写真家が教える とっておきの「花火大会」

8月12日(土)〜8月19日(土)開催の“とっておき”花火大会4選

前橋花火大会/諏訪湖祭湖上花火大会/熊野大花火大会/第30回赤川花火記念大会

熊野大花火大会「三尺玉海上自爆」は半円球に広がる水上花火。直径600mにも広がり水中花火としては世界最大級(撮影:金武 武)
D600/SP AF 28-75mm F/2.8 XR Di LD Aspherical [IF] MACRO/52mm/マニュアル露出(12.0秒、F19)/ISO 100

約3年もの間、全国各地の花火大会がコロナ禍のもと相次ぎ中止されました。夏の風物詩の代表格、そして撮影ジャンルとしても人気の打ち上げ花火が撮れないとあって、さみしい思いをしていた読者も多かったと想像します。

そんな花火大会が、今年の夏からいよいよ本格的に戻ってきます。

ということでこの連載では、コロナ禍前から全国各地の花火大会を撮り歩く金武 武(かねたけたけし)さんに、「写真に収めたい」を切り口に、花火大会をピックアップしてもらいました。

お住まいの近くの大会に出向くのも良し、足をのばして遠征するのも良し。開催日の近い大会から紹介していきます。(編集部)

前橋花火大会(群馬県)

単発打上、スターマインが主体だがエンディングでは幅広いワイドスターマインが披露される。広角ズームレンズは必ず持って行こう。

花火は上州花火工房が担当する。“色の変化”がゆっくりな牡丹花火が得意な煙火店。ホワイトバランスは3,200Kで色鮮やかな花火が写る。AUTOや晴天ではパステルカラーが濁ってしまう。

無料観覧席はほぼ無くなっている。充分に計画を立て行動していただきたい


上空で2発開いている花火は「緑芯変化牡丹花火」。花火の色が途中で変わることを「変化」という。この花火は芯が緑、外側の光跡が青から紅(赤)に変化している(撮影:金武 武)
α7 III/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/22mm/マニュアル露出(8.0秒、F13)/ISO 100
エンディングでは必ずワイドスターマインがくることを想定し、事前に構図の調整をしておく。始まってから調整するようでは遅い(撮影:金武 武)
α7 III/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/16mm/マニュアル露出(22.0秒、F13)/ISO 100


諏訪湖祭湖上花火大会(長野県)

前半は煙火店10社の競技が行なわれ匠の技を堪能できる。花火のサイズは統一されているので構図に迷うことは無い。

後半はスターマインが用意されている。音楽とシンクロされているので撮っていても見ていても楽しい。

一般観覧席での三脚の使用は禁止されている。残念だが名物のナイアガラは見送られた。

7月28日(金)から8月27日(日)まで、毎日10分間花火打上を行なっている。


時差式花火、時間差花火、グラデーション花火といわれるタイプの花火。光跡の変化が従来の花火とは違いイルミネーションの様に複雑に変化する。競技大会に行くと一般の花火大会とは違った花火に出会える(撮影:金武 武)
α9/FE 16-35mm F2.8 GM/23mm/マニュアル露出(46.0秒、F5.6)/ISO 100
エンディングの水上ワイドスターマイン「Kiss of Fire」。左右から始まり中央に近づいてくる打上演出。花火が沢山重なり過ぎると露出オーバーになるのでレンズの前を隠したり外したりを繰り返して撮影した。(撮影:金武 武)
D600/AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED/18mm/マニュアル露出(3.53分、F11)/ISO 100


熊野大花火大会(三重県)

初盆供養のための花火として300年以上も継承されている。

世界最大級の水上花火「三尺玉海上自爆」や国定公園鬼ヶ城に玉を置いたまま点火する「鬼ヶ城大仕掛」は地響きと岩場の共鳴音が凄まじい。小さな町なのに長年大迫力の花火を続けている事に驚かされる。花火はそこに行かなければ体験できないエンターテイメントなのだと気付かされる。

アクセスは良いとは言えない。交通手段や宿泊施設など良く調べてから行って欲しい。


小さな花火が一斉に開く千輪菊花火を数発同時に開花させている。打上音を聞いていると開花するタイミングがつかめるので撮りやすい花火(撮影:金武 武)
X-T3/XF10-24mmF4 R OIS/10mm(15mm相当)/マニュアル露出(11.0秒、F7.1)/ISO 200
上空には打ち上げず岩場に置いたまま点火する「鬼ヶ城大仕掛」。振動と岩場の共鳴音が凄まじい。シッカリした三脚が無いと振動でブレてしまう(撮影:金武 武)
X-T3/XF10-24mmF4 R OIS/22mm(33mm相当)/マニュアル露出(8秒、F11)/ISO 200


第30回赤川花火記念大会(山形県)

単発打上、スターマイン、そして赤川花火の魅力は幅700mのワイドスターマインだ。観覧席で見ると夜空全体が花火で埋め尽くされ大迫力。低空の噴出花火と上空の割物花火のバランスが良いので写真に適している花火だと感じる。

噴出花火は明るく白飛びし易いのでハーフNDフィルターがあると良い。

今回は第30回記念大会なのでどんな演出が用意されているのか楽しみだ。


低空の噴出花火は明るいので露出オーバーになりやすい。ハーフNDフィルターハードかリバースで明るさの調整をすると良い(撮影:金武 武)
α7R II/FE 12-24mm F4 G/21mm/マニュアル露出(8.0秒、F5.6)/ISO 100
上空から低空へ順番に開花する和火色柳のワイドスターマイン。和火は大人しい色合いなので、絞りを開けるかNDフィルターを外さないと露出不足になる(撮影:金武 武)
α7R II/FE 12-24mm F4 G/13mm/マニュアル露出(24.0秒、F5.6)/ISO 100


注意!!

数年ぶりに再開される花火大会が多く、会場の様子が変わっていることが予測される。観覧席の様子と料金、カメラマン席の有無、無料で観覧できる場所があるかどうかなど事前に調べてから足を運びましょう。

1963年、神奈川県生まれ。日本各地の花火を独自の手法で撮り続けている。おもちゃ花火と打上花火を組み合わせた撮影会を企画実施している。 花火打上従事者の資格を取得。