会に進化している。

開催日:8月7日(月)
公式情報:神明の花火トップページ|市川三郷町


打上場所は観覧席の直ぐ目の前だ。ワイドスターマインを撮るならば、フルサイズ換算14mm相当のレンズが欲しくなる(撮影:金武 武)
α7 III/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/17mm/マニュアル露出(4.0秒、F13)/ISO 100
低空の噴出花火は上空の花火に比べてたいへん明るい。ハーフNDフィルターで露出オーバーにならないようにしている。ハーフNDフィルターを使うならハードかリバースが良い(撮影:金武 武)
X-T3/XF10-24mmF4 R OIS/10mm(15mm相当)/マニュアル露出(32.0秒、F20)/ISO 160


注意!!

数年ぶりに再開される花火大会が多く、会場の様子が変わっていることが予測される。観覧席の様子と料金、カメラマン席の有無、無料で観覧できる場所があるかどうかなど事前に調べてから足を運びましょう。

1963年、神奈川県生まれ。日本各地の花火を独自の手法で撮り続けている。おもちゃ花火と打上花火を組み合わせた撮影会を企画実施している。 花火打上従事者の資格を取得。