写真家が教える とっておきの「花火大会」

その他、この夏開催の“とっておき”花火大会2選

熱海海上花火大会/大曲の花火

2022年山梨県神明の花火大会で撮影。低空では多変色噴出花火。中段では色が複雑に変化する割物花火。上空では虹色のグラデェーションと役者が勢ぞろいした(撮影:金武 武)
X-T3/XF10-24mmF4 R OIS/10mm(15mm相当)/マニュアル露出(12.0秒、F20)/ISO 160

約3年もの間、全国各地の花火大会がコロナ禍のもと相次ぎ中止されました。夏の風物詩の代表格、そして撮影ジャンルとしても人気の打ち上げ花火が撮れないとあって、さみしい思いをしていた読者も多かったと想像します。

そんな花火大会が、今年の夏からいよいよ本格的に戻ってきます。

ということでこの連載では、コロナ禍前から全国各地の花火大会を撮り歩く金武 武(かねたけたけし)さんに、「写真に収めたい」を切り口に、花火大会をピックアップしてもらいました。(編集部)

熱海海上花火大会(静岡県)

打上時間は20~25分間とコンパクト。ほぼワイドスターマインで構成されている。

最初のスターマインで尺玉を上げてくれるので構図が決めやすい。中頃に打ち上がるデジタルスターマインとエンディングの銀冠菊花火「大空中ナイアガラ」は展開が激しくとても明るい。

絞り、ISO感度、NDフィルターを駆使すれば適正露出で撮れる。打上演出は毎回ほぼ一緒なので何度も通って花火撮影の練習ができる。


激しいデジタルスターマイン。明るい噴出花火が次々打ち上がり重なってくる。一ヶ所に沢山の花火が写ると露出オーバーになる。上空に一列、低空に一列の花火が開花したら撮り終わればよい(撮影:金武 武)
α7 IV/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/26mm/マニュアル露出(14.0秒、F11)/ISO 200
エンディングの大空中ナイアガラは銀冠菊花火を大量に使用したワイドスターマインだ。時間は約30秒間。前半に上がっていた尺玉を見ておけば事前に構図が決められる(撮影:金武 武)
α7 IV/Vario-Tessar T* FE 16-35mm F4 ZA OSS/17mm/マニュアル露出(35.0秒、F11)/ISO 200


大曲の花火 全国花火競技大会(秋田県)

煙火業者28社が参加する競技大会。明るい時間には「昼花火」が行われている。夜は一社毎に尺玉2発と創造花火のセットで打ち上げる。

創造花火は一般的にはスターマインと捉えて良いだろう。どちらも縦構図で収まる。尺玉はアップで撮ると見応えある写真が撮れる。

クライマックスの大会提供花火であるワイドスターマインは幅広く打ち上がるので、横構図で撮りたくなるだろう。縦横変えながら撮影するなら、雲台は3ウェイ雲台が快適だ。


大曲の花火大会「春の章」で撮った写真。大曲は夏だけでは無く春も秋も素晴らしい大会が開催されている。夏以外は混雑が少ないのでおススメだ(撮影:金武 武)
D600/AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED/18mm/マニュアル露出(13.0秒、F8.0)/ISO 100
観覧席から花火打上場所までの距離は350~450mと近い。ワイドスターマインをカメラマンエリアで撮るならばフルサイズで焦点距離16mm程度は必要だ(撮影:金武 武)
OM-1/M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO/8mm(16mm相当)/マニュアル露出(17.0秒、F16)/ISO 200


注意!!

数年ぶりに再開される花火大会が多く、会場の様子が変わっていることが予測される。観覧席の様子と料金、カメラマン席の有無、無料で観覧できる場所があるかどうかなど事前に調べてから足を運びましょう。

1963年、神奈川県生まれ。日本各地の花火を独自の手法で撮り続けている。おもちゃ花火と打上花火を組み合わせた撮影会を企画実施している。 花火打上従事者の資格を取得。