写真家が教える とっておきの「花火大会」

7月21日(土)〜7月29日(土)開催の“とっておき”花火大会4選

豊橋祇園祭/隅田川花火大会/おのみち住吉花火/ふくろい遠州の花火

暴風雨の中で開催された「ふくろい遠州の花火」で撮影。右から左に吹く風のため、花火が横に流れている(撮影:金武 武)
D600/AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED/28mm/マニュアル露出(3.5秒、F9.5)/ISO 100

約3年もの間、全国各地の花火大会がコロナ禍のもと相次ぎ中止されました。夏の風物詩の代表格、そして撮影ジャンルとしても人気の打ち上げ花火が撮れないとあって、さみしい思いをしていた読者も多かったと想像します。

そんな花火大会が、今年の夏からいよいよ本格的に戻ってきます。

ということでこの連載では、コロナ禍前から全国各地の花火大会を撮り歩く金武 武(かねたけたけし)さんに、「写真に収めたい」を切り口に、花火大会をピックアップしてもらいました。

お住まいの近くの大会に出向くのも良し、足をのばして遠征するのも良し。開催日の近い大会から紹介していきます。(編集部)

豊橋祇園祭(愛知県)

初日に手筒花火、翌日は打上花火、最終日に頼朝行列と見応えある行事が連日続く。

手筒花火は吉田神社で450年以上も伝承されている古典花火。1m弱の竹筒に縄を巻き中に火薬を詰める。点火するとオレンジ色の和火が噴出す。数十秒間後に「ズドンッ」とハネる。手筒を行うのは花火師ではなくこの地に生まれた男達が代々継承している。シンプルな花火だが何度見ても感動する。


OMシステムのプロキャプチャーモードは手筒花火のハネの瞬間を撮るのに最適だ(撮影:金武 武)
OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO/110mm(220mm相当)/マニュアル露出(1/125秒、F6.3)/ISO 800
手筒花火発祥の地である吉田神社以外にも、4~10月にかけて豊橋市や豊川市の各地の神社で手筒花火が行われる(撮影:金武 武)
OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F2.8 PRO/120mm(240mm相当)/マニュアル露出(1/4秒、F11)/ISO 400


隅田川花火大会(東京都)

1733年に日本で初めて開催された打上花火大会。打上場所は2カ所。大きな花火は上がらないが江戸時代の花火を再現した和火花火から最新の変色柳やグラデーション時差式花火まで様々な花火が打ち上がる。

川沿いにはビルが密集しているため有料観覧席に入らないと花火全体を見るのは難しい。花火大会の中で集客人数が最も多い大会のひとつ。

【第1会場】
【第2会場】

和火花火は色も明るさも大人しい花火だ。ISO感度や絞りを調整し露出アンダーにならないようにして撮影した(撮影:金武 武)
D600/AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED/27mm/マニュアル露出(2.4秒、F8.0)/ISO 100
明るい時差式花火を露出オーバーにしないようにISO感度や絞りを調整して撮影した。和火花火も色鮮やかな花火も見た目に近い色で撮るためにはホワイトバランスの調整が必要だ(撮影:金武 武)
α7R/Vario-Tessar T* FE 24-70mm F4 ZA OSS/28mm/マニュアル露出(12秒、F10)/ISO 100


おのみち住吉花火(広島県)

海上に浮かべた台船から花火は打ち上がる。花火開始時は空にはまだ明るさが残っているため、長秒撮影を行うと花火の背景が紺色の空として写る。エンディングに近づくと水中花火と打上花火が同時に開花し華やかさが増す。

尾道駅から歩いて行けるためメイン会場は混雑する。写真は対岸の向島から標準ズームレンズで撮った。離れた場所ならば混雑は少い。天気予報で風の流れを見て風下にならない場所を探そう。

開催日:7月29日(土)
公式情報:公式・おのみち住吉花火まつり(尾道住吉花火祭り)


一定の大きさの花火を打ち上げ続けるので初心者でも撮りやすい(撮影:金武 武)
E-M1 Mark II/M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO/12mm(24mm相当)/マニュアル露出(2.5秒、F8.0)/ISO 200
事前に花火の情報を見て花火のサイズと距離を考慮してレンズを選ぼう(撮影:金武 武)
α7 III/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/30mm/マニュアル露出(35秒、F6.7)/ISO 100


ふくろい遠州の花火(静岡県)

今年から全国花火名人選抜競技コンクールと内容を変更した。競技は1社毎に八号玉2発とスターマインで技を競い合う。

銀冠菊花火を大量に打ち上げる空中ナイアガラと二重の富士山型仕掛けナイアガラや、ジャンボワイドスターマインなど大迫力の演目は残っている。衝撃波が体験できる数少ない花火大会のひとつだ。

開催日:7月29日(土)
公式情報:ふくろい遠州の花火【公式】(静岡県袋井市) 迫力 伝統 大規模花火大会


色鮮やかな花火と大迫力な演出が楽しめる花火大会だ。数年ぶりに開催されるのでアクセスや観覧席の状況を調べてから赴いてほしい(撮影:金武 武)
D600/AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED/32mm/マニュアル露出(4.0秒、F8.0)/ISO 100
ナイアガラは最も明るい花火のひとつ。2秒以上露光すると露出オーバーになる。BULBで1秒半経ったらレンズの前に黒布を被せてナイアガラが終わるまで待つ。ナイアガラが終わったら黒布を外して背景の花火を写す(撮影:金武 武)
D600/AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED/18mm/マニュアル露出(76秒、F13)/ISO 100


注意!!

数年ぶりに再開される花火大会が多く、会場の様子が変わっていることが予測される。観覧席の様子と料金、カメラマン席の有無、無料で観覧できる場所があるかどうかなど事前に調べてから足を運びましょう。

1963年、神奈川県生まれ。日本各地の花火を独自の手法で撮り続けている。おもちゃ花火と打上花火を組み合わせた撮影会を企画実施している。 花火打上従事者の資格を取得。